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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

「一期一振」おまけ無配 04

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ やめて! 長門のライフはもうゼロよ

 そして後日、その日も早くから女郎置屋「暁」を訪れたイタチが見たものは、顔も体もげっそりと痩せこけた白髪の友の姿だった。
「長門、お前酷く痩せたな。具合でも悪いのか?」
「いや、そんなことはないさ。それにしても相変わらずお前はせっかちだな」
 どう見ても健康そうには見えないが、何か言いたくない事情があるのかもしれないとイタチはそれ以上を追及しなかった。
 もちろん、長門の心労の原因は言わずもがなサスケのことである。
 先程、長門は台所でサスケが野菜を物色してるのを見てしまった。あの様子だときっとサスケはまた姐たちに教えられた舌技を特訓しているのだろう。
 サスケは何事においても努力家だ。負けん気が強いと言ってもいい。「暁」に来たばかりの頃は与えられた仕事を早く覚えようと、寝る間も惜しんでその日に習ったことを反復していたし、剣の稽古でも長門や弥彦に追いつこうと陽が暮れるまで熱心に練習していた。
 しかし、そんなひたむきさがこんなところでも発揮されとしまうとは…。
 目に入れても痛くないほど可愛がっているサスケがこんな淫らな技を練習しているとイタチが知ったらと思うと、長門は近頃食事も喉を通らない。
 だが、そんな長門の憂鬱など知るよしもないイタチはさらりと惚気た。
「少しでも長くサスケといたいからな」
 サスケの情人が来たと聞きつけて集まって来た花魁達が「いやだわぁ、お熱い」と囃し立てる。だが、長門はまさに血を吐く思いであった。
「お…扇はまだ支度中だ…」
「なら、部屋で待たせてもらおう」
 蚊の鳴くような声で告げる長門に、イタチは階段の手摺に手をかける。
 すると、ちょうどその時、二階から鬼鮫子が降りてきた。
「これはこれは、旦那様。ようこそ、今日もお早いお越しですねぇ」
「ああ。皆に言われた」
「相変わらずですねぇ」
 にやにやと含み笑いをする鬼鮫子は何かを思い出したのか「そういえば…」と言うと、つつとイタチの耳元に口を寄せた。
「サスケ君、なにやら貴方様を悦ばせようとしているみたいですよ」
「サスケが?」
「ええ。しかし私の口から言ってしまうのはあまりにも無粋。どうぞ楽しみにしていて下さい」
 袖で口許を隠して鬼鮫子がくつくつと笑う。
 遠回しながらも「会いたい」と文を送ってくれたこともイタチにとっては嬉しいものであったが、そのうえサスケはイタチのために何か用意してくれているという。
 早くサスケに会いたい。そう期待に胸を膨らませるイタチに不意に背後から声が掛かった。
「あら、ようお越しくださいました。旦那様」
 イタチが見世に来たと聞いたのだろう、楼主の小南が見世の奥から出てきた。
「扇なら台所にいましたよ」
「台所に?」
「ええ。なにか作る気なのかしら?」
 もう着替えも済ませているのに…と小南は首を捻る。
 だが、イタチは得心した。きっとサスケの仕度とは手料理に違いない。
「そうか。なら少し覗かせてもらおうか」
「おいっ…! ちょっ…! 待て!」
 台所へ向かうイタチを長門が真っ青な顔で追ってくるが、イタチは構わずそのまま台所へ足を踏み入れた。
 「暁」の台所には先日イタチが贈った紫陽花模様の打掛を纏ったサスケの背中が見える。
 しかし、なにやらサスケの様子がおかしい。包丁で何かを切っているわけでもなく、煮炊きをしている様子もない。
「サスケ」
 近付き、声をかけると、人参をはむっと咥えているサスケと目が合った。よもやイタチが背後に居るとは思わなかったらしく、サスケは驚愕に目を見開く。そして、次の瞬間、咥えていた人参を勢いよく噛み砕いた。
「…お前、何してるんだ?」
 イタチが首を傾げるその後ろで、長門が前屈みで「痛っ…!」と呻き声をあげていた。

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05へ続く
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