恋に気づかない彼のセリフ_1.「アンタがいないと調子でねーとか、俺どっかおかしいのかな」(リレー小説③:式) 【24企画】式 2014年07月10日 「絶対にチューしてはいけない24」 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。 縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。 ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式) 今日から新しいお題です。もだもだサスケ。 ------------------------------------------------------------------------------------------ 「なら、どこか出かけるか?それとも修行か…そういえば前に出来ないと言っていた術があったな。手伝ってやるからもう少し頑張ってみるか?」 洗面所へ入っていく兄さんを見送り、自室へ戻ったおれは先程の兄さんの言葉を思い返しながらベッドに転がった。昼間庭に干されていた布団にはまだ太陽の日差しの温もりが残っているようだった。 修行。それはおれが望んでいた一日だ。 兄さんの言う通り、おれには一つ手に余る術がある。一度兄さんの教えを乞い何度か試してみたが、まだ上手くは出来ない。実戦で使うわけにはいかないだろう。確率が低すぎる。 日頃暗部の任務に忙殺されている兄さんがその修行に付き合ってくれるという。こんな機会は滅多にない。 二つ返事で答えてもよかったはずだ。 だが、おれは。 寝返りを打つ。部屋のカレンダーが目に入る。居間のものとは違い、真っ白な四角い枠がただ並んでいる。 「……」 出かけるって何だ。 何処かへ行くのだろうか。二人で。 もしおれがそうしたいと言ったら、アンタはいったいどんな顔をするだろう。 おれはどんな顔で言うのだろう。 ベッドからのそりと体を起こした。 階下へ降りると風呂上がりの兄さんは夕飯を食べていた。母さんはと訊くと、入り代わりで風呂に入ったらしい。 兄さんの向かいは父さんの席だから、二人きりだったけれど、おれは兄さんの隣に腰を下ろした。 「なあ、兄さん」 「うん?」 「さっきの話だけど、明日は…」 修行に付き合ってくれよ。 どこか後ろ髪を引かれるような思いでそう告げた。理由は分からない。 兄さんが付き合ってくれるというだけで十分なはずなのに。 兄さんは「そうか」と頷いた。丁寧に魚の身をほぐし、口に運ぶ。 「あの術、前に教えた通りじゃ上手くいかなかったか」 「ああ。発動はするが、威力と制御が思った通りにはまだいかない。むしろ兄さんに教えてもらった時が一番上手に出来たくらいだ」 「ああいうのはだんだん自分の癖に引っ張られるからな」 確かにそうかもしれない。 しかし、だ。 「アンタがいないと調子でねーとか、俺どっかおかしいのかな」 呟くと、少し俯いていたらしいでこをいつものように小突かれた。 顔を上げると、兄さんが微笑っている。 「お前がおれといると張り切るのは昔からだろ」 たぶん昔挫いた足のことだ。 人のでこを好き勝手に突いてくる指を払う。 「昔のことをいつまでも言うなよな、恥ずかしい」 「そうか。悪かったよ。許せ、サスケ」 「明日、修行に付き合ってくれたらな」 「…修行か」 と、兄さんは沢庵を齧った。 ぽりぽりと音が鳴る。 「なんだよ」と返すと、ふふと可笑しげに笑われた。 「誕生日なのにお前らしいなと思っただけさ」 「悪かったな」 出かけるのか、修行をするのか。 おれらしくないことなんて選べるかよ。 ------------------------------------------------------------------------------------------ 修行を選んでみた! でも、兄さん、本当は…。サスケのもだもだを助けてあげて、兄さん! PR