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担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
*体の関係描写を含みます
「壁に手をつけ」
湯船をでるなりイタチはそう言った。
今更ながら俺はなんてことをしたのかと恥ずかしくなった。
こんなところで誘ったところで何ができるわけでもないのに・・
言われるままに壁に手をつくと、覆いかぶさるようにイタチが後ろから腰を抱いた。背中にイタチの胸がぴたりとつき、イタチの鼓動が背中越しに伝わってくる。その速さが決して穏やかなものでないことに安心する。
「っ・・」
腰骨の形を確かめるように指を滑らせ熱のたまり始めた下腹部を弄る。労わるような、煽るような淫靡な指の動きに反応し、立ち上がり始めた自身の熱がもろに目に入り、思わず目を閉じた。ずくずくと欲望が蓄積されるほどに、イタチが先ほど肩口につけた花が赤く熱を帯びていく。
ああ、もっとアンタに触れてほしい
「ふっ・・んっ・・!」
爪で先っぽを弄られ、ぷつりと滲み始めた先走りを潤滑剤にしてイタチの手が俺の熱を包み、ゆっくりと上下に扱きはじめる。
「あっ、あっ!!」
俺の感じるところを何もかも心得た手の動きとあやすように首筋に降らされる淡い接吻。その所作ひとつひとつに胸が高鳴り、またひとつ、体の中に欲と熱を重ねる。
壁についた手をぎゅっと握りこむと、その手をほぐすようにイタチが指を絡ませた。
「あまり強く握ると傷になる」
「だっ・・て・・んあっ・・!」
裏筋を人差し指でするりと撫で上げられ、びくんと腰が震えた。施される手淫は緩急を増していき、背筋からぞくぞくとせりあがってくる電流のような快感。
「にいさ・・あっ・・そこ・・」
気持ちいいと言いかけたところで「しっ」とイタチの手のひらが俺の口を覆った。何事かとイタチの方に目をやると、イタチが脱衣場の方へ視線を向けていた。誰かが入ってきたのだ。
「イタチさん、サスケさん。お着替え、ここに置いておきますね」
「ええ、ありがとうございます」
その慇懃な声色と裏腹に俺の熱を扱う手は相変わらず淫靡に絶頂へ誘い続けている。
声を上げられない苦しさに耐えかねて俺はイタチの手を噛んだ。限界が近いとわかっているからかイタチは一切責め立てる手を止めない。割れ目を指の腹で擦り、根元まで執拗に愛撫する。押さえつけられた声が喉の奥できゅんと鳴った。
「上がられたらお食事にしようとマダラ様が仰っています。先ほどのお部屋までいらしてくださいましね」
「わかりました」
脱衣場から老婆が立ち去ったのを確かめるとイタチは「扉がガラス造りじゃなくてよかったな」となんだか少し楽しそうな声で囁き、俺の口から手を引き抜いた。
「っはぁっ・・!!はっ・・アンタ・・どういうつもりだよ!あんな・・あ・・ん」
「声が抑えられなかったらどうするんだよ」と言いかけてその言葉はあっけなく不発に終わる。イタチがやんわりと耳に歯を立てて、先ほどのそれよりも激しく追い立てはじめた。
再びぞくぞくと腰を、背筋を快感が這い回り、全身から力を奪っていく。がくがくと膝が震え、立っているのも辛い。早く熱を開放したくて腰が手の動きに合わせるように揺れた。
「あっ・・にいさん・・!にいさ・・もう・・イ・・っく・・ああああっ・・!!」
びくんと体が痙攣し、俺は熱を開放した。脳天まで突き抜けるような快感にその場に崩れる俺を、倒れぬようにとイタチが両腕の間に自身の腕をすべり込ませ、抱きとめた。
凭れた背中から伝わるイタチの鼓動はまだ少し速くて、そのことに俺はまた、安心してしまうのだ。
お風呂に3話もかけてる(笑)
しきさんが自分の書いたエロでは萌えない!と言うので引き受けたら自爆した。
サスケの誘いに対して色香漂うしきさん担当の兄さんの反応はこの下に↓
しきさーーん!私エロ書けないこと忘れてた・・!誰も萌えない事故ェ・・・
それでは兄弟がのぼせる前に次の展開をしきさんにバトンパス♪
設定:21才大学生イタチ×16才高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
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指を吸われる音がやけに胸に響く。招かれたサスケの内は温かく、その舌は戸惑いを残したままおれの指をなぞっていく。
十代半ばの少年らしくよく鎖骨が浮いた首許から胸に掛けての線が、どうにもおれの目を引いた。
湯面の揺らぎはこの弟の、おれへの覚束ない心にも似て、いつからかお前の心を不安で支配しているのは、父や一族の目ではなく、おれなんじゃないかと思うようになった。そうなのかと訊いたところで、そうだとは頷かないだろうから問わないけれど。
濡れた髪から滴った湯が彼の肌に落ちて玉を結び、重みに耐えかねて終に滑る。
この先を望むようなサスケの誘いから、おれは指を引き抜いた。あ、と彼が漏らす。だがそれには構わず、おれはそのまま未だ顔を上げないサスケの頬に手を当てた。
「顔を上げろ」
お前の顔が見たいと言う。
「……」
真っ直ぐにおれを見据えた眸は、多少怒りを孕んでいた。かまってほしいと引いた手をあっさり離されたも同然なのだから、当然だろう。だがそれ以上に、灯り始めた情欲特有の薄暗い光が両目の奥でちらついている。
そうしてそれから、少しだけ傷付いた顔をしていた。
「サスケ」
引き寄せ、唇を食む。
深くはしない。長くもしない。それでもその唇は美味かった。
おれの体もじんわり熱を上げている。
そのまま唇を耳の裏から首筋、肩へと滑らせた。
「ン…ぁ…」
堪らず漏らす声さえ、こんなにも愛しい。
腕にサスケの手が触れる。
「兄さん…」
「おれもお前としたいよ」
抱き合うようにして、強く肌を吸う。離したら、赤い花が開いた。
「だが、ここではだめだ」
「…分かっている」
無論、こんな顔のサスケをこのまま一族の前に晒すつもりはない。
緩く前を擽るように指で擦ると、彼はかんたんにあっあっと声を上げた。まだ鎮め方も知らない十六の子どもだ。
困ったように、恥じたように、兄の勝手に怒ったように、様々の気持ちでおれを見上げるサスケに、浴槽を出るよう促す。抜いてやらなければならないだろう。
だが、あの赤が消える前に、おれもサスケを抱こうと思った。
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兄さんの反応をパスしてもらったので書いてみた!
さあこい、続きよ!パスだーっ。
設定:21才大学生イタチ×高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
部屋を辞し、イタチと俺はマダラの家に仕えている老婆に連れられて、湯殿へ向かうことになった。
思わぬ形で泊まりになってしまった。
これは喜ぶべきか、軽率な願望だったと思うべきなのか。
イタチは俺がここに泊まることを了承したことを意外に思っているようだった。
「夜には一族のものが集まる」
マダラはそう言っていた。今まで会ったこともない人間にイタチとの差を比較されることになることをイタチは懸念しているのだろう。
なんてことはない。
いつものことだ。だからいつものように深く咀嚼したりせず、そのまま飲み下せばいい。
マダラは?マダラもそうするだろうか?
そして、また俺の向こう側に「イズナ」という人物を見るのだろうか?
途中、初めて訪れる家だからとイタチが厠の場所であったり、洗面所であったり、マダラの家の間取りを俺に教えてくれた。
初めて会ったマダラの印象は「食えない奴」。イタチが警戒する姿勢を見せるほどだからよっぽどだ。先ほどはあっさりと手を引いたが、本来はもっと強引で他者の言葉も、ましてや指図など受け付けない性分の人間なのだろう。
長い廊下を黙々と歩いていく。暖房器具のない廊下は足元から冷気が這い上がってくるほど寒く、一度は脱いだダウンジャケットが恋しくて仕方がない。
庭師によって剪定された庭では雪を纏った鹿威しが寂しげに上を向いたまま凍っている。普段であれば滾々と水が流れ込んでいるはずの場所は氷に形を変えていた。
鹿威しの脇に植えられた寒椿は真っ白な世界で存在を主張するかのように紅色の花弁を広げて枝から零れ落ちそうだ。春には様々な草花が庭を彩るのだろう。
邸の一番奥に湯殿があった。その温泉宿にも引けを取らない広さにここが個人の家であることを一瞬忘れさせた。
マダラは毎日こんなでかい風呂に一人で入ってるのか?
「後ほどお召し物をお持ちします。タオルはそこの籠の中のものをお使いくださいまし」そう言うと、老婆は脱衣所の扉を閉めた。
ふうっとイタチがため息をついた。
「まったく、あの人の強引さには困ったものだな」
「アンタでも言い負かされることがあるんだな」
そう言うとイタチは少し眉を顰めた。
普段から冷静に客観的に俯瞰でものごとを見るイタチが、理屈のやり取りで負けることはまずない。イタチを負かすことができるとしたら理屈も通らぬ感情論かそれを上回る屁理屈。マダラはその両方を持っている気がする。
「サスケ、お前・・」
「見ろよ、兄さん。かけ流しになってるぜ。ここの風呂。スゲーな」
浴場の扉を開けて振り返らずに俺は言った。
アンタの気遣うような言葉を今は聞こえないふりをした。
俺はダウンジャケットを脱衣籠に放り込み、さっさと衣服を脱ぎ始めた。
ここにきて今更帰るとも言えないだろう。ならば淡々とこなせばいい。どうせたった一晩のことだ。
それに、実をいうと俺は結構楽しいんだ。兄さん。
朝早くからデパートで買い物をして、こんな風に遠くまで二人で出かけてきて、温泉に入る(温泉は予定外だったが)
一緒に暮らしていても最近じゃこんな風に二人で一日中一緒にいることなんてなかったから単純に嬉しい。
二人並んで体を洗い、髪を洗って湯に浸かる。男二人が入ってもまだ余りある大きな湯船は長方形の檜造り。中央にある湯口から滾々と湯が流れこんでいる。
肌に貼りつくのが煩わしいのか、イタチはその長い髪を無造作に結い上げている。普段隠れているうなじに伝う滴が電球のオレンジ色の光を受けて艶っぽく光る。思わず吸い寄せられる視線を無理矢理逸らした。
「唇・・」
「え?」
「大丈夫か?」
昼間にうどんのつゆで火傷したところ、と付け加えた。
どうして今そのタイミングでそんなことを聞くのだろう。
血の巡りが良くなり、いつもよりも温かいイタチの指先が慈しむように俺の唇を撫でる。
それだけで、そのあまりにも優しい所作に胸の奥が掻き乱され「ああ」と答えるだけで精一杯だ。
唇から離れる指先が名残惜しくて気付いたらイタチの手を握り、もう一度その指先を唇に押し当てていた。
この優しい指先の心の所在はどこにあるんだ?
そんな風に思うのはもう何度目だろうか。
「サスケ?」
どうした?と首を傾げるイタチを他所に、俺はイタチの指先をちろりと舐めた。そして、人差し指を口内に招き、舌を絡める。
イタチは何も言わない。
俺は顔を上げることができなかった。
思い切って迫ってみたけど、兄さんの反応がどうなってるのか怖くてみれないサスケェ…
変なところで切ってごめんなさい!この後の兄さんの反応を式さんにバトンパス♪
電車に乗ること2時間。俺とイタチは電車を降りた。
長時間座りっぱなしで固まった体をほぐすように伸びをする。イタチの肩に凭せ掛けていた体の右側だけがまだほっこりと温かい。
山奥のせいか、自分たちの住む場所よりもぐんと気温が低い。頬がぴりぴりと痛み、吸い込む空気の冷たさで鼻がつんとする。すぐそばに見える山の端はうっすら雪化粧をしている。
イタチは1時間に1本しかないという幻のようなバスの時刻を見に行っている。
駅の周りは思っていたよりは開けていた。小さいバスロータリーの周辺には土産物屋や聞きなれない名前の地方銀行や店主が店の奥で居眠りしてそうな本屋があった。
このあたりの人間の足と言えば車だからか、道を歩く人の姿はほとんど見られない。
駅の改札を出てすぐ正面には雨風にあてられてすっかり色あせ、汚れた狐のマスコットが間の抜けたポーズをとっている。それがかえってこの町が寂れ行く一方なのだということを物語っているようだ。
「サスケ」
呼ばれて振り返る。イタチの手には駅でもらってきた周辺マップがあった。
「次のバスまで1時間近くある。それまでに何か食べるか?」
そう言えば電車の中でも言っていたな。
朝が早かったので、そろそろ腹も減ってきている。初めて会う一族の前で腹の虫を泣かすわけにもいかないだろう。俺は頷いて応えた。
しかし、乗り継ぎが悪いとは聞いていたが本当に悪いな。
都会では当たり前のように思っている公共交通機関という恩恵はこの山奥には届かないらしい。そう言えばさっき時間を見るために携帯を開いたら圏外になっていた。今、イタチとはぐれたら確実に俺は帰れなくなる。
イタチがとってきた周辺マップを覗き込む。町の名前とその下に『ようこそ!』と妙にポップな字体で書かれている。聞いたことがない観光名所とやらや、一応温泉もあるらしい。おすすめグルメスポットとも書いてあるが・・
「これいつのだよ」
四隅が焼けたように色あせ、地図に載っている店と、今、目の前にある景色が一致しない。
「1年以内のものではないな」
使えねぇじゃねぇか。
時間はあるので、周辺をぐるりと探索することにした。
俺たちが乗ってきた電車は次の客を乗せるために停車しているのが見えた。
帰りもタイミングが悪ければこのクソ寒い駅で待つことになるんだろう。そう思うと少し億劫になった。
駅の反対側に小さな食堂があった。ひどく年季の入った暖簾をくぐると、ふくよかな女性の「いらっしゃい」という声が飛んできた。
「二人なんですが・・」
さして混み合ってもいないし好きなところに座ればいいんじゃないだろうかと思ったが、黙っておいた。
「空いてるとこどーぞー!」
言われて俺たちは入り口から離れた店の隅に腰を落ちつけた。
腕をのせればかくんと傾いてしまいそうな足の細いテーブルの上にはメニューと調味料、そして割り箸が置いてある。メニューを開くと、丼もの、定食、麺類と分かれていた。案外こういう田舎の食堂の方がメニューが豊富なこともある。ここはそんな店の一つのようだ。
イタチはにしんそば、俺はわかめうどんを頼み、2個入りのいなりずしを一皿頼んだ。
女将の威勢のいい声にこたえるように主人が料理に腕を振るっているのが見える。麺をゆがくために火にかけられた鍋からもうもうと湯気が立ち込めている風景がどこか温かい。調理場に近い席では、常連らしき年配の男たちが冷蔵庫から小鉢料理を取り出して女将に小銭を渡している。都会では見かけない光景に自然と目が引き寄せられた。
「疲れたか?」
イタチが気遣うように尋ねてくる。
「別に」
電車の中で寝ていたからか疲労感はない。寄りかかって眠っている間中、頬から伝わっていたイタチの体温を思い出す。
もともと優しい兄だが、あんな風に唐突に向けられる優しさが親心ならぬ兄心なのか、それを少し踏み越えた情愛なのか測りかねる時がある。
もちろんどちらもイタチの優しさに変わりはない。そのどちらを向けられても嬉しいのも事実。なのに、その一つ一つに優しさの出処を求めてしまう自分がひどく女々しく、浅ましく感じられて嫌になる。
イタチなら自分から向けるどんな優しさもそのままに受け取るのだろうに。
「おまちどおさま」
相変わらず威勢のいい女将の声が思考を遮り、二人分のどんぶりが置かれた。二人の間でゆらゆらと湯気とかつおだしのいい匂いが立ち上る。
割り箸を割って二人そっと「いただきます」と手を合わせる。
あつあつのつゆが冷えた体をじんわりと温めてくれる。視線だけイタチに寄越すと、俯くと後ろ髪が落ちてくるようで、片手で髪を押さえながら麺を啜っている。
女みたいだな・・むしろそこらへんの女のしぐさより色っぽいんじゃないだろうか。
俺の視線に気づいたのか、「どうした?」とイタチが首を傾げた。
「髪、大変そうだなって思って」
イタチを見つめていたことを気付かれたかと思うと妙に恥ずかしくて、紛らわすように器に口をつけるとまだあつあつのつゆで火傷した。
「あつ・・」
慌てて水を流し込む。
「大丈夫か?」
そう言ってイタチの指が俺の唇に触れた。
どくんと心臓が跳ねた。
「平気だ」
そう言ってイタチの手を唇から離した。
ほら、
ほらな
俺はまたアンタの優しさの動機を測りかねて動揺するんだ。
旅の途中で腹ごしらえ。しかし、うどんといなり一個じゃ足りないよね?高校生の食欲舐めたらあかんと思いつつ、サスケも兄さんも小食のイメージ。特に兄さんは食べることに無頓着そう。。。
それにしてもなかなかマダラさんに会えませんなぁ(笑)
ではでは続きを式さんにパス♪
設定:21才大学生イタチ×16才高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
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「充電が持たないぞ」
暫くすると携帯電話を弄り始めたサスケを注意する。十分ほどは放っておいたが、仕舞う気配はない。何かあったときに充電が切れていては用をなさないだろうに。
「取り上げだ」
おれはサスケの手から携帯電話を抜いた。すぐにもう一度取り返されるが、今度はちゃんと仕舞われる。
「退屈か」
問うと曖昧な返事。それを更に誤魔化すようにサスケはふいと車窓の景色に目を転じてしまった。
徐々に人家が疎らになる。田畑が現れ山々が近くなってはいるが、目的地はまだ先だ。
携帯電話を仕舞って以来黙りをするサスケに、
「本でも…」
買ってくればよかったなと言い掛け、口を噤む。
サスケはいつの間にか目を閉じていた。眠っているのかもしれないし、ちょうど睡魔に誘われたところなのかもしれない。幅の狭い窓の枠に器用に肘を付き、乗せた頬をうつらうつらと微かに上下させている。電車の僅かの振動が、こめかみの触れた窓からサスケに伝わっているようだった。
このままでは他の電車とすれ違う際の、あのどんという衝撃に驚いて目覚めてしまうだろう。
おれは肩ごとサスケを抱き寄せた。
サスケの眸が半分ほど開く。
「…なんだ…?」
「こちらへ凭れ掛かってくれていい」
「…そうかよ」
大きな嘆息ともとれる一息とともに、また静かで規則正しい寝息が始まる。今日は下ろした前髪が深くサスケの寝顔を隠す。
このまま寝かしておこう。凭れ掛かられることも、その重みも呼吸も、触れたところから伝わる体温も心地好い。
そうしておれもまた携帯電話のアラームを掛け、目を閉じた。
次に気が付いたのは、外の景色がすっかり枯野に変わるころだった。ちらちらと降る雪だけが世界に色を添えている。
胸の内で震える携帯電話のバイブレーションを止めて切る。目的の駅まであと三十分といったところだろうか。
隣のサスケは起きていた。また携帯電話を弄っている。
おれに気が付くと、さも分かっていると言いたげにそれをポケットに仕舞った。
「あと三十分くらいだな」
ぽつり呟くサスケは眠る前と変わらない、おれの肩に凭れたままだった。車内に人影があまりないとはいえ、外では滅多になつかない弟だ。預けられた重みに、そういえばこの頃は構う暇がなかったなと思い返す。
「なあ」
と、サスケが言った。
「うん?」
「マダラってどんな奴なんだ?」
「…どんな、か」
問われ、考える。
うちはマダラ。彼を表すのは難しい。
「一族の中でも一際才覚のある人物、だな」
「…兄さんよりもか?」
そんなサスケの反応に苦笑する。
「自分よりも優れた人間はごまんといるものだ。だが、確かにマダラは不世出の才だったのかもしれないな」
だが、だからこそ誰も、一族すら彼の全てを理解することは出来なかった。
若い頃は政治にも携わっていたと聞くが、一族唯一の理解者と言われる弟を失って以来、盟友とも袂を別ち、田舎へ引っ込んでしまった。
おれもマダラの孤独と苛立ちが解らないわけじゃない。
「兄さん…?」
ふとサスケに見つめられているのに気づく。
少し思考が沈んでしまっていたようだ。
またぽつりぽつりと人家が見え始める。うちはの集落は人里離れたところにあるが、駅の辺りは昔ながらの田舎町だ。正午は疾うに過ぎてしまったが、食堂くらいは空いているだろう。
「サスケ。着いたら何か食べるか?」
古い車体はゆっくりとブレーキをかけ始めていた。
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マダラの設定とかその場の思い付きで書いているんですが、何者なんだ…?
そして同じタイミングで春壱さんが「63」をアップして下さったので、「64」に訂正。
ではでは春壱さんにパス!いつ挨拶できるんだか!
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
デパートで挨拶に持っていく菓子折りを買い、イタチと俺は駅へ向かった。平日のラッシュ時と違い、人影はまだまばらだ。
改札の近くでは海外旅行にでも行くのだろうか。大きなトランクをひく人たちの姿が見える。逆に手持ちの荷物が菓子折りの煎餅だけの俺たちの方が浮いているような気がした。
イタチは券売機の前で目的地までの金額を確認している。今日はこのぐるぐると回り続ける路線から遠く離れた場所へ行くんだな・・とぼんやりと交錯する路線図を見ているとイタチは隣で切符を買っていた女性が落とした小銭を拾ってやっていた。その流れるような所作は紳士的というのだろう。手渡された女性の頬が赤くなり、おずおずとお礼を言っていた。
おい、だからその笑顔の安売りやめろって。この天然タラシ。
「サスケ、ほら」
そう言って差し出された切符をむしり取り、すたすたと改札へ向かう。
どうせイタチにとっては見知らぬ女性に優しくするなんて些細なことで、そのことでいちいち乱されている俺の気持ちなんてどこ吹く風なんだろう。
自分でも小さいということはわかっているんだ。嫌になるくらい。
環状線が人身事故で遅延という電光掲示板の表示が目の端に映った。
ふと、昨夜、電車が遅延にでもなればいいと考えたことを思い出し、ばかだな、と浮かれた自分を一笑に伏した。
俺たちが乗る電車はホームのはずれの方にあった。ローカル線ということもあり、停車している電車に近づくにつれて人影はまばらになった。
イタチに先に行っててくれと声をかけ、自販機の前で立ち止まる。
汗をかくような季節ではないが、暖房のきいた車内では喉が乾燥するだろうと思い、温かいペットボトルのお茶を買った。
席に着くとイタチがコートを脱ぎ、荷物を網棚に乗せているところだった。
車内はロマンスシートでところどころボックス席にしてあった。
「飲み物買ってきた」
そう言ってペットボトルを座席の背についているホルダーに入れた。席に着こうとして通路側にイタチのコートが置いてあるのでよけようとすると「お前は奥だ」と言われた。
「は?」
「窓際の方が景色が見えるだろう?」
「子ども扱いすんな。そんなんどっちでもいい」
「じゃあ、お前が奥だ」
そう言っておかしそうに笑った。
席に着いてダウンジャケットを脱ぎながら、俺はポケットに入れたものの存在を思い出した。それを取り出してイタチの膝に投げる。
「?サスケ、これは?」
「見てわかんねーのかよ。しるこだよ」
「いや、見ればわかる。どうして俺に?」
「・・甘いもの買ってないだろ」
デパートでイタチは俺が昔から好きだった煎餅を贈答用とは別に買った。しかし、それ以外には何も買っていない。もともとイタチは甘党なので、煎餅だけでは物足りないんじゃないかと思っただけだ。もっとも1本100円の安物の甘味だから味の保証なんてないが。
「そうか」
とイタチはふふっと笑った。
あークソ。イケメンだな。
「不味かったら捨ててくれ」
「大丈夫だ」
そう言って冷気で冷えた手を温めるようにお汁粉の缶を握った。
やがて独特の声で車内アナウンスが入り、扉が閉まった。ごとんと古い車体がゆったりと動き出す。人が増え始めた繁華街の景色が後ろへ後ろへと流れていく。
そう言えば、俺はうちはの親戚のことをろくに知らない。せいぜい、小さい頃にイタチと一緒に遊んでもらったシスイとその家族ぐらいで。
兄さんは会ったことがあるのだろうか?これから尋ねるマダラという奴に。
自分の家が由緒正しい家柄であるということは小さい頃から教えられてきた。しかし、実のところ俺にはそれがどれほどのものなのかよくわからない。俺にとってのうちはという一族は兄さんや両親から聞かされた情報がすべてで、実際はどんなものなのか想像もつかない。
『さすが、うちは一族の子だ』
会えば一族とやらに、きっとそう言われるんだろう。兄さんは。
そんなの当り前だ。兄さんはいつだって完璧だからな。
俺が嫌なのは自分が劣っていると言われることじゃない。口に出さなくてもわかる、あからさまにイタチと俺を比較する目、「優秀な兄に比べてどうなんだ?」と値踏みする目を俺に向けられることをイタチが気にしていること。それを俺に悟らせまいとしていることも、「お兄さんのように頑張って」と言われる俺を見るたびに、イタチの表向きの笑顔が一瞬失せることも俺は知っている。
言っとくが俺は別に馬鹿でもなんでもないぞ。高校だって主席を維持し続けている。イタチが桁外れにできすぎるだけだ。
身内に変な気を遣わせる言い方ってどうなんだよ。少し考えればわかることだろうに・・
俺が一人で思考をぐるぐるさせているのがわかったのだろうか。イタチがいつの間に買ったのか、車内販売のみかんを差し出してきた。
「意外と甘いぞ」
俺は素直に受け取る。イタチの前のホルダーにはこれまたいつの間に開けたのかお汁粉の缶。
おい、それ飲んでみかん食って甘いって言えるのか?甘党の舌はいろんな甘さを感知できるのか?それともそれもアンタの類まれなる才能なのか?
俺がふっくりとしたみかんの皮を剥きながらまじまじとイタチを見ていると、最初の停車駅を告げるアナウンスが入った。
「先はまだ長いな」
イタチはそう言って、お汁粉に口をつけた。
だから、その食べ合わせどうよ?!
そんなこんなで電車に乗りました。
うちは一族のお家までの生き方がわからないのでしきさんにナビをお願いしようと思います。
しきさんの書く兄さんはスマートでかっこよくてドキドキしますね。この先どんなかっこいい兄さんが見られるのか楽しみv
どうもうちのサスケが兄さん厨をこじらせます。
前回サスケ君が欲望駄々漏れにしてしまったので今回は自重。
あれです。深夜テンションです。夜中にポエム書くような感じです。
設定:21才大学生イタチ×高校生サスケ。同居実家暮らし。できてます。
担当:イタチ視点→式、サスケ視点→春壱
形式:リレー。
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翌朝、デパートの開店時間に合わせておれとサスケは家を出た。ちょうどうちはの家へ行く電車もデパートの近くの駅から出ている。
「寝不足なんじゃないのか」
バス停へ向かう道すがら隣を歩くサスケを見て問う。目の下に隈というほどではないにしろ、サスケの瞼はどこかまだ眠っているように重そうだった。寝起きに関してはおれよりもいい弟だ。やはり親戚廻りが心に掛かって寝付けなかったのだろうか。
ちらりとこちらを見上げたサスケは瞬きで目を逸らした。
「そんなことない」
と否定する。
片道三時間の旅程だ。電車では寝かせてやってもいいかもしれない。
五分ほど待ってバスに乗り込む。土曜日の遅い朝だからか、席も道も混雑はない。乗降客のいない停留所を幾つか飛ばし、やがて車窓の風景は住宅街からビル群、賑やかな繁華街へと変わっていった。
デパート前の停留所で降りる。母が買って行くようにと指定をしたのは老舗煎餅屋の菓子詰めだった。うちはとは古く縁のある屋号で、本店とは別にこの頃街中のデパートの地下にも店を出した。
「何にするんだ」
朝から家族連れで賑わうデパートの地下街。サスケはショーケースに飾られた品を覗き込んで言った。普段はあまりこういうものに関心を持たないはずだが、そういえば弟は昔からこの店の煎餅を好んでよく食べていた。
おれもまたサスケに倣い「そうだな」とショーケースを覗き、母から預かった金額から往復の交通費を差し引いた額の一箱を贈答用に包んでもらう。そうしてその間、支払いついでにレジ横の置かれてあった八枚一袋の煎餅も追加した。
ご一緒のものですかと問われ、別にしてほしいと頼む。小さな紙袋にだけ入れてもらった。
商品を受け取る。
と同時に隣のサスケが、
「ん」
と、片手はダウンジャケットのポケットに突っこんだまま、もう片方をおれへと差し出した。
思わずその手をまじまじと見つめてしまう。
するとサスケは焦れたようにもう一度ぐいとその手を突き出してきた。
「おれが持つ」
と、ぼそり言う。
ああ、きっと女性だったなら嬉しいのだろうなと思う。だが残念ながらおれは男で、お前の兄貴だ。
おれはサスケの額を小突いた。
「こういう時は兄貴を立てろ」
小さい紙袋だけを渡す。
サスケは不服げではあったが、それ以上は逆らわなかった。大人しくおれが買った紙袋をひとつ提げておれのあとに付いてくる。
「イタチ」
「うん?」
「これはなんだ?」
サスケは自分が持つ小さな紙袋、その中の剥き出しの煎餅袋に目を落とす。
おれは「ああ」と答えた。
「お前も好きだろう、それ」
今から電車とバスを乗り継いで田舎の家まで行かなければならない。連絡が悪ければ、一時間に一本のバスだ、長く待つことになるかもしれない。その時に食べればいいさと言うと、サスケはまた大人しくなった。
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菓子折り買いました。サスケとイタチ、二人のもののとらえ方が違うのが面白いなあ。
春壱さんにパス!こんな話にしようよという打ち合わせは一切していないので、今後どうなるかが楽しみです。サスケは兄さんと××したいようですが、兄さんけっこう今のところ真面目系。
眠れない。
俺は布団に入ってからもう何度目になるのかわからない寝返りを打った。チクタクと時計の針の音がやけに大きく、「早く寝ろよ」とせかすように聞こえた。
眠れないのはいつもより少し早く布団に入ったからか、風呂から上がってパジャマ一枚でウロウロしていて少し体が冷えてしまったためか、明日、慣れない親戚廻りとさせられることに少なからず緊張しているからか。
いずれも、原因のうちなのだろう。けれどどれも本当の理由じゃない。
最大の原因はイタチと二人で遠出することの期待だ。
二人でかけるなんてしばらくぶりだろう。俺はぐるりと今年のことを思い出してみるが、初詣くらいしか思い出せなかった。
大学に入って忙しくなったせいか休みの日でも顔を合わせないことや、ロクに会話もないまま過ごすことが多くなった。だからこそ、明日一日は一緒にいられるのだと思うと、自然と気持ちが浮かれた。
だって片道3時間だぜ?これもう泊まりのフラグ立ってるよな?
兄さんは夕飯を食べて帰れるだろうと言っていたが、正直俺は「泊まりの準備していかなくていいのか?」と言いたいくらいだ。
俺とイタチのには誰にも知られてはいけないことがある。
それは俺と兄さんは体の関係と持っているということだ。
だってあの兄さんだぜ?惚れるなっていう方が無理じゃないか?
兄さん完璧なんだぜ。惚れるだろう、あれは。
の兄弟云々については俺は、多分兄さんも気にしていない。(と思う)好きになった奴がたまたま兄弟だった、それだけのことだ。
そんな秘密を共有したまま二人きりで出かける。
そのことに少なからず期待を抱かずにはいられない。いや、期待している。兄さんにその気がないかもしれないけれど、渋滞とか電車の遅延で泊まりになればいいのにと思っている。ていうかなれ。
家にいても二人きりで過ごせる時間は少ない。今まで幾度か体の関係も持ったが、それは両親が2、3日家を空けるとわかっているときくらいのものだ。キスくらいなら、互いの部屋で交わすこともできる。しかし、体を繋ぐとなるとそうもいかない。
健全な男子が好きな人を目の前にしているにも関わらず、毎晩お預けってこれはひどくないだろうか?
だから電車とかバス混んでくれ。俺は兄さんと一泊旅行がしたいんだ。土曜日の朝から出かけるというのもこれ幸いだ。泊まりになっても次の日は日曜で、休みだ。
父さん、良いお遣いをありがとう。
そうして俺はもう一度寝返りを打つ。
少しずつ沈み始めた意識の中で「明日、晴れるといいな」なんて子供じみたことを思った。
朝起きてこのブログを見てびっくり。しきさん、私ギャグテイストにする気満々いましたよ~(笑)
なのでタイトル詐欺の詐欺。シリアス文体の中にギャグを混ぜ込んでみました。
遠足前日症候群になったサスケ。しきさんから「翌日出発から」とバトン受け取ったものの、サスケが浮かれたあまり夜から抜け出せませんでした。
さあ、夜明けだ。今度こそ行ってらっしゃいということでしきさんにバトンパス♪