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いつもはどんなことでもメールで連絡してくる弟が電話を使うなんて珍しい。しかも迎えに来てほしいだなんて一体どういう風の吹き回しかと思ったら、その疑問は簡単に失せた。
酔っぱらっていたのだ。
4月からゼミが始まり、その親睦会で半ば強引に連れていかれたらしい。もともと酒に強くないサスケはグラス1杯のカクテルで潰れてしまったのだとか。
店を出ても酔いが醒めず、一人で帰れないと悟り、電話をかけてきたというわけだった。サスケに言われるままにたどり着いた公園のベンチでサスケは蹲っていた。
「サスケ」
声をかけるとぴくんと肩が動き、顔を上げた。
「にい・・さん?」
酒を飲んでからどれくらい時間が経っているかは知らないが、サスケの顔はまだ赤く、目の焦点もとろりと失われている。
「立てるか?」
「ん・・」
酔いに加えて眠気も加わってきたようで、いよいよ体に力が入らなくなっている。俺はサスケに背に乗るよう促した。子供じゃあるまいしと嫌がるかと思ったが、存外すんなりと乗ってきた。今は体が辛いことの方が勝ったのだろう。
しかしさすがに重い。
この歳になってまた弟を背負うことになるとは思わなかった。幼い頃はよく外へ遊びに行った。サスケは大はしゃぎで走り回り、帰るころに電池が切れたように眠ってしまうので、帰りはいつもおぶって帰らなければならなかった。
いつからやめてしまっただろう?
もう覚えていないが。
「飲めないなら飲めないと言って断れ」
と軽く小言を言ってやると
「ジュースだって・・飲まされたんだ・・」
ぐりぐりと背中に額を擦りつけ、ぎゅっとしがみついてくる。
「俺は飲めないと言った・・ちゃんと・・・」
「わかったわかった」
だんだん子供のようにぐずり始めたので、早急に連れて帰り、寝かせることにした。
成人しても眠たいときに不機嫌になるのは相変わらずで、思わず笑ってしまう。それと同時に変わらないことがあることに少し安心する。
アパートに着くころには少し酔いが醒めてきたようで、家の鍵を出す間はじっと自分の足で立ち、おとなしく待っていた。扉を開けて先に入るよう促してやると、まだおぼつかない足取りで靴を脱ぎ、リビングへ入っていった。
人のベッドに倒れこむなり、猫のように体を丸めて横になった。
「サスケ、水、飲むか?」と問いかけるが返事はない。寝てしまったのだろうか?
「サスケ」
脇に腰掛け、サイドテーブルに水の入ったグラスを置いた。瞼にかかる前髪をそっとどけるとくすぐったいのか頭をもぞもぞと動かした。頬に触れるとまだほてりが残っていて温かかった。
すると、自分より冷たい手が心地いいのか、俺の手に頬を摺り寄せてくる。その所作はまるで
「猫みたいだな」
うっすらと開かれた唇を人差し指でなぞると、ピクリと唇が反応し、瞼を上げた。
「水、飲むか?」
グラスを指すと、こくんと頷き、酒で掠れた声で「飲ませて」と強請った。
「お前、今日は我儘だな」というと、サスケは眉間に皺を寄せ、拗ねた。
グラスの水を口に含み、顎を掴んでこちらを向かせる。サスケは待ち構えていたように口をうっすら開き、俺の舌を受け入れた。舌を絡めて伝わせるように水を流し込む。アルコールが抜けていないせいか口の中も舌も熱い。
「ふ・・ン・・んん・・!」
サスケが最後の一滴まで搾り取るように舌を絡め、啜ってくる。それに応えてやりながら自分の体の奥に灯る熱を感じていた。
まずいな
唇を離すと、物足りなさそうな顔でこちらを睨む瞳と目が合う。
「酔っているならもう寝ろ」
口の端に伝う飲み下せなかった水を拭ってやると、その手を取ってサスケが指を舐めはじめた。指先をくるりとひと回り舐めると、人差し指を咥えた。根元まで咥え、唾液を絡ませた指をゆっくり口の中から引き抜く。てらてらと濡れた指先と俺を交互に見つめ、指の間に舌を這わせ始めた。
「サスケ」
「酔ってるから・・いやなら突き放してくれ」
明らかに酒のせいだけではない赤みを頬に散らしながら絞り出すように言った。
酔いのせいだと言わなければ「したい」と言えない不器用な弟の誘い。カッターの襟から覗く鎖骨に吸い付き、朱の跡を残しながら応じることを伝えた。
108本番エロに向けてリハビリ。
書き留めていたネタから引っ張り出したものの当初どういうつもりで書こうとしていたのかさっぱり思い出せない・・
多分酔っぱらったサスケが兄さんに我儘いう・・だったはず・・