70:リレー小説_現代パラレル「イチャイチャ旅ティクス」07_うちはマダラ 【108企画】リレー小説「イチャ旅」 2013年12月23日 設定:21才大学生イタチ×16才高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。 担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱 形式:リレー。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 集落に最も近い停留所で降車する。 「田舎だな」 とはサスケの言だ。よく的を射ている。走り去って行く客を乗せないバスが失せたら、あとは四方ただ山になった。 うちはの里はここからまだ二十分ほど掛かる。 「行こうか」 白い息を吐くサスケを伴い、歩く。終始無言になったのは、なにも珍しいことではない。 バスの路線道路を外れ、昨夜か今朝に降ったのだろうか、雪に濡れた道を行く。 やがて視界に人家がぽつぽつと見え始めるころ、サスケが口を開いた。あれか、と言う。あれだ、と答えた。 あれがうちはの里だ。 集落へ入る。昔から、今もまだ、この辺り一帯に力を持つ一族発祥の里らしく、厳めしい門構えの家々が緩い上り坂の道沿いに続く。石垣は古い時代に積まれたものだろう。後ろのサスケは「へえ」と物珍しげに触れていた。 無論、道々おれの顔を知る一族は声を掛けてきたが、だがこちらがまだマダラに挨拶を済ませていないと知ると、早々に解放してくれた。マダラはいわば里長のようなものだ。一族の象徴ともいえる。因習はこんなところでは役に立つものだなと半ば呆れ、連れたサスケが会釈程度で済んだことを感謝する。 そのマダラの邸宅は里の最も奥まったところ、坂を上り切った先にあった。一際古い瓦葺の館がそうだ。玄関で父の名代で来たことを家の者に告げる。奥へ通され、待つように言われ、暫し、 「挨拶とはまたご苦労なことだな、イタチ」 うちはマダラが姿を見せた。正座をするおれたちを余所に、上座に胡坐をかく。 持ってきた菓子折りは作法に従って渡したが、マダラの関心事は早くもサスケに移っていた。 「そいつは?」 と訊ねられる。 すると、おれより少々後ろに座っていたサスケは、おれが答えるより早く自分で自身の名を名乗った。 「サスケだ」 「ふうん」 サスケか、と今度は立てた膝に乗せた腕の手に頬を預けながら、マダラの目がおれへと動く。 「お前の弟か」 「ああ、そうだ」 また「ふうん」と頷く。 ぎょっとしたのは、マダラの手がつとサスケへ伸ばされたからだ。 思わず間に腕を割って入る。 マダラはくっくっと可笑しげに笑った。 「どうした、イタチ。お前らしくもない」 「……」 手を下ろす。 背後では困惑したようにサスケが小さくおれの名を呼んだ。 なんでもない、とだけ返す。 マダラもまたサスケから手を引いた。その指先が名残惜しげだったのは、 「お前は少し面差しがイズナに似ている」 そういうわけだったからだろう。 イズナの名を知らないサスケが戸惑うのは背に伝わってきたが、この場で話すには適切ではない。後で話してやると言い、制する。 加えてマダラ自身、イズナの話をこれ以上するつもりはないらしい。 「まあせっかく遠路遥々来たのだ」 話の先を変え、「今日は泊まっていけ。一族の者も夜には集まる」と言う。 そのつもりもないし、何も用意してきていないと断るが、 「お前のことだ、こう言われることを見越して何も持って来なかったんだろう」 と図星を突かれる。 その通りだ。俺はともかく、サスケをここへ長居させるのは酷というものだろう。好奇と値踏みの視線に晒され、身を固くするサスケの姿をおれはもう何度も見てきている。普段は強気な弟だが、一族を取り纏める父の立場を思えばこそ、黙って耐えているに違いなかった。 だが了承は意外なところから来た。 「おれは別にかまわない」 振り向く。 サスケは平然としていた。 「どうせ今日帰ったところで何も変わらない。次も同じだ。なら今日がいい」 「サスケ、お前」 「兄さん。おれはもうガキじゃない。何を言われようが、聞かなければいいだけのことだ」 「…なら決まりだな」 と、マダラは頷いた。 「部屋と着るものを用意させる。その間にイタチ、そいつを連れて風呂にでも入ってこい」 今日は一段と冷えると言うマダラを制して、サスケは「そいつじゃない、サスケだ」と目を尖らせた。 「お前の弟は随分強気だな」 マダラは面白げに笑った。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 兄さん過保護爆発中。 マダラも登場。マダラとイズナの兄弟も大好きです。イズナの一言がマダラを縛っているところとかたまらんです。 そしてお風呂フラグを立てた!春壱さんにパス! PR