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設定:21才大学生イタチ×16才高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
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マダラの話というのは、端的に跡継ぎ、というよりも彼の片腕についてのことだった。
うちはの結束は固い。だが、だからといって必ずしも一枚岩とは限らない。時代の流れの中この一族発祥の代々の地を離れたうちはもあれば、残ったうちはもいる。
そして弟を失い、夢半ばで破れたマダラは、失意の内でありながら、この地で新たに力を蓄え再起を図ろうとしていた。どう表舞台に戻るのか考えているのか、所詮人の心だ、おれは知らない。だが、
「お前、時々周りの者たちが愚かに見えはしないか。なぜこんな簡単なことも解らない、見通せないと思ったことはないか」
マダラの言ったそれだけは理解できた。
同時に見抜かれたとも思った。
十三の頃のことだ。
人より優れたゆえの孤独と苛立ち。
誰にも明かしたことのないそれがマダラとおれとの共通項になった。
「イタチ。おれのところへ来い」
そういったマダラの誘いも一興だと思っていた時分も確かにある。ままならない思いが制しきれず、父には逆らい、母の気遣いを受け取らなかった。サスケはまだ幼かったけれど、何か感じるところがあったに違いない。
距離を置くべき。そう判じた。判じていた。だが、
「来ないのだな」
マダラは酒を干して、言った。
マダラはおれの手、指の噛み痕を見ていた。風呂場でサスケに噛まれた傷痕だ。
それが理由か、と問われた。
これが理由だ、と答えた。
いつまでサスケがおれを必要とするかはわからない。サスケがおれと関係を持ちたがるのも、もしかすれば喪失を恐れる余り兄を慕う道をただ踏み外した一時の感情なのかもしれない。
サスケは強い。子供じゃなくなる日が必ず来る。きっとそれはもう遠くない。
だから、必要とされる間は傍にいたい。今のおれがサスケに与えられるもの、それがいつか大人になる彼の心を支えられるのであるのなら尚更に。
そうして、サスケのためじゃない。失いたくない。そう思っている、おれのために。
「弟は大事にしろ」
と、マダラはそれだけを言った。
イズナを守りきれなかった無念がどれほどのものか、サスケがいるおれには解り兼ねることだった。
マダラとの話を終え部屋へ戻ると、既に明かりは落とされていた。枕元の行灯だけが辺りを茫洋と照らしている。
サスケは並べて敷かれた布団に、こちらには背を向け横になっていた。眠っているのだろうか。おれもまた声は掛けずに隣の布団に体を横たえる。
けれど、彼の上下する背を見つめる内、ふと思うところがあって、足だけをサスケの布団に潜り込ませた。浴衣の裾を乱して肌に触れる。
やはり、冷たい。冷えている。
「布団に入っていたのに、冷えているとはどういうことだ?」
起きていると確信し、訊ねる。
けれど、彼は先程のおれのように黙りを押し通すつもりらしい、何も言わなかった。こちらを向くことすらしない。
「サスケ?」
「…何の話をしてたんだ」
何度か呼んで、漸く答える。
無論、言えるはずもない。余計な不安は与えたくなかった。
一族の話だと曖昧に返す。
彼は「そうかよ」とだけ相槌を打った。
胸が痛む。
全てにだ。
「サスケ」
「なんだ」
「抱いて寝たい」
お前を抱いて寝たい。
初めてサスケが振り向く。行灯の明かりがうっすらと赤く見せる眸は驚きに開かれていた。
「な、に言ってんだ、アンタ。さっきだって…」
「何もしない。ただ抱きたいだけだ。いやならいい」
言うと、サスケはぎゅっと唇を結んだ。布団の中、もぞもぞと端へ寄る仕草をする。
「本当に何もしないんだな?」
同じ布団に入るおれをサスケは訝しげな目で見上げてくる。それごと腕に抱いてもう一度体を横にしながら、おれは戯れに彼の耳に接吻けた。
「してほしいのか?」
冗談だった。からかったつもりだった。ばか、ちがう。そんな答えを期待していた。
だが、おれの胸に顔を擦り寄せたサスケは、
「してくれ」
そう呟いておれの腰に手を回した。ぎゅうと浴衣を握られる。
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昨日眠さのあまり、「ごめん!眠い!」と春壱さんに謝って寝てしまいました…ごめんなさい。でも今日は仕事が休みなので、一日中イタサス書くぞ!いくぜ108!
そして私のリクエストに答えてくれてありがとう、春壱さん!