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「うちの長男がイクメンすぎる件について」
お昼を少し前に控えた頃、うちは家に響き渡るサスケの泣き声。
「どうした?サスケ」
いち早く駆けつけるのは兄のイタチ。慣れた手つきで抱き上げる。
「お腹空いたのか?」
生憎と妻は先ほど買い物に出かけてしまった。
「ミルクはあったか?」
私が立ち上がり、台所を確認するがそれらしきものはない。
「これから作るよ」
と言ってイタチはご機嫌ななめで泣き続けるサスケをおんぶ紐で自分の背に括り付けた。
「お前、作れるのか?」
「うん」
「熱湯を使うんだ。危ないぞ。父さんが・・」
やってやろうかと言いかけたところで
「素人は引っ込んでてください」
あ、はい。わかりました。
・・って・・ええぇぇぇぇええ?!素人?!
誰が?俺?俺か。
ぽかんとしている私を他所に、イタチがてきぱきと準備を始める。
台所の食器乾燥機から消毒された哺乳瓶を取り出し、粉ミルクをぱっぱっとその中に入れた。給湯ポットからお湯を注ぎ、流水でミルクを冷ます。手つきはまさにミコトのそれと何ら変わりない。
なるほど、上手い・・
「サスケ、ほら」
そう言って哺乳瓶の乳首をサスケの口元に持っていってやると、サスケがあむあむと口に含み、必死になって飲み始めた。
その様子を嬉しそうに見つめているイタチの眼差しが兄というよりも母だった。まだ5歳なのに・・
哺乳瓶が空になるころ、腹の膨れたサスケがうとうとし始めた。
「サスケ、まだ寝ちゃだめだ。げっぷしてから」
そう言って小さなサスケの背中をさする。
さすさすさす・・けぷっ!
「よし、もういいよ。サスケ」
よしよしとあやしてやると先ほどの泣きっぷりが嘘のように寝付いた。
完璧だった。ミルクを作り飲ませるところから寝かしつけるところまで。その何もかもが完璧だった。
そりゃ、これだけできれば俺なんて素人に見えるよね。
息子の成長が嬉しいはずなのに、おかしいな・・なんだかちょっと寂しいよ、父さん。
1時間後、帰宅したミコトが洗い上げられた哺乳瓶を見て
「あら、ミルク作ってくださったんですか?ありがとうございます」
と言った。
「ああ、うん。私じゃなくてイタチがな」
妻よ、うちの長男は超イクメンに育ったよ。
ブログサイトで寄せていただいた「幼少イタサス」というお題で3つ書かせていただきました。
前回同様、イメージしていたものと違っていたら申し訳ありません・・!
私も幼少ほのぼのイタサス大好きです!