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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

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09:

 

控室を出て、一人廊下の長椅子に腰掛ける。

目を閉じて呼吸を整える。

 

今日はKNH48全国ツアーの最終日。早朝からのリハーサルを終え、それぞれがオープニングの衣装に着替え、あとは開演を待つばかりとなった。

デビューして3年。ステージに立つことに慣れたとは言っても毎回ツアーのラストは緊張した。それは最終公演がツアーの締めくくりであり集大成であり、ファンの意気込みも自分たちのステージにかける思いも殊更大きくなるためかもしれない。

 

今回のツアーの最終日ではアンコールも1曲増やし、ソロ楽曲もふんだんに取り入れた。

ここまで全公演がすべて大成功に終わった。だからこそ、最後の最後まで気を抜くわけにはいかない。

それに、俺には絶対に成功させたいもう一つの理由があった。

 

俺たちのコンサートにほぼ全通してくれているあの人が来ているかもしれないから。

どの場所にいてもいつも一生懸命に俺たちを、いや、俺を一生懸命応援してくれる名前も知らない人だ。

俺たちほど人気グループになるとファンの数も多くなり、当然、少し困ったファンも出てくる。

うちわを高く振りかざして後ろの人に迷惑をかけるファン、会場の外で近隣の迷惑も考えずに騒ぐファンや無意味な出待ちをする子達。

お祭り騒ぎの空気にあてられて一過性の病ので終わる子もいるが、そんな人間が集まればただただ迷惑だ。そんな者たちのためにマナーを守ってコンサートに来てくれるファンの子達までもが煙たがられるのは嫌だった。

俺たちも公演中に何度かマナー向上を呼び掛けたこともあるが、それでも、毎回コンサートの後にはなにかしら苦情が入っている。

 

いつも見に来てくれるあの人はそれはそれは礼儀正しい。一度コンサート中にテンション上がりすぎて手すりに乗り上げている女の子に注意していたこともある。

女の子の様子から、気分を害した様子はなく(そもそも気分を害する方がおかしいが)、再びハメをはずすようなことはなかった。

なるほど、言い方が良かったんだろうなと思った。

 

そんなこともあって、もともと女性ファンが8割の中、男性ファンは珍しいが、あの人は殊更印象に残っていた。

何度もコンサートに来てくれているということがわかってから意識してファンサにいくと、それはもう幸せそうに手を振ってくれるのだ。

暗がりでもわかるほど、あの人は綺麗な顔をしている。それが印象に残ったもう一つの理由かもしれない。

毎回持っているうちわにははっきりと俺へのメッセージが入っている。

その内容が時折変わることに気づいてからは毎回彼を探した。

2階席にいようと関係ない。俺の写輪眼はあの人の位置を見抜く。

 

今日の最終公演の競争率は聞いている。もしかしたらチケットを取れなかったかもしれない。業界関係者すら入手困難と言われたのだ。

来ていなかったら?とふと不安が胸をかすめた。

大勢のファンのために存在する俺たちが一人の人間のことで感情を乱されてどうする。今はこの公演に集中するべきだ。

 

「おーい!サスケ~そろそろ時間だぜ~」

もうすぐ本番だというのにそれに似つかわしくないゆるい物言いでシカマルが俺を呼びに来た。

「ああ」

 

あの人がいてもいなくても俺の、俺たちのすることはひとつ。

ファンのために全力を尽くす。

 

インカムを付け、俺はみんなのもとへ向かった。






ドルオタ兄さん×アイドルサスケ
一体この話はどこへ向かおうとしているのか・・

続きます

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08:

穏やかな昼下がり。イタチは縁側で父から「読んでみるか?」と渡された巻物を読んでいた。居間の座布団の上では、先ほどまでよちよち這い回っていたサスケが疲れて眠っている。

 

くるくると繰るたびに広がる文字の羅列はまだ理解しがたいものもあるが、イタチの好奇心を大いにくすぐった。

 

どれくらいそうしていただろう。急にぎゃーんっと泣き出したサスケの声で我に返った。夢中になりすぎて、一人で家にいる気になっていたイタチは慌ててサスケに駆け寄った。

抱き上げるとお尻のあたりが冷たい。

これは・・

「やったな・・」

しかも、両方・・

替えのおしめを取りに行き、母に教えてもらった通りに取り換えてやると、サスケはご機嫌とばかりに笑った。

そのすべらかな頬をすりすりと撫でてやると、くすぐったいのか声を上げて笑った。イタチはそのままサスケを抱き上げて、庭に出た。


新緑の季節を迎え、勢いよく伸び始めた草木のむせ返るような匂い。青く澄んだ空に暖かな風が吹き渡る。

「にーに」

「え?」

「にーに」

腕に抱いたサスケがイタチの服をぎゅうっと掴み、頬を摺り寄せてくる。

「サスケ・・今・・」

にーにって言ってくれたの?


そう聞こうとしたとき、玄関の扉が開く音と母の「ただいまー」という声が聞こえてきた。

「・・っ・・母さん!あのね・・」

サスケを抱きかかえたまま、イタチは玄関へ走って行った。

 

 



サスケが一番最初に喋れるようになった単語が「にーに」だったらいいのになってことで。

07:うちはフガクの受難_小ネタ2(暗部21才イタチ×中忍16才サスケ)

木の葉平和パラレル「うちはフガクの受難」小ネタ

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■以下、ほぼ無表情で進む兄弟の会話

「今回の任務は案外早く終わったんだな、兄さん」
「ああ、おかげで少し自由な時間も取れた。これはお前への土産だ、サスケ。取っておけ」
「土産?随分気の抜けた任務だな。アンタ、暗部の分隊長だろうが」

 包みを受け取り、溜息半分のサスケ。

「開けてもいいか?」
「お前のものだ。好きにするといい」

 がさがさ。

「…兄さん、これ」
「懐かしいだろう?」

 中から出てきたのは、小さい頃サスケが持っていた怪獣のぬいぐるみ。

「つい露店で見つけて買ってしまった」
「十六の弟に買ってくるなよ、こんなもん」

 手に取りしげしげ見つめるサスケ。

「それに…あれより少し小さい気がする」
「そうか」
「一回りほどな」
「それしかなかった」
「いや、べつにいいけど」
「そうか」
「そうだ」

 片腕で頬杖をつき、もう片方の手でサスケの手の中の怪獣のぬいぐるみを撫でるイタチ。

「それじゃあ、あいつの弟にでもするといい」
「…押入れから出しておく」
「そうか」
「そうだ」

 目が合って、ふたりは「フッ」と微かに笑い合った。

 in お昼時の木の葉食堂



■たまたまごはんを食べに来ていたカカシ先生とガイ先生
「はっはっはっ!まさに青い春!甘酸っぱい青春だなあ!なあ、カカシよ!」
「…兄弟で甘酸っぱくてどーするの」


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こういう話になりきれなかったネタが山ほどあるので、これ幸いとばかりがんがん蔵出し中。

06:原作沿い_幼少うちは兄弟(5才イタチと0才サスケ)

幼少うちは兄弟(5才イタチと0才サスケ)とミコトさん

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 普段は何でも一人でかんたんにそつなくこなしてしまう子が、
「母さん、教えてほしいことがあるんだ」
 と神妙な、それでいて何処かそわそわ落ち着かない顔をして訴えてきたときには、ほんの少しだけ驚いた。
 途中、何度も何度も、
「これでいい?」
「本当にこれでいい?」
 と似つかわしくなく眸をうろうろ訊ねてくるのは、普段は忘れてしまいがちな彼の本当の幼さをそっと思い出させてくれる。
 いつだって何だって人並み以上に当たり前に周囲の大人の期待に応えてきた彼は、弟の小さな手にぺたりと頬を撫でられ、
「サスケ、サスケ」
 それはそれは嬉しげに、雪解けの花が綻ぶように微笑んだ。


「良かったわね、サスケ。兄さんにだっこしてもらっているのよ」

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にいさん、サスケの初だっこ。

05:

くらい
ここはとてもくらい
くらいことは
こわいこと
しずかで

くらくて

だれもくちをひらかない

つめたい

なんて つめたいんだろう

イタチは一人、部屋の真ん中で灯りもつけずにぎゅっと小さく体を丸めた。

あらそいはいやだ

こわい

だれもなんにもいわなくなってしまう

つめたくなる

いやだ

そんなのはいやだ

暗い部屋、一人の夜は嫌なことばかり考えてしまうものだ。

「イタチ?どうしたの?」

扉が開き、部屋の中に廊下の電気の光が差し込んでくる。

「かあさん?」

「ただいま。イタチ」

その包み込むような声にはじかれたようにイタチは立ち上がると、母の腰に縋りついた。

「ごめんね。寂しい思いをさせてしまったわね」

纏わりつくイタチを抱きしめ、柔らかな手がイタチの頭を優しく撫でた。

「下へいらっしゃい。」

そう言うとミコトはイタチの手を引いた。
久しぶりに握りしめる母の手は温かくて、柔らかくて、そのやさしさに鼻の奥がツンと痛む。
階段を降りると、居間でフガクが真っ白な布にくるんだ何かを抱いていた。ミコトはその腕から布にくるんだ何かを預かるとイタチの目の前でしゃがんだ。

「あなたの弟よ」

「おとうと・・」
「そう。サスケっていうのよ。あなたはお兄ちゃんになったのよ」

まっ白な包の中にいたのは生まれて間もないサスケ。すやすやと寝息をたてて眠っていた。布からはみでた小さな小さな手に触れると、きゅうっとサスケがイタチの指を握った。

「え・・」

「寝ぼけてるのかしらね」

くすくすとミコトが笑い、その様子にフガクも笑みを零す。
そんな二人とサスケ、そして握りしめられた手を交互に見つめる。

あたたかい

こんなにちいさな存在なのになんて温かくて優しいんだろう。
今は寝息を立てている小さな口はあの物言わぬ者たちの引き結ばれたそれとは違う。
乳白色の柔らかな頬はつめたくなったあの者たちのように強張っていない。
自分を握りしめる手には確かに血が通い、小さな胸の奥で心臓が脈打っている。

あたたかい。こんなにもあたたかい。

涙が溢れた

「どうしたの?イタチ」

突然泣き出したイタチに驚き、ミコトはフガクと目を見交わした。

昏く閉ざされていた世界に光が差し込んだ気がした。
自分はやっとあの地獄から抜け出せた。
この小さな存在が教えてくれた。

せかいはあたたかい、と

「とうさん、かあさん。おれがサスケをまもるから」

どんなことがあっても

なにがおきても

たとえはなればなれになっても―

その言葉にフガクもミコトも優しく微笑み返した。
 
 
 
「・・ん・・チ・・さん・・イタチさん」

自分を呼ぶ声に急速に意識が浮上する。
途端に外の雨の音が耳に入り、自分が今まで眠っていたことに気付く。
「鬼鮫か・・」

「随分と寝入っていたようで」

「ああ、そうだな」

昔の夢を見た。もう戻ることのできない昔。
温かい日常が変わらなくあり続けるのだと信じていた。
なのに、騙して裏切って切り捨ててしまった。
今の自分はあの頃恐れていたものそのものだ。

物言わぬ唇、
無感動な表情、
容赦なく人を殺める冷たい指先

今の自分にあの頃自分が思い描いた未来はなにひとつ手の中に残ってはいない。

それでも

それでも
たったひとつだけ変わらないこと

それは、自分が今もなおサスケを愛しているということ―




忍界大戦の記憶がサスケが生まれるまで小さい兄さんのトラウマになってたんじゃないかと思ったのが発端。
サスケが生まれたことで、兄さんは救われ、自分を救ってくれたサスケを守るために強くなろう、何があっても守ろうって思ったんじゃないかっていう妄想。
昨日のと今日のとの温度差ェ・・

04:うちはフガクの受難_小ネタ1(暗部21才イタチ×中忍16才サスケ)

木の葉平和パラレル「うちはフガクの受難」小ネタ

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■兄弟二人で服の買い物に来ました。

 イタチがこれからの季節の任務にちょうどいいと厚手の外套を手に取ると、しかし弟のサスケが「待て」とそれを止め、目を細めた。
「それ、あんたには袖が1,3㎝短いぜ」
「…そうか」
 瞬きひとつ。
 元に戻す。
 それから隣のサスケを見遣った。
「よく分かったな。まるでイタチ博士だ」
 するとサスケは当然だとばかりフンと鼻を鳴らす。
「分かるさ。おれはアンタを愛しているからな」



■そのとき居合わせた店員さんとお客さん
工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工



■気にしないイタチとサスケ
「言うなあ、サスケ」
「もう、やめろよ、兄さん」

(  ´/∀`)σ)∀`)



■さらに居合わせた店員さんとお客さん
工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工

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受難小ネタ。

ところで、一日にして「愛している」縛りに挫折しました。
108個達成のために、「愛している」縛りを解きます。

108回兄弟愛をテーマにもりもり小ネタを書いていきたいと思います。
たまにシリアスも織り交ぜつつ。
明日は幼少兄弟か、ネタ系か…。

03:「ドルオタにいさん①」

 
現代パラレル。
イタチ兄さんがドルオタになってしまいました。




俺は今、重大な任務の中にいる。
俺にしかできないS級任務だ。

 
この日のために準備万端整えた。
基礎体力の向上、装備の強化と補てん。

アルバムと新曲の予習と復習、コンサートDVDは何度も見返した。合いの手もふりつけも完璧だ。
 
そう、今日は木の葉の超人気女装アイドル集団KNH48の全国ツアーの最終日。
会場である火影ドームには早朝からファンが押し寄せ、グッズ販売と開演を今か今かと心待ちにしていた。
その熱気たるや・・!

この人の数が、人々の熱狂が彼らの人気のすさまじさを物語る。
俺が人混みの間を縫うように歩いてグッズ売り場の列へと足を進めていると、周りがざわめきだす。
「見ろ!イタチさんだ。イタチさんが通るぞ!」
「やはり最終公演は押さえていたか!」
「ぼさっとしてないで道を開けろ!」
というようにまるで珍獣扱いだ。
俺は彼らのコンサートにほぼ全通しているせいかKNH48ファンの間でちょっと有名になってしまっているため、行く会場行く会場でこんな風に周り気を遣わせてしまうことになる。申し訳ない。
 
俺はKNH48のファン人気投票3年連続1位のサスケのファンである。このグループのことはもちろん好きだが、あのきりりとした目がウィンクを飛ばすたびに俺の心臓は口から飛び出そうになるほどときめく。サスケのためなら心臓を捧げるが。それはさておき。華奢な体から繰り出されるアクロバティックなダンスも彼の大きな魅力の一つだ。
 開演1時間前、会場の扉が開き、誰もが足早にアリーナへスタンドへと駆けだしていく。
走ったら危ないんだが、ファンたちのはやる気持ちもわからなくもない。なんといっても今回のツアーの最終公演は業界関係者ですらチケットを押さえられないくらいの競争率だったのだから。スタンドでもチケットが取れただけありがたいと思わなくてはいけない。
 俺は指定席につくとマフラータオルにペンライトを取り出し、携帯電話の電源をオフにすると荷物を座席の下にしまった。
 おおっといけない。肝心のうちわを忘れてはいけない。うちわはもちろんお手製だ。
東●ハ●ズで骨組みを買い、ユ●ワヤやダ●ソーで金モールやラメを買い込み、装飾した。うちわに貼りつけた「サスケ ずっと愛してる」の文字は3日間かけてレタリングした自信作だ。
 
左右に、センターに伸びる花道や天井でスタンバイしているリフトを見ながら、彼らがステージを駆け回る姿を思い、高揚感が増してくる。はやくサスケに会いたい。
 
開演20分前からKNH48コールが始まり、早くもドームの観客のボルテージはぐんぐん上がっていった。
そして、開演時間。
会場の照明が一気に落ちる。瞬間、爆発的な湧き上がりドーム全体をびりびりと震わせた。暗闇にペンライトの灯りが次々と灯り、幻想的な光景となる。
英語でKNH48のメンバー紹介がされ、スモークのたかれた正面舞台のフットライトが灯ると彼らのシルエットが浮かび上がった。ひときわ大きな歓声が沸き起こり、ドームに響く「Welcome to KNH48 Party!!!」と叫ぶサスケの声。同時に舞台全体が明るくなり、彼らの姿がくっきりと見えるようになった。
俺はペンライトを握りしめ、うちわは胸の位置で持ち、叫んだ
「サスケェェェェエエエ!!愛してるぞーーーー!!!」
 
 

 
「今日もイタチさんヤバかったな!」
「ああ、あんなに完璧にサスケパートのふりを踊れる人はいねぇ」
「サスケも気づいてたみたいだったな。ちょいちょいファンサにイタチさんとこ行ってたもんな!」
「すげぇよ、あの人は」
「ああ、すげぇよ」
 

 

ごめんなさい!!ほんとごめんなさい出来心です。
モモクロ聞きながら携帯でネタを打ってたらこんなことになっていました。
 
重ねてごめんなさい。続きます。

02:木の葉平和パラレル(暗部21才イタチ×中忍16才サスケ)

木の葉平和パラレル

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「サスケ。おれはお前を愛している」

 と向き合うイタチは真顔で言った。

 それにサスケはいやいやと口の端をひきつらせ答える。

「おれもイタチ、アンタを愛してるぜ」

「……」

「……」

 互いにしばし黙り合う。

 それからもう一度イタチは「おれはお前を愛している」とまるで言い聞かせるようにゆっくりと繰り返した。

 それにサスケはいやいやいやと口の端を更にひきつらせ語調を強める。

「だから、おれも愛してるって言ってるだろうが」

「……」

「……」

 じっとり見つめ合う。

 そうして徐に先に口を開いたのはやはりイタチだった。

「…おれはお前を愛している。だから、一番風呂の特権はお前に譲ろうと思うんだが」

 だがサスケも負けじといやいや、さらにもういっちょいやいやと首を往復させる。

「おれも兄さんを愛している。だから、いつも帰りが遅い兄さんにたまには一番風呂に入ってもらいたいんだよ」

「……」

「……」

 十二月を目の前にした古い家の風呂場はよく冷える。一番風呂なんかは極寒だ。出来れば洗い場も温まった二番風呂が望ましい。

 答えは出ない。

 不毛な見つめ合いがただ続く。

 それにいい加減しびれを切らしたのは夕飯作りに忙しい母だった。

「アンタたち、ばかなこと言ってないで早く入っちゃいなさい!」

 ぎらり包丁。

 その刃の凍えるような冷たさに兄弟は顔を見合わせ揃ってそそくさ風呂場へと逃げ込んだ。

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そして仲良くお風呂に入る。


年末まで宜しくお願いします。

01:オープニング

「サスケ、愛してるぞ」
兄さんが急に愛を囁き始めた。そう、ラブストーリーは突然によろしく囁き始めた。
その意図がまったく理解できない俺がぽかんとしていると構わず兄さんは続けた。
「さあ、サスケ、お前も言うんだ。『兄さん愛してるよ』って!」
そう言って右手を差し出してきたが、どうしろというのだ。どうしろと。
「はぁ?!なんだよ急に」
俺が手を払いのけ、睨むと兄さんは腰に手をあて、
「そういう企画だ」
なんだ、そのドヤ顔は。
「企画?」
「そう、アニナル「お前をずっと愛してる」記念に大晦日までに俺達うちは兄弟が互いに108回愛してると言い合う腐女子的企画だ(どーん!キメ顔)」
「ふじょ・・?何言ってんだ、アンタ」
イタチの言動が理解できなさ過ぎて困る。俺の兄さんがこんなに理解不能な人間のはずがない。
でも理解できないどうしよう・・!
「コツコツやらなきゃこの企画主二人が大晦日に晦日そばも食えず、紅白も見られず、ひたすらパソコンに向かわなければならなくなるからな」
「や、誰だよ。企画主って。そんなん俺の知ったことか!」
ていうか、兄さん明らかに何か俺には見えない誰かと会話してるよな。
な、それ誰だよ。笑わないで聞いてやるから言ってみろ。それか馬鹿にしないから何か拾い食いしちまったのなら言え。解毒治療してやるから。
とにかく俺の知ってる兄さん戻ってこい!いや、お願い戻ってきてください!
そんな俺にお構いなしで兄さんはハリウッド映画の俳優のようにやれやれと肩を竦めて、
「強情なやつだな(ため息)一言俺に『兄さん、愛してるv』と言えばいいだけの簡単なお仕事じゃないか」
その目がさあ言え、やれ言えと期待に満ちてきらきらしている。
おい。
「それ、アンタがただ単に俺に言わせたいだけだろうが!!」
 
(うん、それ正解!)
 
そんな企画です。
 
 
皆様どうぞ大晦日までよろしくお願い致します。
 
エンディングはしきぶさんに任せちゃおうかな☆