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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

「一期一振」おまけ無配 05

「一期一振」おまけ無配
2016.01.10発行の同人誌「一期一振」のおまけ無配ペーパーの修正再録です。
2016.10.16の「全忍3」に向けて1~3日に1話ずつ更新予定です。

※ 戦国パラレル(「一期一振」の設定・あらすじ・サンプルはこちら
※ イタチ(18才)×サスケ(13才)
※ イタチ兄さんは「八坂ノ国」の若き領主、サスケは女郎置屋「暁」で普段は不寝番、兄さんが来るときだけ「扇」という名で女郎(男)として働いています。
※ 兄さんはサスケを弟と知っていますが、サスケは兄さんを兄とは知りません。
※ これはサスケがまだ兄さんを兄さんとは知らず、体の関係を持った「一期一振」の1章と2章の幕間の小話集です。
※ 本編「一期一振」はシリアスですが、おまけ無配はコメディです。

※ 春壱・式の合同文
 
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■ うちはイタチのおしゃべりくっきんぐでおま

「こっ、これは…!」
 突然旦那さんから声を掛けられ、サスケはしどろもどろになった。
 だいたい何をしていただなんて答えられるはずがない。欠けた人参を手にしたまま顔を真っ青にしたサスケは「うう」と呻いて挙動不審に陥る。
 そんなサスケをうちはの旦那さんはしばらく不思議そうに眺めていたが、やがてふっと微笑んだ。得心したように頷く。
「そうか。お前、腹が減っていたんだな」
「はぁ…!?」
 何故そうなる。サスケは素っ頓狂な声を上げた。
 だが、うちはの旦那さんはサスケを押し退けると、「暁」の台所を陣取り、着物まで襷掛けをし始める。
「よし、今夜はオレが作ろう」
 いやいやいや。旦那さんを慕うサスケもさすがに付いていけない。彼は武家の名門の侍ではなかったのか。
「何言ってんだ、アンタ!」
「待っていろ。すぐにうまい天照かりーを作ってやるからな」
「あ…あまてらすかりー…?」
 聞き慣れない料理にサスケは首を傾げる。
 旦那さんは桶に張った水で手を洗い、置いてあった包丁を取り上げた。
「天照かりーはオレの母の得意料理だった」
「だったって…」
「随分前に亡くなった。折角だ。お前にも母の味を知ってほしい」
「そ、そういうことなら…」
 天照かりー。その正体は想像も出来ないが、とにかく旦那さんの興味が料理に移ったのは幸いだった。背後では何故かこのところめっきり病人然としてしまった長門も胸を撫で下ろしている。
 旦那さんは手際よく野菜を洗うと、謎の天照かりーなるものを作るため、まずはサスケが持っていた人参を包丁ですとんと切り落とした。そして、
「ほう、茄子もあるのか」
 台所の端にあった茄子をも目敏く見つけ、
「これもかりーに入れるか」
 茄子もまな板の上ですとんと切る。
「ところでサスケ」
「なんだよ」
 旦那さんは次々に根菜を刻みながら、傍らで不安げに彼の手元を見つめるサスケに言った。
「お前、オレのために励んでいることがあると聞いたが?」
「なっ…!」
 驚きのあまり、サスケは掴んだジャガイモを危うく落としそうになる。サスケが旦那さんのために口淫の練習をしていると誰かに聞いたのだろうか。しかし、まさかそんなことを一生懸命練習しているなどと口に出すことも出来ず、サスケは黙りこくった。
「サスケ?」
「た、大したことじゃねぇ…それよりその、あまてらすかりー? ってのを早く食ってみたい」
 精一杯甘えた声で旦那さんの着物の袖を引いて急かしてみせると、旦那さんは「そうか」と優しい笑みを浮かべた。
 一方、二人が楽しげに料理を作っている「暁」の台所の外では買い物籠を片手に料理番のトビは立ち尽くしていた。
「あのぅ~姐さん達のご飯が作れないんですけど~!」

 出来上がった天照かりーを部屋に運んで二人で食べる。名前からはどんな料理なのか想像もつかなかったが、香辛料の絶妙な辛味や食欲をそそる独特の匂いもサスケの嗜好に合った。
「サスケ」
 旦那さんはにこりと笑って匙に掬ったかりーをサスケに差し出した。
「なんだよ」
「口を開けろ」
 急に何を言い出すのかとサスケは首を捻る。しかし、巷の甘味処で仲睦まじい男女が同じようなことをしていたのを思い出し、旦那さんが何をしようとしているのか理解した。
 甘い雰囲気は今もまだ苦手だ。けれど、旦那さんとならきらいじゃない。
「…一回だけだからな」
 と断って、サスケは小さく口を開けた。
 天照かりーなるものは見た目こそ焦がしたように黒いけれど、この上なく美味かった。
「アンタの母親は料理が上手だったんだな」
「そうだな」
「他にもあるのか」
「あるよ。いずれまた作ってやろう」
「そうか」
 サスケには侍の旦那さんがどうしてこんなにも彼の母の料理を作って食べさせたがるのか不思議だった。ただ、こんなにも美味いのなら、彼の母親が生きている内に一度くらいその人の手料理を食べてみたかったとも思うのだ。

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06へ続く

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