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「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。
ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
一旦おしまい。
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兄さんに抱きしめられている。
おれは咄嗟に辺りの気配を探った。だが暗部や他に人のいる様子はない。
必要がない。こんなこと。必要がないのに、おれは今兄さんの腕の中に抱かれている。
「兄さん…?」
訊ねるが答えはない。ただいっそう強くその胸に抱き寄せられた。
温泉の時とは違う、布越しに感じる兄さんの匂い。体温。静かな呼吸。それらを感じるたび、おれの体はかっと熱くなった。
あの胸の痛みと苦しみがぶり返す。
「苦しい」
兄さん。
兄さん。
「おれ、苦しいんだ」
胸の内を明かすように呟くと、兄さんはおれの髪に手を差し入れながら「ああ」と頷いた。その指先が熱を持ったおれの耳にそっと触れる。
「おれも苦しいよ、サスケ」
誘われるようにして顔を上げた。
やさしい夕焼け色と深い夜の色。そのどちらをも兄さんはきっとずっと持っていた。そして今、それをおれにこうして打ち明けてくれている。見せてくれている。
「好きだ、兄さん」
想いはかんたんに零れた。ぽろりと零れた。そのあとは溢れて止まらなくなる。
「好きなんだ。兄さん。おれ、兄さんのことが」
好きなんだ。
だから、取るに足らないだなんて思われたくない。アンタにとって必要な価値あるおれでいたい。
だから、兄さんのことを悪く言われれば腹が立つ。好きだから、守りたい。もし兄さんが悪く言われるようなことがあれば、そんなことはないとおれが最後の最後まで戦って必ず証明してやる。
「…お前、ここでおれにそう言う意味はちゃんと分かっているんだろうな」
兄さんは念を押した。
だが、おれだって念を押される意味は分かっているつもりだ。
「自分でもよくわかんねーけど、好きなんだと思う」
幼い頃から兄さんのことが好きだった。引け目を感じた時期もあったけれど、兄さんはおれの憧れだった。慕っていた。でも今はそれ以上にずっと。
こんなにも強い気持ちは、もしかすれば兄弟という物差しからは疾うに外れてしまっているのかもしれない。表す形や言葉もないのかもしれない。
けれど、それでもいい。
おれたち二人きりの想いの在り方があったってかまわないじゃないか。
「サスケ」
兄さんの手のひらがおれの頬に滑らされる。
見つめ合って、分かり合って、やがて眸を閉じた。
「いやなら、そう言えよ」
そっと唇が触れて、重なる。
たった一瞬。
それでもおれは永遠を感じた。
宿題は後でするから。そう言ってくれていた遠い日の兄さんのことを思い出す。
「ん…兄さん…」
気が付けば胸の痛みは消えていた。代わりに温かい幸せに満たされている。だからきっとあの頃を思い出した。
「いやじゃないな?」
問われて頷く。
いやじゃない。それどころか、
「…もっとしてほしい」
ふと兄さんが微笑んだような気がした。
だが確かめるすべはもうない。眸を閉じれば腰を抱かれ、永くやさしい兄さんのキスが訪れる。
触れるだけ。
それでもこの身を包み込む兄さんの腕の中の幸福にゆっくりと体が弛緩していく。まもなく結んでいたはずの唇もついにゆるりと解けた。
すると、角度を変えながら擦り合っていた唇の隙間から突然ちゅっと舌を吸われる。背筋に走った甘い感覚に驚いて目を開くと、兄さんはようやくおれを抱く腕を緩めてくれた。
「…ん…、…い、まの」
「これも、もっと、か?」
今さっきの疼きが忘れられず、思わず頷く。
だが兄さんはいつものようにおれの額を小突いて悪戯に笑った。
どうせ「許せ、サスケ」だ。先んじて制してやる。
「…また今度かよ」
そう言うと、兄さんはおれの頬や瞼、額に小さなキスを落とした。
「このまま続けたら、父さんと母さんのところへお前を返せそうにないからな」
「同じところに帰るくせに」
「今日中に、ということだ」
肩を抱かれ、帰途に就く。
また今度。
それはきっと兄さんからのもう一つもう一度のプレゼントだ。
なるべく早くほしいと言ったら、お前らしくないなと兄さんは笑うだろうか。
七月二十三日の日は暮れて、もうすぐそこまで短い夏の夜が来ていた。
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お題配布元:「確かに恋だった」さま
イタチ・サスケ、アウトー!!!
ただこれが言いたいだけの24企画でした。
一旦ここでこのリレーはおしまいです。
残り4話はこの続きの「また今度」の内容になるか、何になるか。
お誕生日おめでとう、サスケ!
サスケが兄さんの生きる意味だったんだ…!と思っています。