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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

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照れ屋な彼のセリフ_5.「一回しか言わねぇからな」(リレー小説①:式)

「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

本日から企画恒例リレー小説開始!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
サスケが壊れ始めます。

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 嘘を吐いた。
 特に親しくもない女たちが揃いも揃って七月二十三日は空いているかと訊いてくるものだから、いい加減いちいち断るのも面倒になり、その日は先約があると周りにも聞こえるよう大声で嘘を吐いた。
 七月二十三日。おれの誕生日。約束なんか何もない。
 ただこのままでは本当に嘘になってしまうから、まず五代目に掛け合って非番に当たっていた二十三日に任務を融通してほしいと頼んだ。しかし、
「うちはのお前が出向く任務はないな」
 とにべも無く断られる。あまつさえ、さっさと諦めて出ていけとばかりしっしと手を振られる。それでもおれは食い下がった。執務机に詰め寄る。
「ランクは何でも構わない」
「だめだ。お前は中忍だぞ。そのお前をDランクに派遣するような前例は作るわけにはいかない」
 誕生日だろう、と言われる。
「折角の休みだ。ゆっくりしたらいいじゃないか」
「……」
 休みだからこそ困っている、とはさすがに五代目には言えなかった。

 次に思い浮かんだのは第七班の面々だ。今はそれぞれの特性を生かし異なる任務に就くことが多くなった。そのためおれが非番だからといってナルトやサクラが休みというわけでもないらしい。
 その通り、それとなく探りを入れると、ナルトもサクラもカカシも遠征任務や医務局勤務だった。
 これで七班の線も消えた。

 家に帰り、母さんが作る夕飯の匂いに包まれながらぼんやりと居間のカレンダーを見つめる。
 母さんが日々の細々とした予定を書き込んだそれには、父さんの警務勤務日やおれの機密事項に触れない程度の遠征日程が記されていた。ただ暗部に所属する兄さんのものだけがない。
 誕生日。
 そのことに特段の思い入れがあるわけじゃない。しかし、だからといって一日を過ごす相手が誰でもいいとは思わない。
 共に過ごすのなら、おれは。
「……」
 棚の上の筆立てから母さんが使う赤鉛筆を借り、おれはまず二十三日に非番と書き込んだ。それから少し思い直し、二十三日を含め七月の非番の予定を父さんの勤務日の横に並べて書いた。
 兄さんの目に留まればいい。
 そんな期待を抱きながら。



 だが、おれの目論みは大外れに終わった。
 カレンダーに記したおれの非番に真っ先に気付いたのは母さんで「お夕飯がいるのか分かっていいわね」と頷いて笑い、父さんもおれが遠征任務を終えた非番の日には「ご苦労だったな」と声を掛けてくれた。…うれしい。
 それから兄さんも居間のカレンダーには目を通しているようで、ある夜、
「遠征任務が多いんだな、サスケは」
 とカレンダーを眺め、風呂上がりの濡れた髪を拭きながら話しかけられた。
 いや、兄さん。
 気付いてほしいのはそこじゃねえ。
 二十三日の非番。そこについて何か言うことはないのか。
 もちろん「今年の誕生日は非番になった」とおれから切り出しても構わない。「プレゼントはいらないから、その代わり修行に付き合ってくれ」とガキの頃のように言っても不自然ではないだろう。
 だが、おれの誕生日におれから誘うのはおかしくないか。それにそれではおれが誕生日をひどく気にしているみたいで気に入らない。
 兄さんがたった一言「二十三日」「非番」そのことに触れてくれるだけでいいのだ。そうすれば話の流れで二十三日の兄さんの予定くらいは聞けただろう。
 暗部に所属する兄さんが早々都合よくおれの誕生日に非番とは思えない。でも、それでもいい。それならば代替案を改めて考える。
 ただ今は兄さんと過ごせるかもしれないという可能性がおれを先へと進ませてはくれないのだ。
「そうだ、サスケ」
 カレンダーを眺めていた兄さんがその背を盗み見ていたおれを振り返る。
「気付いていたか?」
「え…」
 何を、と問い返す声は不覚にも掠れた。
 もしかして、兄さん。
 二十三日、俺の誕生日。非番。そんな言葉が頭の中で回転を始め、ねじを巻かれたように心臓がどきどきする。
「気付くって、その、何をだよ」
 二十三日…!
 俺の誕生日…!
 非番…!
 期待が膨らむ。しかし、
「今日は七夕だ」
 一緒に短冊でも書くかとおれをからかうように言う兄さんにおれは読むふりをしていた目の前の巻物を思わず引き裂いた。

 そんな一件があって以降、おれは非番が来るたび密かに心のカレンダーに×印を入れた。
 兄さんが気付いてくれないまま、非番の日はどんどん消化されていく。
 七月の二週目と三周目はあっという間に過ぎ去った。
 非番の日も何もできないまま一日・一日とみるみる数を減らす。
 そしてついて二十二日、俺の誕生日前日。
 だめだ。おれはカレンダーの前で立ち尽くす。
 兄さんはおれの非番どころか誕生日に言及してくれる様子すらない。
 もうこうなれば四の五の言ってられねえ。
 おれが言ってやる。
 おれが「おれ、明日、非番」とイタチに言ってやる。言ってやって、それから「アンタがもし暇なら修行に付き合ってくれよ」とさりげなく誘ってやる。
 誕生日だ、などと意識するからよくないのだ。
 思い出せ。ゆっくりと思い出せ。幼かった頃の修行をねだっていたおれをな。
 シュミレーションを数度繰り返す。
 おれ、明日、非番。
 おれ、明日、非番。
 よし、いける。
 いつでも帰ってきやがれ、兄さん…!と思った瞬間、
「ただいま」
 玄関から兄さんの声がし、どきんとした。
 だが、まごついてはいられない。
 廊下を駆け抜ける。途中母さんの注意するような声が聞こえたが、それもすぐに掻き消えた。
 玄関に飛び出すと、そこには引戸を閉める兄さんの姿があった。勢い込むおれに兄さんがひとつ瞬く。
「随分と懐かしい出迎え方だな」
 しかし、今はそんなことはどうでもいい。
 裸足で下に降り、兄さんに詰め寄る。
 おれ、明日、非番。
 おれ、明日、非番。
 ばっちりだ。息を吸うために肩を上げた。
「一回しか言わねぇからな」
 よく聞きやがれ。
「おれ、明日…っ」
「ああ、誕生日だったな」
 吐く息は完全に途中で停止した。

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春壱さんにパスだーーーーーー!
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