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前回はこちら
目の前にいたのは人気アイドルグループKNH48のサスケだった。
普段の女装とは違って、有名なメンズブランドの服をさらりと着こなしているサスケも色気があり、思わずどきりとした。
「悪い・・急いでて・・怪我はないか?」
サングラスを受け取りながら、俺を気遣ってくれた。なんて優しいんだ!
アイドルの素顔はステージ上での笑顔や愛嬌とは裏腹に、性格が悪いだの愛想が悪いだの高飛車だのと言われるが、サスケはステージ上と変わらず、優しくてかっこいい。
俺がサスケに見惚れていると、遠くから甲高い声が聞こえてきた。声のする方を見やると、何人かの女性があたりをきょろきょろしながら駆けてくる。
「やべっ・・なぁ、アンタ悪いけどちょっと付き合ってくれ」
「は?」
俺が応える前にサスケは高架下の薄暗い柱の陰に俺を連れ込んだ。
サスケが俺の手を握っている・・!!握手会でもないのに・・!
夢のようだ。いや、これは夢だな。こんなこと現実にあるはずがない。
いい夢だなぁ。
サスケは柱に背を預けると俺の腰をぐいっと引き寄せた。
夢なのにこのリアルな感触・・!!
「なっ・・!?」
「しー!合わせてくれ」
動揺する俺の唇に人差し指をあて、顔が往来から見えないように俺の左手を柱につかせた。そしてサスケは自身の右手を俺の後頭部に回し、ぐいっと唇が触れそうなくらいに引き寄せた。
「?!$#%&@*」
傍から見れば、高架下でカップルがキスをしているように見えるだろう体勢だ。
当たり前だがいまだかつてこんなに近くでサスケの顔を見たことがない。さらにサスケのつけている香水のいい匂いが鼻孔をくすぐり、俺の心臓は爆発寸前だし、思考回路はショート寸前だ。
バタバタとせわしない足音が通り過ぎていき、あたりに誰もいないことを確認すると、サスケは俺の頭から手を離した。
「すまなかった。ファンの女の子たちに囲まれて追い回されて困ってたんだ」
サスケは申し訳なさそうに笑った。
「いや、構わないよ。人気アイドルは大変だな」
俺がそう言うとサスケは苦笑いした。あ、可愛い。
「そうだ。今度お礼させてくれないか?」
「え?」
「今日はこれから仕事があるから無理だけど、今度食事でも」
そう言って微笑むサスケの顔を心のアルバムに貼りつけまくる。
って、いやいやいやいやいや!!!
今なんて言った?
お礼?なんの?食事?誰と?俺が?サスケと?
「そ、そんな・・俺はなにもしていない」
今を時めく人気アイドルの顔を眼前3センチ(イタチの目測)で拝めた上に触れてもらえたのだ。これはむしろ俺がお礼をしなければならないところだ。
「いや、ホントに助かったんだ。だから、な?」
とサスケは強請るように首を傾げた。
さ す が ア イ ド ル !
俺はサスケのこの人しぐさで完全にノックアウトだ。無言で何回も首を縦に振ってしまった。
「よかった。じゃあ、これ、俺のアドレスね。空いてる日、またメールして」
そう言ってサスケはメモを寄越した。
サングラスをかけなおし、キャップを目深にかぶったサスケは「じゃあ、もう行くから」と言って駈け出して行った。
残されたメモとサスケの走っていた方を眺め、俺はしばらくその場から動けなかった。
一体どういうことだろう。これは。
街中でサスケに会えただけではなく、触れられて、メアドゲットだと?!!??
夢だろ?なかなか醒めないけど、これは夢なんだろう?
頭上で環状線が通り過ぎていく轟音を聞きながら、俺はただ立ち尽くしていた。
しぶとく続けているドルオタ兄さん。
そしてまだまだ続きます。