33:原作終了後パラレル_兄さん生き返り同居設定 【108企画】式 2013年12月10日 原作終了後、兄さん生き返り設定。木の葉の里で二人暮らし。前後編の前。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「戻ったか」 がらりと玄関の引き戸を開くと、奥からイタチが顔を出した。 珍しいな、と思った。常なら任務に出て家を空けているか、そうでなければ奥で筆を執っていることの多い兄だ。わざわざ玄関先まで迎えに出るなど滅多にない。 上り框に腰かけ靴を脱ぐ。 それを何を言うでもなく背後で待っていたイタチは、おれが立ち上がると、勝手におれの額宛をするりと解いて外してしまった。 「夕飯が出来ている」 手のひらに返される里の額宛。 オイ、と批難する間もない。 「少し早いが食べるか?」 「…ああ」 額宛に目を落としながら、頷く。 イタチはそれだけでこのやり取りには一応の満足を得たらしい。また奥、台所の方へと踵を返す。 「兄さん」 おれはイタチを呼び止めた。ほぼ衝動的だったと言ってもいい。 イタチが振り返る。 だが、おれに論理的に説明できるような兄への問いがあったわけでもない。 口籠る。 「…なんだ?」 「その、何かあったのか」 額宛を握る。 イタチは怪訝そうな顔をした。 「何か、とは?」 「いや、アンタがここまで迎えに出るのは珍しいって思ったから」 そう素直に白状すると、イタチは微苦笑を浮かべた。 やれやれ、だの、心外だな、などと言う。 黙って聞いていると、やかんの笛が鳴った。それを切りに兄さんは台所の暖簾を半分潜りかけたが、まだおれがぼんやり見つめていることに気付いたのだろう、 「おれだってお前の帰りを待ちたいと思っている。それがそんなにおかしいか?」 悪戯っぽく目を細めて、台所へ入って行った。 「……」 立ち尽くす。 その間ずっと手の中の額宛をお守り代わりのようにおれは握りしめていた。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 後篇に続く。 それにしても108達成が危うい。私、12月後半はネット落ちの予感ひしひしです。クリスマスなんていらないくらい毎日が仕事のかたまり。 PR