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式さん家の受難パパお借りしました。
*式さんの了解は頂いております。
「兄さん、兄さん!今日は一緒にお風呂はいろ!」
アカデミーから帰ってきたイタチの袖をサスケが引く、我が家のお決まりの光景に表立って顔にも言葉にも出さないが微笑ましく思う。
「今日は7時からポ○モンあるからそれまでにでるよ!」
「わかったわかった」
ぱたぱたと遠ざかっていく足音とやがて聞こえてくるざぶざぶとお湯をかける音とはしゃぐ声。
ああ、本当に平和だ。
―数年後
大晦日のうちは家。PM6時
「サスケ、紅白が始まる前に風呂に入ってしまおう」
「ああ、そうだな」
そう言うと二人同時に立ち上がる。
「おい、なぜサスケもついていくんだ」
「二人で入った方が手っ取り早いから」
んん?!
待って、おかしい。その発想おかしいから。
「今からなら一人ずつ入っても間に合うだろう?」
なぜ狭い思いをしてまで二人で入る必要があるのか。そう言うと
「一人ずつなんてナンセンスだ。父さん、今日は大晦日だから夕飯は蕎麦だ。いつもと違って夕飯まではそんなに時間がないんですよ」
そう言って居間を出ていった。
あ、そう。
ていうかお前今親にナンセンスって言っただろ。コノヤロー
「サスケ、背中流してやろうか?」
「それくらい自分でできる!」
遠ざかる足音とやがて聞こえてくるざぶざぶとお湯をかける音と、話し声。
解せぬ・・!
式さんの書く受難パパ大好きです!
今年もあと35分。紅白とかもうどうでもいい・・
高架下を潜り抜け、脇道に入ると一台のメルセデスが停まっている。
俺はその扉をあけ、体を助手席に滑り込ませた。
「用件はもういいのか?」
「ああ。出してくれ」
運転席の男に言うと、ゆっくりと車が動き出した。
先ほどまでいた高架下に目をやるが、あの人の姿はもう見えない。
「一体誰なんだ?お前が会いたかった人物というのは」
「そのうちアンタに会わせるよ。ビックリするぜ。多分」
ハンドルを切りながら助手席の叔父、マダラは「そうか」とさほど興味なさげに呟いた。
俺のヨミが間違っていなければあの人は多分・・
渡したアドレスに連絡が来るかだけが心配だ。見た感じだいぶ謙遜するタイプだ。俺が渡したアドレスをドッキリか何かの類と思い込み、何もしてこない可能性もある。
しかし、俺は賭けるしかない。
「たのむぜ、兄さん」
俺は手の中のスマホを握りしめた。
今回はサスケ目線。
108企画中に終わるのは不可能っぽいですね・・終われなければブログサイトの方で続けます。
いつもはどんなことでもメールで連絡してくる弟が電話を使うなんて珍しい。しかも迎えに来てほしいだなんて一体どういう風の吹き回しかと思ったら、その疑問は簡単に失せた。
酔っぱらっていたのだ。
4月からゼミが始まり、その親睦会で半ば強引に連れていかれたらしい。もともと酒に強くないサスケはグラス1杯のカクテルで潰れてしまったのだとか。
店を出ても酔いが醒めず、一人で帰れないと悟り、電話をかけてきたというわけだった。サスケに言われるままにたどり着いた公園のベンチでサスケは蹲っていた。
「サスケ」
声をかけるとぴくんと肩が動き、顔を上げた。
「にい・・さん?」
酒を飲んでからどれくらい時間が経っているかは知らないが、サスケの顔はまだ赤く、目の焦点もとろりと失われている。
「立てるか?」
「ん・・」
酔いに加えて眠気も加わってきたようで、いよいよ体に力が入らなくなっている。俺はサスケに背に乗るよう促した。子供じゃあるまいしと嫌がるかと思ったが、存外すんなりと乗ってきた。今は体が辛いことの方が勝ったのだろう。
しかしさすがに重い。
この歳になってまた弟を背負うことになるとは思わなかった。幼い頃はよく外へ遊びに行った。サスケは大はしゃぎで走り回り、帰るころに電池が切れたように眠ってしまうので、帰りはいつもおぶって帰らなければならなかった。
いつからやめてしまっただろう?
もう覚えていないが。
「飲めないなら飲めないと言って断れ」
と軽く小言を言ってやると
「ジュースだって・・飲まされたんだ・・」
ぐりぐりと背中に額を擦りつけ、ぎゅっとしがみついてくる。
「俺は飲めないと言った・・ちゃんと・・・」
「わかったわかった」
だんだん子供のようにぐずり始めたので、早急に連れて帰り、寝かせることにした。
成人しても眠たいときに不機嫌になるのは相変わらずで、思わず笑ってしまう。それと同時に変わらないことがあることに少し安心する。
アパートに着くころには少し酔いが醒めてきたようで、家の鍵を出す間はじっと自分の足で立ち、おとなしく待っていた。扉を開けて先に入るよう促してやると、まだおぼつかない足取りで靴を脱ぎ、リビングへ入っていった。
人のベッドに倒れこむなり、猫のように体を丸めて横になった。
「サスケ、水、飲むか?」と問いかけるが返事はない。寝てしまったのだろうか?
「サスケ」
脇に腰掛け、サイドテーブルに水の入ったグラスを置いた。瞼にかかる前髪をそっとどけるとくすぐったいのか頭をもぞもぞと動かした。頬に触れるとまだほてりが残っていて温かかった。
すると、自分より冷たい手が心地いいのか、俺の手に頬を摺り寄せてくる。その所作はまるで
「猫みたいだな」
うっすらと開かれた唇を人差し指でなぞると、ピクリと唇が反応し、瞼を上げた。
「水、飲むか?」
グラスを指すと、こくんと頷き、酒で掠れた声で「飲ませて」と強請った。
「お前、今日は我儘だな」というと、サスケは眉間に皺を寄せ、拗ねた。
グラスの水を口に含み、顎を掴んでこちらを向かせる。サスケは待ち構えていたように口をうっすら開き、俺の舌を受け入れた。舌を絡めて伝わせるように水を流し込む。アルコールが抜けていないせいか口の中も舌も熱い。
「ふ・・ン・・んん・・!」
サスケが最後の一滴まで搾り取るように舌を絡め、啜ってくる。それに応えてやりながら自分の体の奥に灯る熱を感じていた。
まずいな
唇を離すと、物足りなさそうな顔でこちらを睨む瞳と目が合う。
「酔っているならもう寝ろ」
口の端に伝う飲み下せなかった水を拭ってやると、その手を取ってサスケが指を舐めはじめた。指先をくるりとひと回り舐めると、人差し指を咥えた。根元まで咥え、唾液を絡ませた指をゆっくり口の中から引き抜く。てらてらと濡れた指先と俺を交互に見つめ、指の間に舌を這わせ始めた。
「サスケ」
「酔ってるから・・いやなら突き放してくれ」
明らかに酒のせいだけではない赤みを頬に散らしながら絞り出すように言った。
酔いのせいだと言わなければ「したい」と言えない不器用な弟の誘い。カッターの襟から覗く鎖骨に吸い付き、朱の跡を残しながら応じることを伝えた。
108本番エロに向けてリハビリ。
書き留めていたネタから引っ張り出したものの当初どういうつもりで書こうとしていたのかさっぱり思い出せない・・
多分酔っぱらったサスケが兄さんに我儘いう・・だったはず・・
終わりは始まり
全ての憎しみの終わりは新たな決意の始まり
アンタはもういないけれど、アンタが背中を押してくれたから俺は歩いて行けるんだ
この先も
ずっと。
BUMPやバクホンの歌詞は萌えの宝庫ですよ・・!
式さんとのラインのやりとりで生まれる兄弟考察の一部より。
これはもっと練って深くしたいです。
「うちの長男がイクメンすぎる件について」
お昼を少し前に控えた頃、うちは家に響き渡るサスケの泣き声。
「どうした?サスケ」
いち早く駆けつけるのは兄のイタチ。慣れた手つきで抱き上げる。
「お腹空いたのか?」
生憎と妻は先ほど買い物に出かけてしまった。
「ミルクはあったか?」
私が立ち上がり、台所を確認するがそれらしきものはない。
「これから作るよ」
と言ってイタチはご機嫌ななめで泣き続けるサスケをおんぶ紐で自分の背に括り付けた。
「お前、作れるのか?」
「うん」
「熱湯を使うんだ。危ないぞ。父さんが・・」
やってやろうかと言いかけたところで
「素人は引っ込んでてください」
あ、はい。わかりました。
・・って・・ええぇぇぇぇええ?!素人?!
誰が?俺?俺か。
ぽかんとしている私を他所に、イタチがてきぱきと準備を始める。
台所の食器乾燥機から消毒された哺乳瓶を取り出し、粉ミルクをぱっぱっとその中に入れた。給湯ポットからお湯を注ぎ、流水でミルクを冷ます。手つきはまさにミコトのそれと何ら変わりない。
なるほど、上手い・・
「サスケ、ほら」
そう言って哺乳瓶の乳首をサスケの口元に持っていってやると、サスケがあむあむと口に含み、必死になって飲み始めた。
その様子を嬉しそうに見つめているイタチの眼差しが兄というよりも母だった。まだ5歳なのに・・
哺乳瓶が空になるころ、腹の膨れたサスケがうとうとし始めた。
「サスケ、まだ寝ちゃだめだ。げっぷしてから」
そう言って小さなサスケの背中をさする。
さすさすさす・・けぷっ!
「よし、もういいよ。サスケ」
よしよしとあやしてやると先ほどの泣きっぷりが嘘のように寝付いた。
完璧だった。ミルクを作り飲ませるところから寝かしつけるところまで。その何もかもが完璧だった。
そりゃ、これだけできれば俺なんて素人に見えるよね。
息子の成長が嬉しいはずなのに、おかしいな・・なんだかちょっと寂しいよ、父さん。
1時間後、帰宅したミコトが洗い上げられた哺乳瓶を見て
「あら、ミルク作ってくださったんですか?ありがとうございます」
と言った。
「ああ、うん。私じゃなくてイタチがな」
妻よ、うちの長男は超イクメンに育ったよ。
ブログサイトで寄せていただいた「幼少イタサス」というお題で3つ書かせていただきました。
前回同様、イメージしていたものと違っていたら申し訳ありません・・!
私も幼少ほのぼのイタサス大好きです!
「母さん、あのね」
小さな兄は日々、弟のすることが目新しいようで、弟が何かするたびに私に報告をしてくれます。
「母さん!サスケが寝返りできるようになったよ!」
あら、そう!すごいわね!
「母さん!サスケがハイハイできるようになった!」
本当?見たいわ。
「母さん!サスケがつかまり立ちしてる!早く早く!!」
はいはい。ふふふ
「父さん!母さん!サスケが歩いた!」
ええっ?!カメラカメラ!あなたー!カメラどこにやったのー?
サスケが生まれてから家は一層明るく楽しくなりました。
イタチが私を呼んでくれる度に、次はサスケが何をできるようになったのか楽しみでなりません。
私達のところに生まれてきてくれてありがとう。イタチ、サスケ。
フガク:「なんでいつもイタチの前でばっかり新しいことができるようになるんだ?サスケは・・」
なんでも一番は兄さんに見せたいちゃっかりさん赤ん坊サスケェ・・
「はやく会いたい」
暖かな春の日差しの降り注ぐ午後。ミコトは縁側で産着を縫っていた。膝の上ではもうすぐ兄になる息子がすうすうと寝息を立てている。
息子の腕の下には先ほどまでああでもない、こうでもないと考えていた弟(息子曰く)の名前が拙い文字でいくつも書き連ねてある。その中に赤いクレヨンでくるりと囲まれた文字。
「サスケ?」
「うん。サスケがいい」
「どうして?」
「強い忍者の名前だから!」
「そう、それはいいわね」
サスケ、サスケ
はやく会いたいなぁ!
兄さん命名
あくる日、イタチとサスケは若者のファッションを多く取り扱っている通りにあるアクセサリーショップまで出かけて行った。狭い店内だが、シルバーから皮、ビーズアクセサリーに至るまで幅広く取り扱っていた。
「ネックレスは任務で引っかけたりしたら危ないな」
「アンタの肩凝り用はその辺大丈夫なのかよ」
「あれはいつも服の下に入れてるから平気だ」
そういう問題か?と思ったが言わずにおいた。
「ピアスもなぁ・・あぶねぇし何より痛い思いをしてまでしたくない」
「それもそうだな。・・サスケ、これならさほど邪魔にもならないし、危険もないだろう」
そう言って差し出されたのはシルバーリング。飾りのないシンプルな作りだが、リングは少し太めで存在感がないということもない。
「兄さんがそう言うならそれでいい」
そうしてイタチチョイスの指輪を手にレジに行くと、イタチも同じものを置いて「会計は一緒でいいです」と言ってイタチが二人分の指輪の代金を支払った。
「二人で同じもの買ってどうすんだよ」
と帰りの道すがら、サスケが呆れたように言った。
「いやか?」
いつの間に取り出したのか、イタチの指には先ほど購入した指輪がはまっていた。
「別に・・」
そう言ってサスケはくしゃりと包みを握りしめた。
―数日後、木の葉警務部隊本部。
「隊長、息子さん、とうとう結婚されるんですね。おめでとうございます!」と言われてフガクは盛大にお茶を噴いた。
「は?!」
「イタチさん、左手の薬指に指輪していましたよ。結婚前からラブラブなんですね」
「な?ななななな???」
事態がまったく飲み込めず、フガクはその場に立ち尽くした。火傷した唇がひりひり痛かった。
―同時刻、任務中の第7班
「ちょ・・・サ・・さす・・さす・・サスケ君?!!?ひだ・・左手・・」
「どーしたんだってばよ?サクラちゃん」
「指輪!!指輪ぁーー!!」
悲壮な形相で悲鳴を上げるサクラを横目に
「ああ、これか。この前イタチと揃いで買ったんだよ」
「おおおおお揃いーーー?!お兄さんと?!サスケ君それどぉいうこと!?」
顔を真っ赤にして詰め寄るサクラを「サクラ~あんまり深くツッコむな。おそらくサスケは気付いてないから」とカカシが窘めた。
「?」
(兄弟でお揃いとか別に普通なんじゃねぇの?)
―同時刻、暗部休憩所
「イタチ、サスケは彼女でもできたのか?」
装備を解きながらシスイがこれから任務に就こうと用意をしているイタチに話しかけた。
「どういう事だ?」
「や、あいつ指輪してたから。結婚してねぇのに左手に指輪つけるってことは相当仲がいいってことだろ?」
「ああ、あれは俺とお揃いだ」
しれっ!
・・・・・・・
「は?」
「俺と揃いで買ったんだ」
「なんで?」
「サスケが俺とお揃いでもいいって言ったから」
しれっ!
「あ、そう・・」
仲、いいんだね。
その場でやり取りを聞いていた暗部の面々がそれ以上聞くことができなかったことは言うまでもない。
兄弟なのでお揃いは当たり前と思っているサスケェ・・
任務の帰り、サスケはたまたま居合わせたサクラといのに捕まった。
今日はいつも着ている服と雰囲気が違うね?どうしたの?とはしゃぐ二人に、「ああ、乾かなかったから兄貴のを借りたんだ」と返した。
梅雨に入り連日の雨。洗濯物が乾かないと母がぼやいた。間の悪いことにしばらく遠征が続いたので、溜まりに溜まった洗濯物がせわしなく洗濯機の中で回り、暖簾よろしく居間にずらりと干されている。
とにかく着られればいいと兄の部屋の引き出しから一枚拝借した。イタチは長期任務で家を空けていたので一枚消えていたところで不自由しないだろうと踏んだのだ。
その代り帰って来た時には今度はイタチが出す大量の洗濯物に母が頭を抱える姿は写輪眼でなくても容易に予想できる未来だ。
サスケ自身、背はだいぶ伸びたと思っていたが、やはりイタチの方が体が大きいため、借りた服は若干その身に余った。しかし、その少し着崩した(?)感じがいいとサクラといのははしゃいだ。正直、服のセンス云々がよくわからないサスケは、サクラといのがこういうのが似合うああいうのはどうかと言うのを「別に」とか「そうか」と適当に相槌を打った。
家に帰ってからサスケがその話をすると、母は「アタナもイタチもその手のことはホント無頓着よね。修行修行って忍術ばっかりで。少しは興味持ちなさい」と笑った。
オシャレと言われも日々の任務でそんなことを気にしたこともなかったし、する暇もない。任務においては動きやすさ、機能性が重要であってデザイン性ではない。それでもあのガイとリーの服装はないなとサスケは思った。
数日後、家に戻るとイタチが帰ってきていた。早くに戻っていたようで、風呂も終え、普段着で家の中をウロウロしていた。
「おかえり、サスケ」と言われてこちらが言おうと思っていた「おかえり」が言えず、なんだかもやもやした。長期任務の跡はいつもこうだった。
風呂に入って夕飯までの時間をイタチと居間で過ごす。互いに任務のことや他愛ないことを話しているときに、ふと、イタチはどうなんだろうとい思った。兄もおしゃれのことを気にしたりするんだろうか?
「なあ、兄さん。おしゃれってどんなんだ?」
「・・どうした?急に」
「や、この前サクラたちに言われて・・しないのかって。母さんに言ったらやっぱりちょっとは気にしろって。別に興味がないわけじゃないがよくわからないんだ」
そう言うとイタチはふむっと顎に手をあて、何やら考え込んだ。
「俺も普段から意識しているわけじゃないからな・・俺たちは任務があるから服装をどうこうするのは難しいからな」
やはり、そう言う結論になよな、とサスケは少なからず胸を撫で下ろした。
「・・アクセサリーはどうだ?手軽につけられていいんじゃないか?」とイタチが手首の周りでくるりと指で円を描く。ブレスレットと言いたいのだろうか。なるほどいい考えかもしれない、と思った。服と違って色々考えずにすむのもありがたい。しかし肝心なのは、
「何をどうつけたらいいんだ?そう言えば兄さん、ネックレスしてたよな?」
「あれはネックレスじゃない。肩凝り解消用だ」
「ピ○プマ○ネループかよ!!」
(あの首周りの輪っかにはそんな効果があったのか・・知らなかった)
「明日は休みだろう?俺も丁度休みだし一緒に見に行くか?」
「いいのか?」
思いがけないイタチの言葉にサスケが顔を上げる。
「ああ。久しぶりに休みが被ったしな」
そんな二人の会話を傍で聞きながら、フガクはなんだか嫌な予感しかしていなかった。
以前に式さんとLINEでやり取りしていたネタより。
式さんが「小咄化を全裸待機してる!」と言ってくださったので、書いてみました。
文字数が多すぎると言われたので2つに分けています。
「コツ?任務の前にものを食べないことかしら?」
暗部達が集う休憩所の片隅で、キセルをくゆらせていた暗部のくのいちが言った。
任務を終えたのだろう。肩に落ちる髪がしっとりと濡れている。
「任務の最中よりも後からくるから。あれは。人によっちゃあ任務中に吐く子もいたよ。なに?まさかアンタがあの任務に行くの?」
「ああ」と答えると、くのいちが片目を細め、片目を大きく見開いて美しい表情を歪め、「そう・・」と言った。
「よりにもよって男をご指名とは・・相当な変態ね」
吐き捨てるように言うとキセルを逆さに向けこんこんと灰皿の縁で打った。
「休憩中にすまなかった」
そう言って休憩室を出ようとすると、くのいちが腕をひいて俺を引き留めた。着物の袖から小瓶を取り出し握らせる。
「花街の女たちが使ってるやつよ。早く終わらせたい時につかうハッタリ用」
小瓶の中にはどろりとした糊のような液体が入っていた。なんでも、嫌な客が来たときに事前に局部に塗っておくと、早くも濡れていると勘違いされ、客がいつもより性急に事を進めるので、結果早くお引き取り願えるものらしい。
俺は「どうも」と取り合えずその小瓶を受け取った。
色任務―
それが今回俺に下された任務だった。
よくある好色の悪代官から情報を引き出すという奴だ。普段であればくのいちが担当するこの任務。男の俺にお鉢が回ってきたのはつまり、ターゲットが男色だったからだ。
とある商人が邸にいわゆる美少年を何人も囲い、日替わりで楽しんでいるというのだからその性癖は疑いようもなく変態だ。
ただの美少年が好きで、囲っている少年たちも同意の上であれば問題はそれほど深刻ではない。深刻になってしまったのはこのターゲットの男が少年たちに買春行為を強要しているという疑惑が浮上したからだ。しかもそこで得た資金を何やら武器や麻薬の取引に使用しているというたいそうな悪事を働いているらしいという情報が入った。ただの金儲けにしてはやり方が穏やかでない。木の葉への反乱を企てているのであれば早急にその実態を調べ、阻止しなければならない。
しかし、正面から出向いたところでこの手のこすい人間が馬鹿正直に白状するはずもない。結果、奴の大好きな美少年とやらを送り込み、色香で気をゆるませ、根掘り葉掘り聞きだせばいいということになり、暗部の中では一応最年少に近い俺に白羽の矢が立った。
顔は確かに女のようだと言われてきたがいかんせん体は成人男子よりも鍛えているようなやつに果たして悪代官とやらが警戒しないものだろうかと思うが・・
行為に至るまでに聞きだせればよし、いよいよとなれば幻術にかければいい。
女装するわけではないので化粧はいらないだろうと思っていたらそれではだめだとくのいちに切々と語られ、薄化粧を施され、口元には紅をひかれた。出来上がった顔を見てくのいちが目を真ん丸にしていた。そりゃ似合わないだろう・・
籠が用意され、いよいよ悪代官の城へ連れていかれることになった。籠を担ぐのも同じ暗部の面々で、籠に乗り込む前に「化けるもんだな。お前さん、これから増えるかもしれないぞ。この手の任務」と冷やかされたがそれは御免こうむりたいものだ。
ターゲットの邸はいかにも、という感じの成金趣味だった。
無駄に大きな門構え、玄関に並べられたがらくたともつかない陶器、壺の数。通された部屋は金屏風、桐の調度品、触れれば折れてしまいそうなほど豪奢な彫刻の欄間、龍の描かれた天井、錦糸の折り込まれた掛布団・・これらすべてがここに囲われた少年たちの体を切り売りしたものでできているのかと思うと反吐が出る。
絵にかいたような悪代官の様相のターゲットは部屋に入った瞬間から頭のてっぺんからつま先まで値踏みするように俺を見ていた。見るに堪えぬので目を逸らしたら恥じらっていると勘違いされて余計にターゲットを煽る結果になってしまった。
その方が任務には好都合とわかっていても、なるほどこれは任務中に吐いてしまうくのいち達の心中を察するに余りある。
「遠慮せず近うよれ」
ぱたぱたと扇子で仰ぎながら指図してくる。
「はあ・・」と膝立ちでゆっくりとにじりよる。目の前の男の欲望をまるで隠さない荒い鼻息を感じうんざりした。手を伸ばせば触れられる距離まで来た瞬間、腕をひかれ、布団の上に押し倒された。
「・・っ!」
随分と性急な展開に幻術を使うか一瞬迷う。否、まだだ。
俺はのしかかってくる男の胸を手で押し返し、さも緊張している体で俯いて見せる。
「な・・なにぶん初めてですゆえ・・そんなに急かれますと・・」
苛立って怒鳴りでもするかと思えば、この反応が気に入ったらしく、「そうかそうか。よかろう。ならば今夜はわしがゆっくり手ほどきをしてやろう」と頬を撫でられた。不快だ・・
その手はそのまま着物のあわせへと降りていき、腰で結んだ紐を解いた。ゆっくりと着物を剥され、肌が露わになり、今まで布の覆われていた部分が空気に触れ、肌寒さを感じる。
とりあえず、男に裸を見られたところでどうということはないが恥じらうふりをすると、「そんなに怯えずともよい」と優越感に満ちた声が落ちてくる。
違う。断じて違うがこれも任務だと唇を結ぶ。
手首を頭上でまとめ上げられ、男の顔がいよいよ間近に迫る。手は腹のあたりをさぐり始めている。
天t・・違う違う。燃やしてはいけない。
幻術をかけるなら今だと思った瞬間、どーんという大きな音が響き、同時に地面が揺れた。
「イタチはどこだぁあああああああああああああああ!!!!!」
・・・・・聞き覚えのある声がした。聞き間違えでなければこれは・・
「な、なにごとだ?!」
男が邸のものをしきりに呼び、オロオロしていると襖がすぱんと開いた。そこに立っていたのは・・
「イタチはいるか?!」
やっぱり。サスケだった。
サスケは部屋の中の状況を見るなり須佐能乎を発動させた。これはまずい。
「サスケ、大丈夫だ」
手で制し、障子を開いた。黒い煙と共に明々と炎を上げている裏庭。俺は体を起こし、忍ばせていた苦無を男の喉に突きつける。
「どうやら火薬が暴発したようだな。一介の商人の家にあれほどの火薬の量。これは一体どういうことなのか説明してもらおうか」
「お、おまえ・・お前は・・」
「里への謀反であると判断すればお前をこの場で殺す」
ひっと声を上げ男はそのまま失神してしまった。思った以上に心臓の小さな男だったようだ。
男を縛り上げ、乱れた着物を整えている横でサスケがずっと俺を睨んでいる。
「これは一体どういうことか説明してもらおうか、イタチ!」
なんだか痴話喧嘩みたいな言い方だな、とか、そんなことよりお前の方こそどうして俺がここにいるとわかったんだ?まさかまたダンゾウを締め上げたのか?とか聞きたいことはたくさんあるのだが・・
庭では突然の爆発に右往左往する屋敷の者たちの様々な声が飛び交っている。時期に駆けつけた暗部や中忍たちによって全員縄に着くことになるだろう。しかし・・
「なんであんたがこんな男に体を許している?」
再び須佐能乎出さんばかりにズゴゴゴゴと怒っている我が弟。
や、別に許したわけではないが説明したところでこの弟が冷静に聞き入れるだろうか。
目の前の火事の方が俺にはよっぽど深刻だ・・とほほ。
ブログサイトで「108のネタがない!ネタをください!」とつぶやいた際にお寄せいただいたネタの中から「色任務兄さんと奪還にくるサスケ」を使わせていただきました。イメージと違っていたら申し訳ありません・・!
他にも頂いているシチュなども追々使わせていただきたいと思います。