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担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー
すり寄せた頬から、回した腕から感じるイタチの体温。唇で触れられた耳が熱い。呼吸するたびに肺に入り込むイタチのにおいに眩暈がした。
「してほしいのか?」
イタチが冗談で言ったことはわかってる。風呂場でここではだめだと言われて不満げにする俺の顔を見ていたとはいえ、本気でここで行為に及ぶなんてことはしないことぐらい、わかっている。わかっているが・・
「してくれ」
抱いてくれ。アンタに抱いてほしいんだ。
イタチの浴衣を強く握りこむと、互いの体の隙間を埋めるようにイタチの腕が背に回され、一層強く抱きすくめられた。俺も縋るようにイタチに足を絡める。冷え切った爪先で触れられてさぞ寒いだろうと思いながら止められない。
「してくれ、にいさん・・」
子供だ。欲しいものが手に入らなくて駄々をこねるただの子供だ。イタチは背中に回した手で優しくあやすようにぽんぽんと俺の背を叩いた。
「お前、何か聞いたな?」
「・・・」
「聞いたんだな」
俺は答えない。イタチもそれ以上聞いてこなかった。
その代りに先ほど接吻けられた場所にもう一度唇を落とした。
「ん・・」
その優しい所作に背筋がそくりと粟立つ。唇は耳の裏からうなじへ、首筋を辿り鎖骨へと這わされる。イタチが体をずらし、俺の上に乗り上げてくる。その重みを感じながらイタチの首に腕を回す。冷えた爪先がじんわりと温度を取り戻し始める。
顎に、頬に優しく口づけられながら、俺は無意識にイタチの名を呼んでいた。それにこたえるようにイタチはこめかみに、額にキスを施していく。
優しい、優しい口づけだ。
胸に開いた空洞を、決して埋めることのできない虚無の縁を優しく撫でてくれる。
俺を傷つけるのがイタチの存在ならば、救うのもまたイタチの存在だ。
決して俺には注がれることのないものを受け取りながら、誰にも理解されない孤独を抱えた兄。
そのせいだろうか、いつからか父さんとうまくいかなくなり、母さんの心配もそっと受け流すようになってしまった。そのころからか、イタチの心はここではないどこか遠くにあるように思うようになったのは。
目を離せば、糸を手放してしまった風船のように、手の届かない場所へふわりと消えてしまう。俺はそれが怖くて仕方がなかった。兄は自分たちなどおいていつでもどこかへ行けるのだと思うと、自分の存在がひどく薄っぺらに感じられた。
それくらい俺にとってイタチの心の所在は覚束なかった。
だから俺は聞き分けがないと言われても、我儘と思われても縋るようにイタチを求めてしまう。どこにもいかないという確約を体を繋ぐ行為でとりつけようとする。わかっている。それだけではだめなんだ。伝えなければだめだ。
「サスケ・・?」
すぐ目の前にあるイタチの眼が大きく見開かれる。
感情が高ぶりすぎたのだろう。俺の眼から涙が零れていた。
「にいさん、どこにも行くな」
「サスケ?」
俺の言葉に反応するように涙がぼろぼろと溢れてはシーツにぱたぱたと落ちていく。俺は腕で顔を覆う。暗闇でもこの顔を晒すのはあまりにも情けない。
「いてくれ。ずっと・・」
兄さんがいてくれたらそれでいい。
なにもいらない。
いらないんだ。兄さん。
どんどんサスケが女々しくて辛い感じになっていきますね。
さあ、夜明けですよ!式さん!