43:原作終了後パラレル_兄さん生き返り同居設定 【108企画】式 2013年12月14日 原作終了後、兄さん生き返り設定。木の葉の里で二人暮らし。前後編の後編。 前編にはこちらから。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「戻ったか」 先に部屋へ行っていろ、と味噌汁を温める台所のイタチに促され居間へ行くと、こたつで筆を執り書き物をするイタチがいた。 「……」 なんだ。 影分身だったのか。 イタチの角隣、こたつに入りながら視線を遣ると、 「どうした?」 とイタチが訊ねてきた。 なにが「待ちたいと思っている」だ。 おれはイタチの書いていた巻物に目を落とした。なにかの見聞録らしい。暁の頃、イタチは各国を渡り歩いていたため、里に頼まれでもしたのだろう。たかが夕食作りと比ぶべくもない。 「アンタ、影分身してるだろう」 言うと、イタチはあっさりと頷いた。 「ああ。効率がいいからな。だが、そろそろ夕食の時間らしい」 手早くこたつの上を片していくイタチ。 と同時に盆に夕食を載せたもう一人のイタチが居間に入ってくる。そのイタチはおれの顔を見て、どうしたとまた訊ねた。 「…べつに」 「そうか。なら冷める前に食べるといい」 広げられていた巻物がするりと巻かれ、代わりに温かな夕飯が並べられていく。 箸を取ると、空いた向かいにもう一人のイタチが座った。 「え…」 角隣の、書き物をしていたイタチを思わず振り向く。 すると、彼は意味深に笑んで、たちまち消えてしまった。 「アンタ、影分身ってさっき…」 今度は向かいのイタチを見遣る。 イタチは早速味噌汁に口を付けていた。ずっ、と啜る。 「影分身をしているとは言ったが、本体だとは言っていない」 「……」 確かにイタチの言う通り、ここで筆を執っていたイタチは、おれの問いかけに影分身をしているとしか答えなかった。 だが何か釈然としない。 「また思い込みか?」 「うっせー。…だいたい里からの依頼を分身にやらせているなんて思うかよ。逆だろ、普通」 「どちらもおれだ。精度に変わりはない」 それより早く食べろと促され、渋々味噌汁に手をつける。温め直してくれたおかげで、冷えた五臓六腑に染み渡った。炊きたての白飯の上に沢庵をのせ、頬張る。ぶり大根は、たぶんこいつを作るために影分身を使ったのだろう、煮汁が染みて旨かった。 「…それにな、サスケ」 イタチもまたぶり大根を頬張る。 「なんだよ」 と返しながら、おれもまた味噌汁を啜る。 「言っただろう」 「なにを」 「おれだってお前の帰りを待ちたいと思っている、と」 「……」 ばっかじゃねーの。 とは言えないおれの味噌汁は、ずっと傾いたまま、もう半分以上も干されている。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 恥ずかしいし照れちゃって味噌汁を飲み続けるサスケェ…。 兄さんは、私の中では、寡黙だし言葉を端折ったり言い回しがややこしい時もありますが、言うときはけっこうストレートに言葉にしそうだなと。ずっと愛している、とか素で言える人。 一方サスケは、言葉やしぐさの端々に兄さんへの愛情がだだ漏れですが、ストレートな言葉は言うのも聞くのも照れるだろうなあと思います。 PR