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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

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「一期一振」おまけ無配 06

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ らいおんはーと

 天照かりーも食べ終わり、ようやく外の置屋街も薄暮が迫る頃、イタチは杯を傾けながら、酌をするサスケを愛しい眼差しで眺めていた。
「オレの贈った打掛けを着てくれているんだな」
「まあ、な」
「嬉しいよ」
 紫陽花の打掛けはイタチがサスケのために見立てたものだ。剣の鍛練の傍ら、庭の手入れにも日々励んでいるというサスケは紫陽花を好んでいると聞く。
「よく似合ってる」
 とイタチは褒めたが、当のサスケは困り顔だ。わけはすぐに知れた。
「オレ、いつもは女の格好なんてしてないぜ」
「そうなのか」
「女の格好で刀は扱えない」
「それもそうだな」
 逢瀬はいつも廓でのため、その頭がすっかり抜けていた。
 それならば、打掛けではなく、武士らしい羽織や袴などはどうだろうか。そうイタチが考えを巡らしていると、サスケがふと酌の手を止め、肩を落とした。視線も俯く。
「それにオレはもらっても何もアンタに返せない」
 その声があまりにも沈んでいたから、イタチは杯を口許に運びながらも、口を付けなかった。
「サスケ。オレは返してほしいと思って贈っているわけじゃない」
「だが、一方的に高価なものをもらうわけには…」
 貰うばかりではなく、きちんと礼には礼を尽くしたいというサスケの健気さが難ともいじらしい。たが、イタチにとってはサスケが生きていることが幸せであり、何かをしてあげられることが嬉しい。
「サスケ」 
 杯を置き、白粉を刷いた弟の頬を優しく撫でる。
「オレはただ受け取ってくれるお前がることが嬉しい」
 物は想いを伝える手段にすぎない。受け取ったと言ってくれればいい。
「そんなの…」
 答えになっていないと言いたいのだろう。
 ならば、とイタチは先程の鬼鮫とのやり取りを思い出す。
「なら、オレのために何か励んでいることがあるんだったな。それで返してくれ」
「なっ…!」
 サスケの顔がみるみる赤くなり、よほど動揺しているらしく銚子を落としそうになっている。きゅっと唇を噛んで恥ずかしそうに俯いた。
「そんなの…急に言われても…」
「そんなに言いにくいことなのか?」
「言いにくいというか…その、まだ修業中だから言いたくない」
「修業? どんな修業だ」
「それは…」
「オレに出来ることなら手本を見せてやろうか」
 イタチは幼い頃から文武に励み、何事においても天賦の才を示し、人より数段秀でてきた。優秀というのも考えものだが、サスケにイタチが教えてやれることならばそうしたい。それに物を贈るよりもこれは余程喜ばれるのではないだろうか。しかし、
「な、な、な! そんなこと、アンタにさせられるかよ!」
 サスケは顔を真っ赤にし、両腕で体を庇いながら後じさった。
「どうした、サスケ」
 不審に思い、こちらが思わず身を乗り出すも、サスケはこれ以上近寄ってくれるなとばかり、後ろへ後ろへと下がっていく。
「いやっ! いい! だめだ! オレ一人でするから!」
「そうか? だが」
「絶対だめだ! アンタにそんな、そんな、オレ…心の準備が…」
 いつの間にか部屋の端まで追い詰められた格好のサスケは今度は赤面したまま畳ともじもじとし始める。
 イタチには最早何が何やらさっぱり分からない。が、ともかくサスケは今すぐには出来ないことをイタチのため励んでいるということは察せられて、イタチはふっと微笑んだ。
「じゃあお前の修業が終わるまで待つとしよう」
 言うと、サスケがそっぽを向いて口籠もる。
「…何年掛かるか分からないぜ」
「いいよ。ずっと待ってる」
 すると、サスケの瞳がようやくちらりとイタチの方を向いた。その瞳には不安と少しの期待が入り混じっている。
「それって、アンタはまた来てくれるってことか」
「ああ、もちろん」
 イタチは「隙ありだ」と言って、ぐいと弟の体を引き寄せた。そのまま抱き締める。
「オレも国の統一に励まなければな」
「え…」
 サスケがすっぽりと収まったイタチの腕の中、こちらを見上げる。
 イタチはその瞳の瞼に接吻けを落とした。
「お前を身請け出来る日が楽しみだ」
「…うん…オレもだ…」
 胸に凭れ掛かってくる弟の重みと温もりを感じながら、イタチはいつか訪れるだろうサスケと暮らす日々に思いを馳せた。
 そして、三年の月日が流れる。

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一旦おしまい
※三年後の最終話は「全忍3」後、投稿します。
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「一期一振」おまけ無配 05

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ うちはイタチのおしゃべりくっきんぐでおま

「こっ、これは…!」
 突然旦那さんから声を掛けられ、サスケはしどろもどろになった。
 だいたい何をしていただなんて答えられるはずがない。欠けた人参を手にしたまま顔を真っ青にしたサスケは「うう」と呻いて挙動不審に陥る。
 そんなサスケをうちはの旦那さんはしばらく不思議そうに眺めていたが、やがてふっと微笑んだ。得心したように頷く。
「そうか。お前、腹が減っていたんだな」
「はぁ…!?」
 何故そうなる。サスケは素っ頓狂な声を上げた。
 だが、うちはの旦那さんはサスケを押し退けると、「暁」の台所を陣取り、着物まで襷掛けをし始める。
「よし、今夜はオレが作ろう」
 いやいやいや。旦那さんを慕うサスケもさすがに付いていけない。彼は武家の名門の侍ではなかったのか。
「何言ってんだ、アンタ!」
「待っていろ。すぐにうまい天照かりーを作ってやるからな」
「あ…あまてらすかりー…?」
 聞き慣れない料理にサスケは首を傾げる。
 旦那さんは桶に張った水で手を洗い、置いてあった包丁を取り上げた。
「天照かりーはオレの母の得意料理だった」
「だったって…」
「随分前に亡くなった。折角だ。お前にも母の味を知ってほしい」
「そ、そういうことなら…」
 天照かりー。その正体は想像も出来ないが、とにかく旦那さんの興味が料理に移ったのは幸いだった。背後では何故かこのところめっきり病人然としてしまった長門も胸を撫で下ろしている。
 旦那さんは手際よく野菜を洗うと、謎の天照かりーなるものを作るため、まずはサスケが持っていた人参を包丁ですとんと切り落とした。そして、
「ほう、茄子もあるのか」
 台所の端にあった茄子をも目敏く見つけ、
「これもかりーに入れるか」
 茄子もまな板の上ですとんと切る。
「ところでサスケ」
「なんだよ」
 旦那さんは次々に根菜を刻みながら、傍らで不安げに彼の手元を見つめるサスケに言った。
「お前、オレのために励んでいることがあると聞いたが?」
「なっ…!」
 驚きのあまり、サスケは掴んだジャガイモを危うく落としそうになる。サスケが旦那さんのために口淫の練習をしていると誰かに聞いたのだろうか。しかし、まさかそんなことを一生懸命練習しているなどと口に出すことも出来ず、サスケは黙りこくった。
「サスケ?」
「た、大したことじゃねぇ…それよりその、あまてらすかりー? ってのを早く食ってみたい」
 精一杯甘えた声で旦那さんの着物の袖を引いて急かしてみせると、旦那さんは「そうか」と優しい笑みを浮かべた。
 一方、二人が楽しげに料理を作っている「暁」の台所の外では買い物籠を片手に料理番のトビは立ち尽くしていた。
「あのぅ~姐さん達のご飯が作れないんですけど~!」

 出来上がった天照かりーを部屋に運んで二人で食べる。名前からはどんな料理なのか想像もつかなかったが、香辛料の絶妙な辛味や食欲をそそる独特の匂いもサスケの嗜好に合った。
「サスケ」
 旦那さんはにこりと笑って匙に掬ったかりーをサスケに差し出した。
「なんだよ」
「口を開けろ」
 急に何を言い出すのかとサスケは首を捻る。しかし、巷の甘味処で仲睦まじい男女が同じようなことをしていたのを思い出し、旦那さんが何をしようとしているのか理解した。
 甘い雰囲気は今もまだ苦手だ。けれど、旦那さんとならきらいじゃない。
「…一回だけだからな」
 と断って、サスケは小さく口を開けた。
 天照かりーなるものは見た目こそ焦がしたように黒いけれど、この上なく美味かった。
「アンタの母親は料理が上手だったんだな」
「そうだな」
「他にもあるのか」
「あるよ。いずれまた作ってやろう」
「そうか」
 サスケには侍の旦那さんがどうしてこんなにも彼の母の料理を作って食べさせたがるのか不思議だった。ただ、こんなにも美味いのなら、彼の母親が生きている内に一度くらいその人の手料理を食べてみたかったとも思うのだ。

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06へ続く

「一期一振」おまけ無配 04

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ やめて! 長門のライフはもうゼロよ

 そして後日、その日も早くから女郎置屋「暁」を訪れたイタチが見たものは、顔も体もげっそりと痩せこけた白髪の友の姿だった。
「長門、お前酷く痩せたな。具合でも悪いのか?」
「いや、そんなことはないさ。それにしても相変わらずお前はせっかちだな」
 どう見ても健康そうには見えないが、何か言いたくない事情があるのかもしれないとイタチはそれ以上を追及しなかった。
 もちろん、長門の心労の原因は言わずもがなサスケのことである。
 先程、長門は台所でサスケが野菜を物色してるのを見てしまった。あの様子だときっとサスケはまた姐たちに教えられた舌技を特訓しているのだろう。
 サスケは何事においても努力家だ。負けん気が強いと言ってもいい。「暁」に来たばかりの頃は与えられた仕事を早く覚えようと、寝る間も惜しんでその日に習ったことを反復していたし、剣の稽古でも長門や弥彦に追いつこうと陽が暮れるまで熱心に練習していた。
 しかし、そんなひたむきさがこんなところでも発揮されとしまうとは…。
 目に入れても痛くないほど可愛がっているサスケがこんな淫らな技を練習しているとイタチが知ったらと思うと、長門は近頃食事も喉を通らない。
 だが、そんな長門の憂鬱など知るよしもないイタチはさらりと惚気た。
「少しでも長くサスケといたいからな」
 サスケの情人が来たと聞きつけて集まって来た花魁達が「いやだわぁ、お熱い」と囃し立てる。だが、長門はまさに血を吐く思いであった。
「お…扇はまだ支度中だ…」
「なら、部屋で待たせてもらおう」
 蚊の鳴くような声で告げる長門に、イタチは階段の手摺に手をかける。
 すると、ちょうどその時、二階から鬼鮫子が降りてきた。
「これはこれは、旦那様。ようこそ、今日もお早いお越しですねぇ」
「ああ。皆に言われた」
「相変わらずですねぇ」
 にやにやと含み笑いをする鬼鮫子は何かを思い出したのか「そういえば…」と言うと、つつとイタチの耳元に口を寄せた。
「サスケ君、なにやら貴方様を悦ばせようとしているみたいですよ」
「サスケが?」
「ええ。しかし私の口から言ってしまうのはあまりにも無粋。どうぞ楽しみにしていて下さい」
 袖で口許を隠して鬼鮫子がくつくつと笑う。
 遠回しながらも「会いたい」と文を送ってくれたこともイタチにとっては嬉しいものであったが、そのうえサスケはイタチのために何か用意してくれているという。
 早くサスケに会いたい。そう期待に胸を膨らませるイタチに不意に背後から声が掛かった。
「あら、ようお越しくださいました。旦那様」
 イタチが見世に来たと聞いたのだろう、楼主の小南が見世の奥から出てきた。
「扇なら台所にいましたよ」
「台所に?」
「ええ。なにか作る気なのかしら?」
 もう着替えも済ませているのに…と小南は首を捻る。
 だが、イタチは得心した。きっとサスケの仕度とは手料理に違いない。
「そうか。なら少し覗かせてもらおうか」
「おいっ…! ちょっ…! 待て!」
 台所へ向かうイタチを長門が真っ青な顔で追ってくるが、イタチは構わずそのまま台所へ足を踏み入れた。
 「暁」の台所には先日イタチが贈った紫陽花模様の打掛を纏ったサスケの背中が見える。
 しかし、なにやらサスケの様子がおかしい。包丁で何かを切っているわけでもなく、煮炊きをしている様子もない。
「サスケ」
 近付き、声をかけると、人参をはむっと咥えているサスケと目が合った。よもやイタチが背後に居るとは思わなかったらしく、サスケは驚愕に目を見開く。そして、次の瞬間、咥えていた人参を勢いよく噛み砕いた。
「…お前、何してるんだ?」
 イタチが首を傾げるその後ろで、長門が前屈みで「痛っ…!」と呻き声をあげていた。

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05へ続く

「一期一振」おまけ無配 03

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ 暁炎上

 姐たちの視線がとんでもなく痛い。まさに針のむしろの上にいるような気分だ。だが、気後れしてしまいそうなる自分を奮い立たせるためにもサスケは勢いを付けて重ねた。
「鬼鮫子姐さんが、その、そこを咥えたらいいって言っていたんだが、本当なのか?」
「ははあ、なるほどね」
 サスケの必死の形相に呆気に取られていた姐たちもすぐさま得心した。サスケの唯一の客であるうちはの旦那さんは、水揚げ以来それはそれはサスケにご執心で、文や高価な品々を店に届けさせていることは彼女らも知っている。
「うちはの旦那さんにして差し上げるんだね」
「う…まあ…そんなにいいものなら…」
「そりゃあもう上手にしたらすぐに昇天しちまうくらいイイもんだよ」
「昇天だと…!?」
 サスケは思わず声を上げた。
 まさかそんなにも必殺の技だったとは、この世も奥が深い。思えばサスケは贈り物のことだけでなく、閨でも旦那さんに手解きをしてもらうばかりだ。よし、と腹を決める。鍛練や修業はサスケの望むところでもある。
「姐さん。オレにその技を教えてくれ」
「そりゃかまわないけど」
 顔を見合わせた姐たちは、面白がって早速禿に台所から茄子を持って来させた。
 よく熟れた茄子を持たされ、サスケは首を傾げる。
「…食うのか?」
「違うよ。それを旦那さまのアレに見立てて咥えるのさ。さあ、初めは舐めてみな」
「舐め…これをか」
 なんだか騙されているのではないだろうか。サスケは茄子を疑わしい目で見つめる。すると姐たちは未だ半信半疑の弟分の耳にそっと艶やかに囁いた。
「アンタ、自分のものを旦那さんに咥えてもらっているところを想像してごらんよ」
「ば…! そんな!」
 あまりの羞恥に絶句する。
 だが、姐たちにそそのかされとはいえ、思わずあの人に閨で愛される自分の姿を思い描き、サスケは腰の奥がずくんと熱く疼くのを感じた。これは確かにイイかもしれない。
「よし、やってやる」
 サスケが意を決し、茄子を口許へと近付けたその時、イタチの使いの烏を肩に連れた長門がひょっこりと部屋に顔を出した。
「サスケ、いい知らせだ。今度イタチが…」
 と言いかけ、一目サスケの姿を見た長門は仰天した。
「な、な、な、何をしているんだ!」
 サスケに飛び付く。
 だが、サスケは意にも介さない。邪魔な長門を押し退け、ちろりと赤い舌を出して、茄子を舐めてみせる。
「何って修業だ」
「修業!? いや、だめだ! そんな君の姿をあいつが見たら、暁が燃え尽きるまで焼き払われる!」
「知るかよ、そんなこと」
 こうして頭を抱える長門を他所にサスケの修業が始まったのだった。

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04へ続く

「一期一振」おまけ無配 02(後)

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ 鬼鮫子のお部屋 る~るる、るるる、る~るる♪

「は?」
 鬼鮫子の言葉が理解できず、サスケは目を瞬かせた。閨で返すとは一体どういうことだろうか。
「下世話な話ですが、サスケくんはいつもうちはの旦那さんとはどのように過ごしているんですか」
「どのようにって…」
 訊ねられ、口籠もる。旦那さんは水揚げの日と同じようにいつも陽も落ちぬ前からやって来るため、まずはサスケの仕度を待ってもらい、それから共に夕餉を取る。その間なにが楽しいのか知らないが、サスケのことを聞きたいと言うので、サスケはとつとつと弥彦や長門に習った剣のことを話している。姐たちから教えられた手練手管の話とは随分様子が違うとは思うのだが、旦那さんが望むのだから、まあいいかと考えていた。そうして酌をする内に夜も更け、後は旦那さんが導くままにその腕に身を任せれば、いつの間にか全てが終わり、別れの朝を迎えている。
「サスケくん…」
 サスケの話に鬼鮫子は呆れた顔をした。
「ここは女郎置屋なんですよ」
「当たり前だ。そんなことは知っている」
「いいえ、全然分かっていませんよ。まあしかし、そんなサスケくんがするからこそお返しになるかもしれませんねえ」
 サスケの姿を上まで下まで値踏みをするように眺めた鬼鮫子にサスケはすぐさま食い付いた。聞きたいのはその話だ。説教などではない。
「だから、お返しって何だよ。閨で何をすればいいんだ」
「そうですねえ」
 鬼鮫子はくくっと喉を鳴らすと、おもむろにサスケに顔を寄せ、こそりと耳打ちをした。
「は? 咥えるだと? 何を?」
「だからナニをですよ」
 サスケの反応が愉快だと言わんばかりに、にやにやと笑いながら鬼鮫子はサスケの股間を指差した。
「ば、バカ言え。そんなことであの人が悦ぶわけないだろ!」
 もともと性戯に疎いサスケは口淫というものを知らない。故に男の逸物をしゃぶるなど想像も出来ない。
「はぁ…あなたはこんな場所で暮らしているというのに本当に純粋というか初心というか…」
 やれやれと鬼鮫子は溜息をついた。
「そ、そんなにいいものなのか?」
 不寝番として剣術の鍛練は日々こなしているが、花魁として相手を悦ばせる事については無知に等しい。サスケの客はうちはの旦那さんだけだが、この見世の振袖新造「扇」という名をもらった限りは花魁として閨での技術も学ばなければならないだろう。
「嘘だと思うのならお姐様方に聞いてみてはいかがですか? サスケ君はまだまだ新米ですから、きっと丁寧に教えて下さいますよ」
 鬼鮫子がそうまで言うのならば姐達に聞くしかない。サスケはすぐさま姐達のもとへ向かった。

 時刻はお昼前、仕事を終えて一眠りした花魁達が寝床から抜け出し、身支度を整える為に一階に降りてきていた。
「おや、サスケじゃないか。どうしたんだい?」
「聞きたいことがある」
 いつになく神妙な面持ちのサスケに姐達は一体どうしたのかと顔を見合せる。
「その…男に奉仕するって…どうするんだ?」
 よもやサスケの口からそんな言葉が出るとは思いもよらず、その場にいた花魁達は皆一様にぽかんとあっけにとられてしまった。

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03へ続く

「一期一振」おまけ無配 02(前)

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ 鬼鮫子のお部屋 る~るる、るるる、る~るる♪

 女郎置屋「暁」の不寝番サスケはその日、部屋いっぱいに広げられた艶やかな打掛や美しい髪飾り、そのほか漆塗りの箱に入れられた身の回りの細々とした品を前に困り果てていた。
 全てサスケの水揚げ相手「うちはの旦那さん」からの贈り物だ。この手のことには全く詳しくないサスケにも、これらの品がたいへん高価なものだということは分かる。だが、
「オレにどうしろって言うんだ、これ」
 サスケは紫陽花をあしらった打掛を引き寄せ、頬を引きつらせた。
 女郎「扇」としてうちはの旦那さんには何度も抱かれたが、サスケは男だ。こんなものを贈られても仕方がない。
 それにうちはの旦那さんはこうして贈り物や文は山ほど寄越してくれるが、肝心の本人が店を訪れることは滅多にない。
 旦那さんはあの武家の名門うちはの出だと言うし、この頃八坂ノ国ではいくさが多いとも聞く。
 最後に旦那さんが「暁」を訪れてから一つの季節が過ぎた。きっといくさで忙しいのだろうとサスケは何度も自分に言い聞かせてきたが、そろそろそれも限界だ。文では相変わらずサスケに愛を嘯くくせに一向に会いに来てくれないのは、やはりもう男のサスケから心が離れてしまったからではないだろうか。そんな思いが腹の底で黒く渦巻く。
 それなのにサスケはつい先日未練がましく会いたいなどと旦那さんに文を書き送ってしまった。なんとも惨めな気分だ。紫陽花の打掛をぎゅっと握る。その時だった。
「おや。どうしたんです、サスケくん」
「鬼鮫姐さん…」
 「暁」の芸子、鬼鮫子が姿を見せた。
 見た目はその名の通り、鮫のような顔をしているが、彼女が三味線「鮫肌」で奏でる曲は繊細で美しいと評判だ。この花街で彼女の腕に敵う者などいないと言われており、その三味の音を聴くために訪れる客もいるくらいだ。
 鬼鮫子はサスケの手の中にある打掛や、部屋中に所狭しと並べられた贈り物の数々を見回した。
「流石はうちはの旦那さん。贈り物も並の武士ではちょっと手がでないような高級品ばかりですねぇ。貴方もなかなかすみに置けない」
 鬼鮫子はサスケを肘でこつきながらにやりと笑う。
 しかし、サスケは浮かない顔で紫陽花模様を指先で撫でた。
「こんなにたくさんもらっても…オレ…なにも返せねぇ」
 サスケは「暁」の女郎だが、閨の相手を出来るのは彼の想い人である「うちはの旦那さん」だけだった。サスケは「うちはの旦那さん」以外に体を開くことが出来ない。
 故に普段は不寝番として暁で働いている。働くといってもいわば「住み込みの奉公人」のサスケが蓄えている金子ではこの部屋に並ぶ品のひとつも買うことは出来ないだろう。当然、贈り物に見合う物を返すことなど出来るはずもない。
「オレ…あの人にしてもらってばっかりだ…」
 普段は気丈なサスケがこんな風に肩を落とし、項垂れているのは珍しい。
 サスケの様子を見兼ねたらしい鬼鮫子はある提案をしてきた。
「なら、閨でお返しすればいいじゃないですか?」

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02(後)へ続く

「一期一振」おまけ無配 01

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ ブラック領主に仕えてるんだが、もうオレは限界かもしれない

 八坂ノ国を東方と西方に割り、領土を争う一族間の小競り合いのいくさも一段落したある日のこと、イタチは館にある厩へと一人足を向けていた。
 顔こそ常の通り能面のようだが、その足取りは至って軽い。イタチがいくさに赴いている間に先頃女郎置屋「暁」でついに再会が叶った弟が文を届けてくれていたのだ。
 故あって今は兄と明かすことは出来ないが、イタチはこの弟、サスケをたいそう可愛がり、折りにつけて様々なものを側近のシスイを通し、贈っていた。サスケからの文にはその礼と遠回しながらそろそろ会いに来てほしいとの旨が綴られており、いくさが終わった折りも折りだ、イタチは早速「暁」へ出向くことにした。
 サスケのことを思えば心も弾む。道の途中にある「うちは煎餅」にでも立ち寄り、甘いものが得意でないという彼のため何か見繕っていこうか。そんなことすら考えるイタチの前に、
「待て、イタチ」
 腹心であり、友でもある男、うちはシスイが立ちはだかった。
 久方ぶりに弟に会えるという喜びに胸を踊らせていたイタチの心は急に萎えた。シスイは難しい顔をしてじとりとイタチを睨んでいる。この男がこういう顔をしている時に良い話を聞けたためしがない。しかし、苛立ちは表情に出さず、イタチは至極冷静な態度でシスイを見据えた。
「なんだ?」
「なんだじゃない。お前、供も連れずにどこに行く気だ?」
 確かにまだ他国との小競り合いは続いている。力をつけつつある八坂を警戒し、その芽を摘もうとする国や、奪い返した領土をそのまま横取りしようと目論む国、様々な思惑が国と国の間で渦巻いている。イタチもいつ暗殺者によって寝首を掻かれるともしれない。そんな状況でふらふら出歩くなとシスイは言いたいのだろう。
「ちょっと厠にな」
「厠に行くのに馬に乗る必要があるのか」
 もちろんない。そもそも厠にいくつもりもない。
 シスイはイタチの口からはっきりと行き先を告げるまで梃子でも動かない、という顔をしている。しかし、この男のことだから大方予想はついているのだろう。
「用はなんだ」
「はぐらかすなよ」
 案の定、不用意にふらふらと出歩くな、イタチは国を背負った立場であり、もう自分一人だけの体ではないことを自覚しろと小言を言われた。
 だが、こうしている間にも時は刻一刻と過ぎていく。いくらイタチの愛馬「月読」が早馬とはいえ、ここから「暁」まで半日かかる距離だ。なんとか話を切り上げたい。
 イタチは致し方ないと小さく嘆息し、空に向けて指笛を吹いた。するとどこからか烏が飛んできてシスイの周りを威嚇するように飛び回った。
「うわっ…! なんだ!」
「明日の晩には戻る」
「明日の晩って…! ちょっ…! 待てよ! おい! イタチ!」
 くせっけの髪を更に烏にもじゃもじゃにされながらシスイが言うが、イタチは一目散に厩へと向かった。
「あとのことは頼んだ」
「イタチ、お前! 覚えてろよ!」
 そのときのシスイの絶叫は館中に響いたという。

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02へつづく

リレー小説:番外編④_完(式)

「絶対にチューしてはいけない24」
 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
 縛り:ブラコンだけど、できてまてません。ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
 24企画ラスト更新。R18。

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「ん…、ふ…っ」
 くにくにと胸の尖りを摘ままれ、弄られる。これまで意識すらしたことのなかったそこは、だからこそやたらに感覚が集中して、体中がひどく敏感になった。声を上げるわけにはいかないから、吐き出す息をなんとか手の甲で押さえ込む。
「どうだ、サスケ」
 兄さんがおれのシャツの中でもぞもぞと手を動かす。
 どうだ、と言われても困る。男でも胸を弄られれば感じるのは普通なのだろうか。
「う…、へ、んな感じだ」
「でも、ここは固くなっているぞ」
 つと兄さんの手がおれの下半身へ伸ばされる。布越しに撫でられ、畳の上で腰が跳ねた。
「ば…っ!急に…っ」
「ほしいと言ったのはお前だろう。それともまだ何も知らない子どもか?」
 まるで形を確かめるように何度も滑らされる兄さんの手のひらを感じて口を噤む。その柔らかに揉み込むような手つきから、兄さんはまだおれに退路を残してくれているのだろう。
 いやだと言うなら今の内だ。兄さんはそうおれに伝えている。
「もう子どもじゃない」
 おれをこする兄さんの手首を取る。そのまま布の中に導けば、きゅっと心地良い具合に握られ、手の中で締め付けられた。
「っあ…っん」
 思わず吐いた息が震える。
 くっと兄さんの口角が上がったのが暗闇の中でも見て取れた。
「サスケ。もう濡れている」
「そんなこと、いちいち言うなっ」
「人にされるのは初めてか?」
 くちくちと小さな湿った水音が部屋の四方へ散っていく。こんな微かな音が父さんや母さんに聞こえるはずはない。そう分かっていても、拍動は加速していく。気を抜けば、自分でも知らないような声を上げてしまいそうだった。イタチの問いには首肯で返す。だが兄さんはまだ勘弁をしてくれなかった。
「じゃあ自分でしたことは?」
 そんなことを訊いてどうする。そうは思うが、「サスケ」と促され口を開いた。
「あ…ある…」
 おれだってもう十六だ。任務に支障が出ないようにと必要があって抜くことくらいはある。
 イタチは「そうか」と頷いて、これまでよりも大きく大胆におれを扱き始めた。
「サスケ」
「あっ、あ…っ、んぅ…っ」
「どこがいいのか、教えて」
 畳に横たわるおれの隣に横臥した兄さんは、おれのものを擦る手はそのままに、もう片方の手でまずおれのシャツを胸までたくし上げた。そうしてその頂きを吸いながら、下穿きごとズボンを膝までぐいとずり下ろす。
「どこって…あ、あ…ッ」
「お前の好きなところさ」
「そんなの…っ」
 首筋に唇が這わされる。胸も下半身も弄られて、もうまともな思考が追いつかない。ただイタチがおれの先っぽを先走りを絡めた指先でこするたび、「あ!あ!」と声を上げた。
「ここか?」
「んっ、そこ…っ」
 頷いて乞う声が甘く上擦る。こんな声はおれじゃない。こんなのはおれじゃない。だが体は素直にイタチの手淫を受け入れ、もたらされる悦びに打ち震えている。
 裸足の爪先が畳を何度もこすった。布団はすぐそこだというのに、兄さんは今ここから動く気はないらしい。
 障子越しの月明かり。火立てに揺れる微かな炎。夜の中で見た兄さんの目許はいつもより少し赤らんでいた。
「兄さん…」
 求められているのだ。おれが。兄さんに。
 途端感じて、とろりと先から零れた。
「は…っ、いや…だ…」
 恥ずかしい。
 でもやめないで欲しいから、おれは体を捻ってイタチの首にかじり付くようにしがみついた。
 背を支えられ抱きしめられた腕の中で、おれがくちゅくちゅと音を鳴らす。
「兄さん…おれ…」
「もういきそうか?」
「ん…」
 下腹部がくっくっと疼いている。腰の奥が熱い。なんとか制そうと体を捩るが、腰を突き出してしまうのを止められない。
 けれど、このままだと兄さんが…。
「兄さん」
「うん?」
「その、おれだけいくのか…?」
 兄さんだって、おれの自惚れでなければ、感じてくれているはずだ。
 見つめ合った兄さんの眸はいつになく夜に濡れていて、初めて垣間見たその情欲にまたおれの熱はいっそう昂る。
 兄さんはつとおれの根元から睾丸を撫で、その奥の窄まりに触れた。
「あ…!」
 そこは…。
 どくんと心臓が跳ねる。
 まさかと息を殺す。するとイタチはそこを指の腹で二・三度こすり、またおれの反ったものに手を掛け、くちくちと扱いてくれた。
「に、にいさん…」
「そう急くな、サスケ。それにお前、明日は任務だろう?」
「……」
 小さく頷く。
 一瞬おれが怖気づいたのに気付かないイタチじゃない。気遣うように額や頬、瞼にキスをされる。
「代わりにサスケ」
「ん…っ、あ…なんだ…?」
「いくところ、見せて」
 イタチの手が激しさを増す。
 次いで接吻けられた。唇を割られ、舌をぐっと突き込まれる。それはまるでイタチの欲のようにおれの中をぐちぐちと掻き回し、掻き乱した。
「あっ、あ…っ!んぅ…っ」
 上も下ももう分からない。
 イタチだけがおれの全てになっていく。
「んぁ…っん!あっ、あぁっ、も…っ、いく!出る…!出るっ!にいさん…!」
「いいよ。そのままいって、サスケ」
 こすりあっていた舌をきゅっと強く吸われた瞬間、
「んっ、あっ、んっあぁあ…っ!!」
 おれはイタチの腕の中で精を飛ばし、今までにない極みを迎えた。


 その後、ぐったりしたままのおれを濡れた手拭いで丁寧に清拭してくれた兄さんは、ようやく布団におれを抱き上げ、連れて行ってくれた。
「一緒に寝るなんて何年振りだろうな」
 夏の薄い布団を腹まで掛けられる。
「…なあ兄さん」
「うん?」
「その、また今度」
 今度はおれちゃんと…。
 そう続けようとした言葉は兄さんの小さな笑い声に奪われてしまった。
「まさかお前にそれを言われる日が来るとはな」
「うるせーな」
 でも本当だからな、兄さん。
 いつかきっと…。
 やがて火立ての明かりはそっと吹き消され、おれは兄さんの腕の中で短い眠りに就いた。

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完…!

R18シーンは半々だと思っていたのに…!
読みたかったのに…!

一発書きの読み返しなし状態ですが、とりあえず23日中に投稿したいので投稿します。
気になったら後日こそこそ修正かけにきます…。すみません…。

24企画にお付き合い下さったみなさま、本当にありがとうございました!
そして春壱さん、今回もおつかれでした!また次の企画、がんばろう。

リレー小説:番外編③(春壱)

「絶対にチューしてはいけない24」
 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
 縛り:ブラコンだけど、できてません。
ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
 
R-18表現含みます。



「また今度が早く、今、ほしい」

夜の帳にサスケの切実な思いが落ちた。
サスケを見つめる。サスケもおれを見つめ返す。
火立ての炎の揺らめきが彼の心の内のように、儚げに、しかし、情熱的に彼の瞳の奥に灯っている。
夕焼けの中で交わした口づけの余韻が、いまだに彼の中で燻っているのだろうか。
「サスケ」
名前を呼ぶと、その瞳が一瞬見開かれ、期待と不安を溶かした色に染まる。
おれの答えをじっと待つサスケの手を取り、引いてやると、サスケは短く「あ…」と声を漏らして、やがておれの腕の中におさまった。
まだしっとりと濡れた髪が、体から香る同じ石鹸の匂い、まだ若く、成長途中の体を抱きすくめる。おれの腕の中で、やはりどうしていいのかわからず固まっているサスケの髪をやさしく梳いて、その髪に口づける。
「兄さん、おれ…」
「うん?」
おずおずとおれを見上げるサスケの頬はほんのりと赤い。
そのまま顎をとり、口づけた。
「ん…」
サスケの手が行き場を探し、さまよい、やがて縋るようにおれの服をつかんだ。
その手に自分の手を滑り込ませ、指を絡める。
角度を変え、さらに深く口づければ、繋ぎ合った手をサスケがぎゅうっと握り返してきた。
息継ぐ合間に、舌を滑り込ませると、サスケの体がびくっと震えた。
「ぅんっ…ふっ…にいさ…んんっ…!」
言葉ごと奪うように、サスケの唇を覆い、逃げるサスケの舌を絡め取る。
ちゅっ、くちゅっと互いの舌の上で鳴る水音が恥ずかしいのか、おれの胸を押し返してくる。
その反応が可愛くて、いたずら心でサスケの舌を吸うと、絡めた指をいっそう強く握られた。
唇をはなすと、さきほどより頬を上気させたサスケがはあはあと苦しげにおれを見上げていた。
濡れた唇を指で拭って、額に口づける。
「サスケ、これより先もほしいか?」
その問いが何を意味するかサスケはわかるだろうか?
もちろん、サスケがわからなければここまでにする。
いやだと思うならそれ以上はしないつもりだった。だが、
「ほしい…兄さん。くれよ。今日はおれの誕生日だろ」
「そうだったな」
時計の針はとっくに日付を超えてしまったが、サスケがほしいというのなら与えたい。
めったに自分の思いを口にできないこの不器用な弟が、きっと、やっとの思いで紡いだであろう望みを掬い取ってやりたかった。
もう一度口づける。今度はサスケもすんなりと受け入れる。
サスケの腰を抱き、おれはサスケを畳に押し倒した。
動揺、ためらい、気恥ずかしさ。それらがまじりあいサスケの瞳の中で揺らめいていた。おれを見上げるサスケの頬を撫で、もう一度触れるだけのキスをする。
「ん、にいさん」
「サスケ、いやだと思ったら言えよ」
一体、今から何をするのか、おそらくサスケはよくわかっていないだろう。
一時の好奇心も彼の行動を駆り立てのかもしれない。だから、無理はさせたくない。
「いいな」というと、サスケはこくりとうなずいた。
顎、首筋にとキスを落としていく。ちゅっと音をたてて吸えば、サスケは「んっ」とくぐもった声を漏らした。シャツの裾から手を差し込めば、ひくんとお腹が堪えるようにへこむのがわかった。そのままサスケの肌に手の平を這わせていく。そして、胸の飾りを指の腹で弄るとサスケの体がひときわ大きく震えた。
「ふぁっやっ…にいさん!」
「サスケ、声」
とサスケの唇に人差し指を充てる。
こんなところを両親に見られたらただじゃすまない。それはサスケもわかっているからか、口をつぐむが、目はお前のせいだろうと抗議の色がにじんでいた。
「ふふっ、お前かわいいな」
火照った頬に唇を落とすと
「うるせぇ」
と顔をそむけてしまった。


 
ここにきてにゃんにゃん投入。すみません!
企画当初こんなことになると思ってませんでした。。。

ではではオチを式さんにパスだー!

ケーキおいしかった!

リレー小説:番外編②(式)

「絶対にチューしてはいけない24」
 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
 縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
 「また今度だ」はじまる。

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 滅多にない家族揃っての夕食の後、改めて風呂に入り直し、おれは自室のベッドに倒れ込んだ。思わず胸から溜息が零れるのは、風呂上がりの熱のせいだけじゃない。濡れた髪の滴がシーツに染みていく。
 兄さんが一日おれのために時間を空けてくれた。偶然じゃない。おれの誕生日に合わせて休みを取ってくれていたのだ。
 修行をした。出掛けもした。買い物へ行き、温泉にも入った。たぶん「買いたいものがある」と兄さんが言ったのはおれを連れ出すための方便だったのだろう。
 それから、おれ、兄さんと…。
 唇に触れた兄さんを思い出せば、胸の中で心臓が大きく脈を打つ。
 こんな居ても立っても居られない感覚は知らない。どうしていいか分からない。自制がきかない。誤魔化すようにシーツの上で身を捩った。
 また今度。
 今それがほしい。



「兄さん」
 閉じられた障子の向こうに呼びかける。集落の誰も彼も、父さんと母さんも寝静まったような夜半、兄さんの部屋には未だ明かりが灯されていた。
「おれだ」
 言うと、入ってこいと返される。
 戸を開くと兄さんは文机に向かい、火立ての下、筆を執っていた。日中おれに付き合ったから、今頃仕事をしているのだろうか。
 そうだとしたら、こんな気持ちで訪ねてしまったことが酷く疾しいことのように思われて、後ろめたい思いに駆られる。
 傍に行くのは憚られた。
 兄さんのぴしりと正された背を眺められる、敷いてあった布団の脇に座して黙する。
 兄さんは暫く書きものを続けていたが、いつまで経っても話を切り出さないおれを見るに見兼ねてか、手は筆を走らせながら、
「どうした、サスケ」
 と訊ねた。
 だが、本当のことは言い淀む。
 思案して、当たり障りのないことを口にした。
「今日の礼を言いに来ただけだ」
「言われるほどのことをした覚えはないがな」
「…そうかよ」
 どこか気まずく思うのは、あの夕焼けのときのようにおれたちの想いが重なっていないからだろうか。
 引き上げ時だ。
「じゃあ、それだけだから」
 腰を上げる。だが、「サスケ」と引き留められた。
 筆が硯に居場所を見つける。火立ての炎が小さく揺らめいた。兄さんが振り返る。
「おれはちゃんと父さんと母さんのところへお前を返したぞ」
 ああ、そうだな。
 分かっている。
 だが、おれはまたこうしてアンタのところへ、兄さんの許へ来てしまった。
 兄さん。
「また今度が早く、今、ほしい」
 兄さんは笑わなかった。

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パスだー…!!
そして、そろそろケーキを食べないか、春壱さん。