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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

過保護な彼のセリフ_5、「この先もお前から目が離せそうにない」

「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

*今回兄さんのキャラが崩壊しています。苦手な方はご注意ください。




「あーあうあう、だぁ!」

掴まり立ちを覚えたサスケがあぶあぶと喃語を喋りながら飽きもせずちゃぶ台伝いに歩く練習をしている。

寝返りが打てるようになった時のように、ハイハイを覚えた頃のように、景色が一転したことが物珍しくて仕方がないがごとく、自分の体が今までしたことのない動きが出来るようになったことが楽しくて仕方ないとでもいうかのようにサスケは尻もちをついては立ち上がる、を繰り返していた。

時折手を離して歩こうとするサスケの背中に手を添えてやり、サスケの練習にイタチは付き合っていた。

「あぶ!」

どうだ!とつかまり立ちをしたサスケがちゃぶ台から手を離し、一人でちゃんと立ってるぞ!と主張する。

「うん、上手だね。サスケ」

「あう!」

お兄ちゃんに褒められたのが嬉しいのか、きゃあきゃあと声を上げて笑った。と、次の瞬間、バランスを崩す。

「サスケ!」

ぽすんっと小さな体がイタチの腕の中におさまる。

「あぶなかった…サスケ、どこもぶつけてないか?」

すりすりと頭を撫でると、サスケがきゅっと目を細めて擽ったそうに笑うので、思わずイタチもふふっと笑った。

 

 

「あー!クソっ!寝過ごした…!」

穏やかな朝の空気の中で、サスケが一人せわしなく歩き回っている。歩きながら装備を整え、今日の任務の行程らしいものをぶつぶつと呟いている。

口に出せる任務だからいいものの、そのクセは直した方がいいぞ、サスケ。

味噌汁を啜っているオレの隣をバタバタと通り抜けるときに、サスケは向かい側で新聞を読んでいる父に軽く会釈をし、オレの後ろ髪を触れるか触れないかの距離で弾いた。

時間がなくて、忙しないときでもこういう礼儀を忘れまいとするサスケの姿勢を知っているから父も「騒がしいぞ」というだけに留める。
髪を弾くのは、サスケなりのオレへのあいさつのつもりらしい。

オレは弾かれた後ろが身を撫でつけ、母から弁当を受け取るサスケを見やる。

早口に今日は遅くなる、とかなんとか言っているようだ。

可愛いな。

サスケ可愛い。ホント可愛い。

口に出したら「男が可愛いとか言われても全然嬉しくねぇんだよ!」と拗ねられるから言わないようにしているが、ホントはすごく言いたい。

サスケめっちゃ可愛い!オレの天使!って頭ぐりぐり撫でてほっぺたすりすりしながら言いたい。すごく言いたい。サスケに怒られてもいい。怒ってるサスケも可愛い。

オレが脳内で口に出せない気持ちを存分に放出していると、父が新聞をめくりながら「イタチ、お前は今日は早く帰れそうなのか?」と聞いてきたので、

「どうだろう。日帰りの予定ではあるけれど…わからない」

と結局何もわからない回答をした。

ぽりっと沢庵を食む。

サスケがそれじゃあと玄関に向かって走っていった。

たった一歩を歩くのも覚束なかった赤ん坊が、16年でこんなに軽やかな身のこなしで動き回れるようになるんだなぁと人の成長の早さを我が弟でしみじみと思ってみる。

そう言えば、サスケは昔から焦るとよく転んだり、躓いたりしていたことを思い出し、オレはまだご飯の残った茶碗を残し、サスケのいる玄関へ向かう。

玄関ではサスケがいつもより大きめの荷物を抱えたまま、靴をはいていた。

焦っているからその手つきはいささか荒い。

これはまずいな、と思った瞬間、サスケがバランスを崩した。

「サスケ!」

思わず後ろからサスケの腰に腕を回し、ぐいっと引き上げる。

転ぶことを踏まえた上で、受け身をとろうとしていたサスケは、一瞬何が起こったのかわからなかったようでしばらくぽかんとしていた。

「すまない、とっさのことで…どこかぶつけてないか?」

腕の中に捕えられた猫のように、すっぽりおさまっているサスケに尋ねると、「ああ…」とまだ呆けているような声が返ってきた。

ふと、赤ん坊の頃、つかまり立ちを始めたばかりのサスケを思い出した。

まだ体のバランスがうまくとれなくて、あっという間に転び、思わぬところで頭をぶつけたりしていたサスケ。そんなサスケから一瞬でも目が離せないと思っていた気持ちが懐かしさとともに甦った。

「まったく。この先もお前から目が離せそうにないな」

「は?」

「なんでもない。気をつけてな、サスケ」

サスケの腰を抱えたまま、その頬にキスをすると、腕の中のサスケがビクッと体を強張らせ、次の瞬間、顔を真っ赤にした。

これは怒鳴られるか?と思っていたオレに返された言葉は予想に反して優しく、

「お、おう。に、兄さんもな…!」

そう言ってオレの腕を振りほどくと、少々手荒に扉を開き、走っていった。

「これがデレというやつか」


お題配布元:「確かに恋だった」様


兄さんはあの冷静な表情の下で常にサスケ愛を叫んでいると思います。
私の性格上、こういう心のダムが決壊した、キャラ崩壊した兄さんの方が書きやすくてついついやってしまいました。
書き散らし企画なのでお許しを…!

これにて「過保護な彼のセリフ」シリーズは終了です。
次の5題は「世話焼きな彼のセリフ」です!
サスケの誕生日に向けてがんばるぞー!

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