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「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。
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里内での打ち合わせを終えた第七班が今日は明日の遠征任務に向けてそろそろ解散をしようかと里の通りを帰途についたところ、たまたま彼方からやって来るサスケの兄、イタチと出会した。彼もどうやら外での任務、その報告の帰りらしい。
「こんにちは、カカシさん」
互いに気付き合い、まず声を掛けたのはイタチの方だった。それからナルトとサクラにも声を掛け、最後にサスケだけには「ただいま」と言う。外で身内に会うのはどうも気まずいのかサスケが小さく「おう」と応えると横からカカシが話に加わった。
「お前も今帰り?」
「ええ。そちらも?」
「明日の任務のことでちょっとね」
カカシはサスケが下忍の頃よりの指導教官だ。中忍になった今もこうしてカカシ班として任務に出ることも度々あると聞く。イタチが身内として年長者らしく、
「サスケがお世話になります」
と頭を軽く下げると、
「世話になんかなってねえよ」
背後でサスケがぼそりと不平を零した。普段はわざわざ口にしたりはしないそんなことを言ったのは、きっと兄の手前だからだろう。サスケはイタチを前にするとどうも歳以上に子どもらしさが言動に出る。
ともかくそういうサスケを「まあまあサスケくん」「大人になれってばよ」とナルトとサクラが宥めたのがいけなかった。
「いつも勝手に突っ込んで世話になっているのはてめーだろ、どべ」
と売り言葉に買い言葉。
通りの真ん中でカカシ班の日常茶飯事、ナルトとサスケの睨み合い取っ組み合いが始まる。
「ちょっと、やめなさいよね、ナルト」
まずはサクラが呆れ半分、諦め半分で止め、
「サスケ」
イタチも諌めて加わる。
だが元々互いの力量を認め合った二人だ。日々の諍いはあれど、決定的な亀裂が走ったことはこれまでにない。今必要なのはクールダウンだろう。このまま家へ帰らせては明日の任務に響く。カカシは通りに面した里には珍しいカフェテリアを指差した。
「ま、積もる話もあるようなないようなだし、お茶でもしていく?」
夕方のカフェテリアは混雑の時間帯を外したためか、思ったよりは空いていた。奥の席にはカカシ、サクラ、ナルトが順に、手前にはイタチとサスケが椅子を引いて座る。
「ここ、最近流行りなんですよ」
二・三度いのたちと訪れたことのあると言うサクラは早速テーブルにメニューを広げて見せた。夏に向け南方の果実を絞った期間限定のフレッシュジュースがどうやら人気らしい。
カカシとサスケは無難にアイスコーヒーを頼んだが、ナルトはサクラが美味しいと言うのならと聞きなれない果実のジュースを張り切って注文し、サクラはサクラで今日はまた新しいジュースにチャレンジするという。そんな二人に同調をしたのは最後まで注文を思案をしていたイタチだった。ナルトと同じものを店員に頼むと、まずはナルトが「ええっ」と声を上げた。
「イタチってこういうの飲むんだ。なんか意外だってばよ」
「そうね。サスケくんは絶対頼まないもんね」
そうナルトとサクラは言うが、実のところサスケ自身はたぶんきっとイタチは果実ジュースを頼むだろうなと思っていた。兄はそういうものを好んでいる節がある。それに折角の機会と踏んだのだろう。サスケと二人ではまず来ない店だ。
注文をしたジュースやコーヒーを待つ間、会話は途切れることなく続いた。サクラはサスケと長くいられるのなら嬉しいし、ナルトはそのサクラとプライベートまで共有できるのなら幸せだ。カカシとイタチは大人である分だけ付き合いというものの必要性を知っているうえ、サスケは必要以上に会話に加わることはなかったが、こうして七班と兄とがいる空間に自分があることは嫌いじゃない。
やがてテーブルにナルトやサクラ、イタチが頼んだ色とりどりの甘く爽やかな香り漂うジュースと、アイスコーヒーが並んだ。
「うまそーだってばよ」
ナルトの声がやさしいオレンジの前に弾む。早速ストローで一口含むと、顔を輝かせそのまま続け様にどんどん飲んだ。
サクラもイタチも「うん、やっぱり美味しいわ」「さっぱりしていて美味いな」と笑顔を零す。
そんな三人を前にして、サスケも「ふうん」と内心頷いた。
そんなに美味いのだろうか。
何気なく隣のイタチのブラッドオレンジに目を移す。するとイタチは弟の目線に気付いたらしい。
「お前も飲んでみるか」
グラスとストローをサスケの方へ向ける。
慌てたのはサスケだ。兄のものを取ってまで欲しかったわけじゃない。ただちょっと興味があっただけなのだ。
「べつにいらねーよ」
「そうか?美味いぞ。おれのはさほど甘くないから、お前でも飲めるはずだ」
「でも…」
「遠慮する必要はない。ほら」
「……」
サスケは勧められたストローの先をじっと見つめた。
それはついさっきまで兄が口を付けていたものだ。ちらりと隣を見上げると、兄の薄く形の良い唇が目に入って、すぐに逸らした。
「なんつーか、その、」
そのストローは兄さんが…。
なんて口が裂けても言えない。
「うん?どうした、サスケ」
と先を促すイタチにサスケはますます体を固くした。
「……」
ここまできて断るのはおかしい。絶対におかしい。
サスケは覚悟を決めた。
口を小さく開いて恐る恐るストローに唇を近づける。
どきどきと胸が高鳴った。
イタチが見ている。ナルトやサクラ、カカシも見ている。
「……」
ストローの先が唇に触れた。
そっと咥える。
そのままちゅっと吸った。
「ん…」
途端、甘い香りが口いっぱいに広がる。
ついでに胸ももういっぱいだ。
「どうだ?美味いだろう?」
と言うイタチのやさしい微笑みも、今は俯くサスケには見ることのかなわないものだった。
■↑というやりとりを見せられた七班のみなさん
(サスケくん…)
(いつもおれたちとは平気で回し飲みしてるってばよ…)
(なのにどうして実の兄貴に照れるかな…)
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お題配布元:「確かに恋だった」さま
兄さん相手にだけ間接キスで照れるサスケくん。