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設定:21才大学生イタチ×16才高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
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「充電が持たないぞ」
暫くすると携帯電話を弄り始めたサスケを注意する。十分ほどは放っておいたが、仕舞う気配はない。何かあったときに充電が切れていては用をなさないだろうに。
「取り上げだ」
おれはサスケの手から携帯電話を抜いた。すぐにもう一度取り返されるが、今度はちゃんと仕舞われる。
「退屈か」
問うと曖昧な返事。それを更に誤魔化すようにサスケはふいと車窓の景色に目を転じてしまった。
徐々に人家が疎らになる。田畑が現れ山々が近くなってはいるが、目的地はまだ先だ。
携帯電話を仕舞って以来黙りをするサスケに、
「本でも…」
買ってくればよかったなと言い掛け、口を噤む。
サスケはいつの間にか目を閉じていた。眠っているのかもしれないし、ちょうど睡魔に誘われたところなのかもしれない。幅の狭い窓の枠に器用に肘を付き、乗せた頬をうつらうつらと微かに上下させている。電車の僅かの振動が、こめかみの触れた窓からサスケに伝わっているようだった。
このままでは他の電車とすれ違う際の、あのどんという衝撃に驚いて目覚めてしまうだろう。
おれは肩ごとサスケを抱き寄せた。
サスケの眸が半分ほど開く。
「…なんだ…?」
「こちらへ凭れ掛かってくれていい」
「…そうかよ」
大きな嘆息ともとれる一息とともに、また静かで規則正しい寝息が始まる。今日は下ろした前髪が深くサスケの寝顔を隠す。
このまま寝かしておこう。凭れ掛かられることも、その重みも呼吸も、触れたところから伝わる体温も心地好い。
そうしておれもまた携帯電話のアラームを掛け、目を閉じた。
次に気が付いたのは、外の景色がすっかり枯野に変わるころだった。ちらちらと降る雪だけが世界に色を添えている。
胸の内で震える携帯電話のバイブレーションを止めて切る。目的の駅まであと三十分といったところだろうか。
隣のサスケは起きていた。また携帯電話を弄っている。
おれに気が付くと、さも分かっていると言いたげにそれをポケットに仕舞った。
「あと三十分くらいだな」
ぽつり呟くサスケは眠る前と変わらない、おれの肩に凭れたままだった。車内に人影があまりないとはいえ、外では滅多になつかない弟だ。預けられた重みに、そういえばこの頃は構う暇がなかったなと思い返す。
「なあ」
と、サスケが言った。
「うん?」
「マダラってどんな奴なんだ?」
「…どんな、か」
問われ、考える。
うちはマダラ。彼を表すのは難しい。
「一族の中でも一際才覚のある人物、だな」
「…兄さんよりもか?」
そんなサスケの反応に苦笑する。
「自分よりも優れた人間はごまんといるものだ。だが、確かにマダラは不世出の才だったのかもしれないな」
だが、だからこそ誰も、一族すら彼の全てを理解することは出来なかった。
若い頃は政治にも携わっていたと聞くが、一族唯一の理解者と言われる弟を失って以来、盟友とも袂を別ち、田舎へ引っ込んでしまった。
おれもマダラの孤独と苛立ちが解らないわけじゃない。
「兄さん…?」
ふとサスケに見つめられているのに気づく。
少し思考が沈んでしまっていたようだ。
またぽつりぽつりと人家が見え始める。うちはの集落は人里離れたところにあるが、駅の辺りは昔ながらの田舎町だ。正午は疾うに過ぎてしまったが、食堂くらいは空いているだろう。
「サスケ。着いたら何か食べるか?」
古い車体はゆっくりとブレーキをかけ始めていた。
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マダラの設定とかその場の思い付きで書いているんですが、何者なんだ…?
そして同じタイミングで春壱さんが「63」をアップして下さったので、「64」に訂正。
ではでは春壱さんにパス!いつ挨拶できるんだか!