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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

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照れ屋な彼のセリフ_2.「ア、アンタ、近すぎ!」(式)

「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

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 夏の気配も色濃くなった長い一日もようやく夕暮れに差し掛かる頃、うちはサスケは古い生家の濡れ縁で風呂上がりの火照った体を静かに休め、団扇を片手に涼んでいた。
 朝早くから駆り出された急を要する任務も滞りなく終わり、父や兄よりも一足早く帰宅となったため、一番風呂を母から勧められ、滅多にないことだと有難く頂戴したのだ。まだ陽もさほど傾いていない内から入る風呂はなかなか贅沢なものだとサスケは思う。
 肌を撫でていく夜を香らせた風が心地よい。もう随分と長くここで涼んだ。体も鎮まっている。
 そろそろ部屋へ上がるか。
 サスケが胡坐を崩して立ち上がろうとしたその時、廊下の向こうの人影がふと目に入る。兄のイタチだ。彼もまた今日は父より早い帰宅だった。母に急かされるようにしてサスケと入れ替わりで風呂に入ったことは知っている。
 肩に手拭いを掛けてはいるが、その長い髪は脱衣所で乾かしてきたのだろう。もうきちんといつもの通り結わえてある。夏は暑いと零しているのを何度か聞いたことはあるが、サスケにしては珍しく「じゃあ切れよ」なんていう実にすっぱりとした助言はもうずっと控えている。口に出してはやらないが、イタチのその長い髪をサスケは小さなときから好いている。
 兄は特に何を言うでもなくサスケの左隣に片膝を立てて座した。思った以上に近い距離に、風呂から上がったばかりの彼の体温を肌で感じる。
 きっとサスケの風をもらう魂胆なのだ。忍らしく兄はとても合理的で効果的だ。
「自分で仰ぎやがれ」
 けれど、サスケは右手の団扇を握り直した。兄にも風が通るよう手首の角度を少しだけ開いてやる。
 サスケの風にイタチの髪や薄い部屋着が微かに揺れた。
「サスケ」
「なんだよ」
「もっと強く」
「…アンタなあ」
 ぼんやりと前の庭にやっていた視線を隣の兄に振り向ける。
「おればっかり不公平だろ。やっぱり自分で、」
 と、手にしていた団扇を兄に押し付けようとしたその折だった。矢庭にイタチがずいとその身をサスケへと乗り出してくる。急速に失われる顔と顔の距離。サスケが息を詰めると、イタチはすぐ傍で微笑んだ。それから、耳にふっと吐息をやさしく吹き掛けられる。
「うぁ…!」
 びくんっと恥ずかしいほど体が跳ねて震えた。体の奥底から得体の知れない何かがぞくぞくと背筋を這い上る。
「なにしやがる!」
 サスケはそれら一切を誤魔化すように大きな声を出した。今もイタチの吐息の感覚が残る耳を押さえて、尻で後退り距離を取る。
 睨めば、イタチはいたずらっ子のように口許を上げて笑った。
「涼しくなっただろう?」
 なんていかにも悪気はなかった口ぶりだ。だがサスケは知っている。絶対にわざとだ。穏やかで物静か、理知的で里の誰からも一目置かれるほどの忍の力量を持つこの兄は、だが弟だけには時折筋の通らないちょっかいを出してくることがある。
 なにが涼しくなっただろう、だ。
「寒気がした!」
 とサスケは言うが、
「冷えてよかったじゃないか。もっとしてやろうか?」
 兄も興が乗ったのか引いてはくれない。
 更に後退るサスケを追って、イタチは幼い頃じゃれあったときのように弟の体を抱き込み押さえつけてしまう。
「くそっ、離せ!離しやがれっ」
 首を大きく逸らすが、顎までがっちりと掴まれ、今度はその耳にふぅと長い息を流し込まれる。
 ぞくぞくした。
「ん…!やめ…!」
「ほら、サスケ。暴れるとまた体が熱くなるぞ」
「おれにそうさせているのは兄さんだろう!ちょ…っ、んっ、くすぐったい…!くすぐってーよ、兄さん!」
 サスケは体を捩ってなんとか狙われてばかりの耳から兄の顔を引き離そうとする。
 だが、見た目に反して力持ちの兄に強く抱き込まれているので、それもかなわない。
 せめて腕の中で反抗の意思を見せるため、いやいやと首を振った。
 すると、イタチは三度サスケの耳を擽ろうとしていたらしい。
「あ…」
「ア…ッ」
 誤って耳を掠めるイタチの唇の感触。
「……っ!」
 思わず間近で見つめ合う。
 サスケはかっと目許を赤くした。
「ア、アンタ、近すぎ!」

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お題配布元:「確かに恋だった」さま

照れ屋…?
そしてサスケはつっこむところを間違ってる…!

週2ペースを目標に更新しますぞ!
するとサス誕までにはきちんと終わっている計算になる。
計画はいつもばっちりなんだぜ!

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照れ屋な彼のセリフ_1.「ばか、そんなんじゃねーよ」(式)

「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

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 朝、出掛ける支度を整え、イタチは上り框から腰を上げた。
 といっても今日は里内での勤めで、大した忍具や荷があるわけでもない。とんとんと爪先の具合を確かめ、引戸に手を掛ける。
「いってきます」
 申し訳程度に奥を振り返る。
 すると、それに応じて出てきたのはいつもイタチを見送る母ではなく、弟のサスケだった。平服を着ていることから今日は非番か、或いは朝からの任務ではないのだろう。
「兄さん」
 後ろ手で手を組んだサスケはイタチの様子を窺っているようだった。
 まだ五歳の身長差を埋められない弟は、しかし今日は彼が家に上がっている分だけ背が高い。ちょうど同じほどの目の高さだろうか。幼い頃、玄関で靴を履くイタチに修行をねだってきた姿が思い出されて、イタチは僅かに目許を緩めた。
「どうした、サスケ」
 きっと何事かを言い出せず口籠っているのだろう弟を促してやる。
 サスケは一瞬下へと視線を彷徨わせたが、意を決したのかやがて顔を上げた。
「アンタ、今日はいつ戻るんだ」
「今日…?」
 不意の質問に瞬く。
 まさかこの歳になっても修行をつけてほしいはないだろう。だいたい今朝だって早朝組手には付き合ってやった。
 イタチがそのように弟の求める答えを探していると、その当人は早々と痺れを切らしてしまった。気を許した同年代たちにはどうだか知らないが、父や母、兄には対してはどちらかといえば辛抱強く気長なところのあるサスケだ。その彼が、
「今日はアンタの誕生日だろう」
 と早口で言うのは、たぶん照れたな、とイタチは思う。
 話を聞くと、どうやら今夜の夕飯はサスケが腕を振るうらしい。どうせなら温かいものを振る舞いたい。だから帰る時間を知りたい、とそう言う。
 イタチは改めてサスケの平服を見遣った。
「お前、もしかしてそのために」
 今日、非番を取ったのか。
 そんなイタチが口にしようとしたことをいち早く察したのだろう、
「ばか、そんなんじゃねーよ」
 サスケは朝に似つかわしくなく声を大きくする。
「偶々休みだったから、アンタが食いたいって言ってたものを作ってやろうと考えただけだ」
 そう早口に捲し立てるそれには、「ふうん、そうか」とわざと含みを持たせて頷いてやる。
 サスケは舌打ちをした。幼い頃のようにつんと唇を尖らせ、横を向いてしまう。イタチの前でだけ見せる弟としての顔だ。
「…それで?」
 やや沈黙の後、怒らせてしまっただろうかと思うイタチにサスケがそっぽを向いたまま言った。「うん?」と答えると、
「だから、いつ戻るんだよ」
 もう一度こちらに向き直ってくれる。
 尖らせたままの唇。けれど何処か気後れした眸の揺れ。
 イタチは引戸は開けたまま、上り框のぎりぎりまで歩を戻した。人差し指を彼の額の高さまで上げる。咄嗟に額を庇う仕草をした弟の虚を突き、
「サスケ」
「ん…っ」
 その唇に指先で触れる。むにりと尖ったそれを崩すように押し上げた。
「拗ねるなよ」
「拗ねてなんか」
「ちゃんと戻る」
 イタチのきっぱりとした言い様にサスケの言葉の先が奪われる。イタチは弟が黙ったのを確かめるように数拍置いてから微笑んだ。
「偶々だとしてもお前の気持ちが嬉しいよ」
「兄さん…」
「夜七時頃には帰る。分かったな?」
「…うん」
 こくんと頷くサスケ。
 そのサスケの唇から指を離し、イタチは照れて無防備になった弟の額を小突いてやった。
「っ、兄さん!」
 そう咎めるように額を押さえてイタチを呼ぶサスケがどこか懐かしい。イタチは踵を返し、挨拶代わりに小さく手を上げた。
「おれの前でだからといって、あんまり気を緩めるなよ。じゃあな。いってくる」
 戸を潜ると、朝の晴れ晴れとした里の空が今日特別な日を迎えるイタチを祝福していた。
 
 
 
■兄さんの姿が見えなくなるまで黙って見送るサスケの背後に実はいたフガク父さん
「……」
 いろいろ言いたいことはあるがとりあえず玄関を空けてくれ。
 と警務の出勤時間が押し迫る中、思うフガク父さんだった。

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お題配布元:「確かに恋だった」さま

兄さん、お誕生日おめでとうございます…!!

今回の企画では「うちはフガクの受難」的な過剰に仲良し兄弟をいっぱい書けたらなと思います。
小話の中でも本当に短い話ばかりになってしまいそうですが、サスケの誕生日まで仲良し兄弟をいっぱい書いてお祝いをする予定です。

春壱さんと12個ずつ、計24個。
縛りは「絶対にチューしてはいけない24」ということで、もうそこはキスしちゃえよ!というところでもキス回避をするというものです。

今回のキス回避:
「人差し指を上げて、額を庇う仕草をした弟の虚を突き、その唇に指先で触れる。」
ここでキスでいいじゃないか…!キスして、「拗ねるなよ」でいいじゃないか…!
でも回避。
それがルールだから…!

兄さんの前でだけ「弟」の顔を見せるサスケがかわいい…!
普段はかっこいいのに、兄さんの前ではちょっと言動が幼くなるとかわいい…!
家族の前だと油断しちゃうサスケ。
もちろん、兄さんもサスケの前でだけ「兄」の顔で、ちょっと(どころでは実はないけど)甘やかしてあげるのが萌えー!
この兄弟はお互いの「特別感」がたまらんです。
        
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