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からりと晴れた露の合間の空。
昨日までの雨でできたいくつもの水たまりをよけながら砂利道を歩いていく。
道端で存在を主張し始めたアジサイの葉の上でカタツムリがのろのろと歩を進めている。
サスケは空を見上げて初夏の日差しに目を細めた。
晴れてくれてよかった。
この数日、雨が続いていたため、今日も雨だったら少々都合が悪いと思っていたが杞憂に終わった。
鬱蒼とした森を抜けていく。ところどころ焼け焦げた木々が見える。積みあがった瓦礫の山が見えれば、そこがサスケの目的地だ。
ぽっかりと森の中でそこだけ開けた空間。戦いの跡。
たった一枚残った壁にはうちはの家紋。
ここはイタチと戦い、そしてイタチが死んだ場所。命を懸けて自分に持てる力を授けてくれた場所。
色あせた家紋を指でなぞるとコンクリの冷たい、ざりざりとした感触。目を閉じると「許せ、サスケ」と微笑んだ顔と「ずっと愛している」と微笑んだ顔とが交互に甦る。
「兄さん」
もう二度と、イタチに名前を呼ばれることはないけれど。
サスケは家紋の前に花束と団子を置くと、お猪口を二つ取り出し一つは団子の傍へ、もう一つは自分の方へ置き、持参した酒を注いだ。とくとくとくとお猪口を満たす音が胸の奥に落ちていくように響く。お猪口を手に取り静かに杯をあわせる。
今年、サスケはイタチが死んだ年齢になる。
その前に
「誕生日おめでとう。兄さん」
生かされた命で俺は今日も生きているよ、兄さん
全ての戦いが終わった後、サスケがゆったりと優しい気持ちで兄さんのことを思い出せるようになっていたらいいいなぁという願望。