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担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー
「イタチと話がある」
だから、お前は出ていけ。
意味深なマダラの言葉を背負ったまま人気のなくなった廊下を歩く。昼間は見えた美しい庭も今は雨戸で閉ざされて見えない。
あの時、イタチは俺の言わんとしたかったことをわかっていたはずだ。なのに知らんふりをした理由は一つしかない。
俺を早くあの場から遠ざけたかったのだ。
イタチとの差を比較されようが、イタチのようにできない自分にがっかりされようが今更どうでもいいと思っていた。それが同じ身内からであったとしても。そんなことにいちいち腹を立て、気にしていてはとても暮らしてこられなかったから。
だが、ここにきてはっきりと言われた気がした。
「お前ではない」、と。
なにが?
彼が望むすべてのことに対して応える人間が、だ。
自分に何かを期待してほしいわけじゃない。ただ、自分がマダラにとってとるに足らない存在であることを頼みもしないのに自覚させられた気がした。
こんなことは初めてではない。いつでもそれと自覚しては自己防衛の手段として目を逸らし、記憶の一番奥に押し込んで蓋をしてきた。それで何もない。何もなかったことに出来た。
それが今日はどうした?
自分がひどく落ち込んでいることがわかる。
普段であればすぐになかったことに出来ていたことに殊更傷ついているのはここがうちは一族の自分にもっとも縁ある場所だからかもしれない。
一族発祥の地であるにもかかわらず俺はイタチと違って今日まで一度もこの地へ来たことがなかった。知らない土地で見たこともない親戚に囲まれ、一族たちが口にすることの半分も俺には理解できない。俺はうちは一族のことを何も知らない。蚊帳の外だ。
風呂と温かい食事で体は温まっていたはずなのに、胸の奥はじわりじわりと氷が張るように冷めていく。言いようのない不安が、閉じ込めた真っ黒な感情の蓋を開けてしまう気がして俺は足早に寝室へ向かった。
布団に入っても一向に寝つけなかった。一体何を話し込んでいるのか、イタチが部屋に戻ってくる気配がない。気持ちが落ち着くどころか苛立ちに変わり、俺は布団を抜けた。
洗面所で顔を洗うと、冷たい水が、一瞬、停滞している思考と澱んだ感情を沈めてくれるような気がした。
洗面所を出たところで、裏にある台所から手伝いの女性達の話し声が聞こえてきた。普段なら気にも留めないがそこにイタチの名前が出てきたことで俺の足は止まった。
「マダラ様、後継者にあのイタチさんを考えてらっしゃるみたいよ」
「それであれだけ話し込まれているのね。でもまあ、当然よね。あれだけおできになる方だもの。マダラ様がかける期待も相当よね」
「大学を卒業したらこちらに住まわせて本格的に指導されるのだとか・・」
「そうしたら毎日あのお顔が拝めるのね!」
きゃあきゃあとはしゃぐ女たちの声を他所に俺はその場に固まっていた。
なんだって?
イタチがマダラの後継者に?どういう事だ?父さんもイタチも今までそんなこと一度も言ったことがなかった。イタチだって進路は自分の望むようにしたいと言っていたはずだ。
それともあれは俺に余計な気を遣わせまいとするイタチの嘘だったのか?
鉛のように重くなった体を引き摺るように部屋へ戻る。
部屋はまだ暗いままだ。
俺は窓を開け、縁側に腰掛けた。爪先が雪に埋まり、体温を急速に奪っていく。
夜半になり一層冷え込んだ空気が部屋に入り込んでくる。月明かりに照らされた庭に、雪がちらちらと舞って庭の木を、花を、土を一層白く染めるのだろう。
「風邪をひくぞ」
普段ならそう言われるはずの声が今は、聞こえない―
新展開って何?!予想外です(笑)
マダラさんから月読くらってサスケがめちゃめちゃメンタルになっていますね。
兄さん!早く助けてあげて!!
そんな感じで式さんにバトンパス♪