世話焼きな彼のセリフ_「2. 俺はお前の保護者じゃないんだけどな」(リレー小説④) 【24企画】春壱 2014年07月14日 「絶対にチューしてはいけない24」 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。 縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。 ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式) サスケの誕生日に、サスケの望むことをと思い、いつもなかなか付き合ってやれない修行か、もしくはたまには羽を伸ばして出かけてみるか?と提案したら、「修行」と返ってきた。 ある程度予想はしていたが、改めてそう言われるとあまりにもサスケらしくて笑ってしまった。 だが、サスケがそう望むなら、彼の気のすむようにさせてやりたい。 昔からこと家族にはその身の丈に合わないほど気を配るサスケのことだ。 普段言いたくても言えないこと、時と場所を弁えてその心の内を明かすことなくそっと鞘にしまったことが数多あるだろう。彼のその細やかな心配りに家族が助けられたこともまた事実。 明日くらいは、言いたいことを言って、やりたいことをさせてやりたい。 しかし、だ。「修行を」と言ってきたサスケの態度が少し気になった。 彼の本音に間違いはない。だが、迷っている。そんな気がした。 遠慮といったものの類ではなく、本来サスケの持つ性格か、性分か何かが、彼の想いをもやもやとさせているようだ。 生憎、オレにその心の内を知る術はないが、修行をしているうちに、少しでも溢してくれればいい。そう思いながらオレは眠りについた。 朝、居間へ行くと、すでにサスケは身支度を整え、朝食を取っていた。 「なんだ、随分と張り切ってるな」 というと 「そんなんじゃねぇよ」 と味噌汁を啜った。 そんなサスケの隣に座り、一緒に朝食を取る。 久しぶりに朝からサスケの修業を見るといったら、母に呆れられた。 「誕生日くらい、普段しないことしたらいいのに」 というのが母の言い分で、もちろんそれはオレもよくわかる。 だが、サスケが自分が頼んだことだと言ったら、また呆れられた。 家を出る時に、母が握り飯を包んで持たせてくれた。 「あなたがついてるから大丈夫だと思うけど、明日からまた任務なんだからあんまり無茶しないのよ。水分はこまめにとってね。わかってると思うけど、夜は父さんも早く帰ってきてサスケのお祝をするんだから遅くならないようにね」 と言い含められた。 引き戸を開けて外にでると、先に外に出ていたサスケがオレの手中の包みに気がついた。 「母さんが持たせてくれた」 「随分といろいろ言われてたな」 「そうだな。母さんも心配なんだろう」 いくつになっても心配。そういうものらしい。 しかし、 「オレはお前の保護者じゃないんだけどな」 いつまでも兄として見守ってやりたいと思う気持ちと、もう守られるだけの存在ではないサスケを一人の人間として対等であろうとする気持ちと。そして… くしゃりとその感触を確かめるようにサスケの撫でると 「だから!髪の毛ぐしゃぐしゃにすんのやめろって!」 と案の定怒られた。 「悪かった。つい、な」 といつものように額を小突いたら、ますます拗ねてしまった。 修練場に着いてからは、以前に教えたとおりにやってみろと、術を発動させたが、サスケの言う通り、制御と威力が不安定で、実戦使わせるには危うい出来だった。 細やかなチャクラコントロールを必要とする術なので、昔から繊細なチャクラコントロールが苦手なサスケにはやりにくいのだろう。 だが、何度かコツを教えるうちに次第に形になってきた。くり返し練習すれば実戦で発動できるようになるだろう。しかし、 「サスケ、この辺にしないか?」 そういうとサスケはきょとんとした顔で「なんでだよ」と不満の声を上げた。 もう少し練習すれば安定するのは確かだが、朝からずっとチャクラを要する術を練習しているので、このまま続ければばててしまうだろう。 そうなればせっかくサスケを祝おうと料理を作ってくれている母の気持ちや、仕事を早く切り上げ、帰ってくると言っている父の気持ちはどうなる?というと、サスケはオレの提案を受け入れた。 母が出かけに持たせてくれた握り飯を食べながら、 「昼ご飯を食べたら、ちょっと隣町まで付き合ってくれないか?」 「え?別に…いいけど…何かあるのか」 「ああ、ちょっと買いたいものがあるんだ」 というと、サスケとイマイチ腑に落ちない、という様子で「ふうん」と言った。 自分から「お出かけしてみたい」と言ってみようか、どうしようか、と言いだせないサスケに兄さんは気付いたようです。 兄さんがサスケを連れだします。 そんな隣町までの道中を式さん、よろしくです! PR