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「あ、雪!」
誰かがそう言った。
灰色の空からちらりちらりと落ちてきた天からの贈り物に、大人も子供も歓声を上げた。
今日はクリスマス。
(道理で寒いと思ったら・・)
イタチはマフラーを口元に引き上げた。
1週間前からサスケはそわそわと落ち着かない。枕元に靴下を吊り下げては毎日確認している。「クリスマスにならないとサンタは来ないよ」と言っても、待ち遠しい気持ちが勝ってしまうようで、次の日にはまた靴下を覗き込んでいた。その姿が愛しくて、クリスマスまで少しでいいから時間が早く進んでくれればいいのに、と思った。
イタチは腕に抱えた包をぎゅっと抱きしめる。家に帰ったらどこかに隠しておかなければ・・サスケは自分が帰ってきたとわかったら一目散に玄関まで迎えに来るので、家に入る前に裏口の物置にでもいったん隠しておこう。
家に入ると窓際でサスケが雪を見て大はしゃぎしていた。
母は洗濯物をいそいそと取り込みながら、浮かれた小さな息子の姿に頬が緩ませていた。
「サスケ」と呼びかけると目をキラキラさせた弟が抱き着いてきた。
「兄さん!雪だよ!雪!」
「そうだな」
「つもるかな?」
「どうかな?」
そう言うと、サスケは「つもらないかなぁ~」とつぶやいて窓の外を見つめた。
「イタチ、サスケを連れてケーキ取りに行ってきてちょうだい」
いまだ雪よりも早く積もった洗濯物の山を片付けながら母が言った。
「わかった。サスケ、ケーキ買いに行くぞ」
「ケーキ!!」
はしゃぐサスケにコートを着せ、帽子とマフラー、ミトンをつけてやる。おいで、と手を伸ばせば小さな手でイタチの手をぎゅっと握った。
降り出したばかりの雪は少しずつ屋根や街路樹を白く覆い始めていた。
この調子なら、サスケの望むように雪が積もるかもしれない。
「兄さん、サンタさんきょうくる?」
「くるよ。サスケがいい子にしてたらくる」
「うん。いいこにしてる」
その言葉の意味をわかっているのかいないのか、サスケは無邪気に笑った。
「サスケはサンタさんにプレゼントはなにを頼んだんだ?」
「きょうりゅう!みどりの、とげとげしたやつ!」
「そうか」
よかった、今日買ってきたもので間違いなさそうだ。
「兄さんは?なにをおねがいしたの?」
期待に満ちたキラキラした目で覗き込んでくる。
俺のほしいもの?
それは、きっともうずっと前からもらってる。
「まだ秘密だ。明日になったら教えてやるよ」
「えー!兄さんずるい!!」
ぽかぽかとイタチの腕を叩いてくる。
「こら、サスケ。いい子にしてるんだろ?」というとしゅんと黙る。
いつでもくるくると目まぐるしく表情を変えるサスケの姿は、いつでも胸の奥にぽつりと温かい火を灯し、イタチの心をじんわりと温めた。
サスケ、俺にとってはお前自身が俺の人生に与えられた最高の贈り物だ。
しゅんとしていたのもつかの間、サスケはショーウィンドウのクリスマスツリーに心を掴まれたようだった。
明日になれば、プレゼントを開けて満面の笑みを見せてくれる君に会える。
それだけでいい。
それだけで十分だ。
クリスマスすべり込みセーフ・・!ゼイゼイ
サスケが甘いものがだめになったのって兄さんが里を抜けてからだということにしてます。なのでここでのサスケはケーキにも喜びます。
甘いものを見ると、甘いものを好んでいた兄さんを思い出すから食べられなくなったんじゃないかなぁなんて妄想して萌えてます。
ここにきて更新速度落ちてます。すみません・・!
師走って忙しいんですね・・