51:リレー小説_現代パラレル「イチャイチャ旅ティクス」01_金曜日の夜 【108企画】リレー小説「イチャ旅」 2013年12月17日 設定:21才大学生イタチ×高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。 担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱 形式:リレー。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- サスケと共に父の呼び出しを受けたのは、金曜日の夜のことだった。 「…話っていったい何だ」 父さんがお前とおれを呼んでる。そう伝言がてら弟の部屋へ迎えに行くと、半分開いた扉から顔を覗かせた彼はみるみる浮かない表情になった。 だが訊ねられたところで、おれは父さんじゃない。 「さあな」 と、はぐらかして先だって階段を下りる。サスケは答えを諦めたらしく、すぐに後を追ってきた。 昔から何代も継いできた古い家だ。すっかり黒ずんだ板がぎっぎっと音を鳴らす。 実のところ、サスケの晴れないこころ内が解らないわけじゃない。 さすがおれの子だ。 父さんがおれにはよく聞かせたその言葉を、サスケに向けることは少なかった。 「うちは」は長く名を継いできた家柄だ。遡れば戦国の小大名まで源流を辿ることができる。そういう名門が故の誇り高さと、裏返しの傲慢が、より「優秀」を良しとする一族の風潮を育てていったのだろう。 おれたちは幼い頃から比較をされ続けてきた兄弟だ。五歳の差を埋めることが出来ないサスケが次第に兄弟揃って呼び出される場に警戒心を抱くようになったのはある意味当然の自衛手段だった。 加えておれたちには知られてはならない二人だけの隠し事がある。 「どうせ大したことじゃない」 父の部屋の前、襖を開ける前にサスケだけ聞こえるよう囁く。 サスケはそれでも難しい顔をしていたが、結論から言うと話はごく簡単なことだった。 うちは一族は時代が下るにつれ、発祥の地を離れ、今はおれたちのようにそれなりに大きな都市の近郊に住まう者が多くなったのだが、今も少数がもとの土地に残り、広大な山林を管理しながら暮らしている。元来閉鎖的なきらいすらある一族だ。離れてしまったとはいえ今も一族間の繋がりは深い。父さんの話というのは、師走で仕事が忙しい自分に代わり、おれがサスケも連れて田舎の一族のもとへ暮れの挨拶に行って来いというものだった。 「お前ももう二十一だ。おれの代わりにこういうことをしてもいい歳だろう」 気乗りはしないが、異存はない。それは曲がりなりにも、おれは長男であるという意識があるからだ。明日土曜日も特に予定を入れているわけでもない。父さんの言葉に頷くことで了承をする。 他方サスケも、 「サスケも兄さんに付いて勉強をしておけ」 と言われ、こちらは思いのほか物わかりのいい声で「はい」と返事をした。 その後、父さんの部屋を辞し、台所の母さんから明日デパートに寄って買う菓子折りの代金を預かる。サスケは別に今は付いて来なくていいぞと言ったのに、付いて来た。 「そのマダラって奴の家、遠いのか」 今度はサスケが先に立って階段を上る。心なしか足取りが軽い。 「電車とバスを乗り継いで三時間くらいかな。…ところで、言葉遣いには気を付けろよ、お前」 「それくらい分かってる。それにしても面倒だな。朝一で菓子折りも買いに行くんだろ」 「そうだな。まあ早く済んだら夕飯くらいは二人で食べられるだろう」 「寝坊すんなよ、兄さん」 「お前こそ」 じゃあ、おやすみ。 そう言い合って、部屋の前で別れた。 明日の朝は早くなりそうだ。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- ほぼ設定説明の回。タイトルは春壱さん作。 しかしタイトルに似合わぬシリアスちっくな言い回しで中身を書いてみた!ギャグテンションで続きを春壱さんが考えていたら、申し訳ない。では、春壱さんにバトンパス! ところで今日春壱さんが上げてたセーラー服サスケ!遊びに来てくれた我が家でごりごり描いてはりました!ありがとう!ありがとう!ケーキもありがとう! PR