95:現代パラレル_高等部生18才イタチ×中等部生13才サスケ 【108企画】式 2013年12月31日 副題「兄さんは図書委員」 この話の半月後くらい? -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 遅いな。サスケはそう思い、凭れていた正門の石造りの柱から背を離した。 学校指定のコートと今日も兄から貸してもらったマフラーで覆われたところは温かいが、真冬の風に晒された頬は痛い。 西の空に僅かに朱を残し、日は疾うに暮れている。サスケの頭上は夜だった。 一緒に帰るなら正門で待っておけ。 そう言った兄に従いここにいるが、いつもは遅くとも十分ほどでやって来る兄が、今日はなかなか姿を見せない。 少し迷って、サスケは校内にとって返した。すれ違いになっても携帯電話がある。問題ない。そう踏んだ。 だが、図書棟まで来て、サスケの足はぎくりと止まった。最終下校の時刻を過ぎたはずだというのに、閉じられた扉の奥に人の気配がある。なにを言っているかまでは分からないが、兄と誰か、女の声だ、が話をしていた。 こんな場面に遭遇するのは初めてではない。もう何度もあった。ただ馴れない。それだけだ。 イタチはもうすぐこの学園を卒業する。遠い大学へ進学する。家も離れる。だが、それでもサスケはイタチの弟だ。本当に離れてしまうわけではない。盆や正月くらいには、あるいは気まぐれの休みの日なんかには会えることもあるだろう。比べて例えば今この扉の内にいる彼女はどうだ。もう二度とここを卒業したらイタチには会えない。 だからだろう、このところイタチのこういった場面に出くわすことが多くなった。 扉の内では話がまだぼそぼそと続いている。 どうせムダだ。イタチは断る。サスケは確信していた。イタチに彼女があった節は幾度かあるが、結局長くは続かなかった。 扉が開く。サスケより歳上、高等部の女生徒が出てくる。ちらりと互いに視線を交わしたが、特段掛け合う言葉もない。足早に去る彼女のスカートのひらめきが廊下の向こうに消えるのを待って、サスケは図書棟の扉を潜った。 イタチはもう何事もなかったかのように片付けを始めている。 「美人だったんじゃねーの」 言うと、 「お前の方が可愛いよ」 とからかわれる。 無性に腹が立った。それは名前も知らないがけれど先程の女にあまりにも不誠実なんじゃないかと思った。 イタチを睨む。 すると彼は片付けの手を止め、こちらへ一歩詰めた。その分だけサスケが下がる。端には滑稽にもそれを繰り返す内、背後の書架に追い詰められた。古い本独特のにおいが鼻を擽る。イタチはもう目の前だ。 「本当だ、サスケ」 「な、に、言ってやがる」 なんと返していいか分からない。 覆い被さられるように体が、顔が、寄せられる。逸らしても距離は離れない。 口許を覆っていたマフラーが貸してくれたその兄によって、手を差し入れられ緩められ解かれていく。 キスをするように唇に触れたイタチの指先の感覚だけが、サスケの全てになった。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- よし、リレー続き書きます! PR