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設定:21才大学生イタチ×高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
部屋を辞し、イタチと俺はマダラの家に仕えている老婆に連れられて、湯殿へ向かうことになった。
思わぬ形で泊まりになってしまった。
これは喜ぶべきか、軽率な願望だったと思うべきなのか。
イタチは俺がここに泊まることを了承したことを意外に思っているようだった。
「夜には一族のものが集まる」
マダラはそう言っていた。今まで会ったこともない人間にイタチとの差を比較されることになることをイタチは懸念しているのだろう。
なんてことはない。
いつものことだ。だからいつものように深く咀嚼したりせず、そのまま飲み下せばいい。
マダラは?マダラもそうするだろうか?
そして、また俺の向こう側に「イズナ」という人物を見るのだろうか?
途中、初めて訪れる家だからとイタチが厠の場所であったり、洗面所であったり、マダラの家の間取りを俺に教えてくれた。
初めて会ったマダラの印象は「食えない奴」。イタチが警戒する姿勢を見せるほどだからよっぽどだ。先ほどはあっさりと手を引いたが、本来はもっと強引で他者の言葉も、ましてや指図など受け付けない性分の人間なのだろう。
長い廊下を黙々と歩いていく。暖房器具のない廊下は足元から冷気が這い上がってくるほど寒く、一度は脱いだダウンジャケットが恋しくて仕方がない。
庭師によって剪定された庭では雪を纏った鹿威しが寂しげに上を向いたまま凍っている。普段であれば滾々と水が流れ込んでいるはずの場所は氷に形を変えていた。
鹿威しの脇に植えられた寒椿は真っ白な世界で存在を主張するかのように紅色の花弁を広げて枝から零れ落ちそうだ。春には様々な草花が庭を彩るのだろう。
邸の一番奥に湯殿があった。その温泉宿にも引けを取らない広さにここが個人の家であることを一瞬忘れさせた。
マダラは毎日こんなでかい風呂に一人で入ってるのか?
「後ほどお召し物をお持ちします。タオルはそこの籠の中のものをお使いくださいまし」そう言うと、老婆は脱衣所の扉を閉めた。
ふうっとイタチがため息をついた。
「まったく、あの人の強引さには困ったものだな」
「アンタでも言い負かされることがあるんだな」
そう言うとイタチは少し眉を顰めた。
普段から冷静に客観的に俯瞰でものごとを見るイタチが、理屈のやり取りで負けることはまずない。イタチを負かすことができるとしたら理屈も通らぬ感情論かそれを上回る屁理屈。マダラはその両方を持っている気がする。
「サスケ、お前・・」
「見ろよ、兄さん。かけ流しになってるぜ。ここの風呂。スゲーな」
浴場の扉を開けて振り返らずに俺は言った。
アンタの気遣うような言葉を今は聞こえないふりをした。
俺はダウンジャケットを脱衣籠に放り込み、さっさと衣服を脱ぎ始めた。
ここにきて今更帰るとも言えないだろう。ならば淡々とこなせばいい。どうせたった一晩のことだ。
それに、実をいうと俺は結構楽しいんだ。兄さん。
朝早くからデパートで買い物をして、こんな風に遠くまで二人で出かけてきて、温泉に入る(温泉は予定外だったが)
一緒に暮らしていても最近じゃこんな風に二人で一日中一緒にいることなんてなかったから単純に嬉しい。
二人並んで体を洗い、髪を洗って湯に浸かる。男二人が入ってもまだ余りある大きな湯船は長方形の檜造り。中央にある湯口から滾々と湯が流れこんでいる。
肌に貼りつくのが煩わしいのか、イタチはその長い髪を無造作に結い上げている。普段隠れているうなじに伝う滴が電球のオレンジ色の光を受けて艶っぽく光る。思わず吸い寄せられる視線を無理矢理逸らした。
「唇・・」
「え?」
「大丈夫か?」
昼間にうどんのつゆで火傷したところ、と付け加えた。
どうして今そのタイミングでそんなことを聞くのだろう。
血の巡りが良くなり、いつもよりも温かいイタチの指先が慈しむように俺の唇を撫でる。
それだけで、そのあまりにも優しい所作に胸の奥が掻き乱され「ああ」と答えるだけで精一杯だ。
唇から離れる指先が名残惜しくて気付いたらイタチの手を握り、もう一度その指先を唇に押し当てていた。
この優しい指先の心の所在はどこにあるんだ?
そんな風に思うのはもう何度目だろうか。
「サスケ?」
どうした?と首を傾げるイタチを他所に、俺はイタチの指先をちろりと舐めた。そして、人差し指を口内に招き、舌を絡める。
イタチは何も言わない。
俺は顔を上げることができなかった。
思い切って迫ってみたけど、兄さんの反応がどうなってるのか怖くてみれないサスケェ…
変なところで切ってごめんなさい!この後の兄さんの反応を式さんにバトンパス♪