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概要:「NARUTO」女性向け二次創作テキスト共同サークル企画・連絡所  傾向:うちはイタチ×うちはサスケ

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リレー小説:番外編③(春壱)

「絶対にチューしてはいけない24」
 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
 縛り:ブラコンだけど、できてません。
ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
 
R-18表現含みます。



「また今度が早く、今、ほしい」

夜の帳にサスケの切実な思いが落ちた。
サスケを見つめる。サスケもおれを見つめ返す。
火立ての炎の揺らめきが彼の心の内のように、儚げに、しかし、情熱的に彼の瞳の奥に灯っている。
夕焼けの中で交わした口づけの余韻が、いまだに彼の中で燻っているのだろうか。
「サスケ」
名前を呼ぶと、その瞳が一瞬見開かれ、期待と不安を溶かした色に染まる。
おれの答えをじっと待つサスケの手を取り、引いてやると、サスケは短く「あ…」と声を漏らして、やがておれの腕の中におさまった。
まだしっとりと濡れた髪が、体から香る同じ石鹸の匂い、まだ若く、成長途中の体を抱きすくめる。おれの腕の中で、やはりどうしていいのかわからず固まっているサスケの髪をやさしく梳いて、その髪に口づける。
「兄さん、おれ…」
「うん?」
おずおずとおれを見上げるサスケの頬はほんのりと赤い。
そのまま顎をとり、口づけた。
「ん…」
サスケの手が行き場を探し、さまよい、やがて縋るようにおれの服をつかんだ。
その手に自分の手を滑り込ませ、指を絡める。
角度を変え、さらに深く口づければ、繋ぎ合った手をサスケがぎゅうっと握り返してきた。
息継ぐ合間に、舌を滑り込ませると、サスケの体がびくっと震えた。
「ぅんっ…ふっ…にいさ…んんっ…!」
言葉ごと奪うように、サスケの唇を覆い、逃げるサスケの舌を絡め取る。
ちゅっ、くちゅっと互いの舌の上で鳴る水音が恥ずかしいのか、おれの胸を押し返してくる。
その反応が可愛くて、いたずら心でサスケの舌を吸うと、絡めた指をいっそう強く握られた。
唇をはなすと、さきほどより頬を上気させたサスケがはあはあと苦しげにおれを見上げていた。
濡れた唇を指で拭って、額に口づける。
「サスケ、これより先もほしいか?」
その問いが何を意味するかサスケはわかるだろうか?
もちろん、サスケがわからなければここまでにする。
いやだと思うならそれ以上はしないつもりだった。だが、
「ほしい…兄さん。くれよ。今日はおれの誕生日だろ」
「そうだったな」
時計の針はとっくに日付を超えてしまったが、サスケがほしいというのなら与えたい。
めったに自分の思いを口にできないこの不器用な弟が、きっと、やっとの思いで紡いだであろう望みを掬い取ってやりたかった。
もう一度口づける。今度はサスケもすんなりと受け入れる。
サスケの腰を抱き、おれはサスケを畳に押し倒した。
動揺、ためらい、気恥ずかしさ。それらがまじりあいサスケの瞳の中で揺らめいていた。おれを見上げるサスケの頬を撫で、もう一度触れるだけのキスをする。
「ん、にいさん」
「サスケ、いやだと思ったら言えよ」
一体、今から何をするのか、おそらくサスケはよくわかっていないだろう。
一時の好奇心も彼の行動を駆り立てのかもしれない。だから、無理はさせたくない。
「いいな」というと、サスケはこくりとうなずいた。
顎、首筋にとキスを落としていく。ちゅっと音をたてて吸えば、サスケは「んっ」とくぐもった声を漏らした。シャツの裾から手を差し込めば、ひくんとお腹が堪えるようにへこむのがわかった。そのままサスケの肌に手の平を這わせていく。そして、胸の飾りを指の腹で弄るとサスケの体がひときわ大きく震えた。
「ふぁっやっ…にいさん!」
「サスケ、声」
とサスケの唇に人差し指を充てる。
こんなところを両親に見られたらただじゃすまない。それはサスケもわかっているからか、口をつぐむが、目はお前のせいだろうと抗議の色がにじんでいた。
「ふふっ、お前かわいいな」
火照った頬に唇を落とすと
「うるせぇ」
と顔をそむけてしまった。


 
ここにきてにゃんにゃん投入。すみません!
企画当初こんなことになると思ってませんでした。。。

ではではオチを式さんにパスだー!

ケーキおいしかった!

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リレー小説:番外編①(春壱)

「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。
同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。→お題を経てできあがりました
ほっぺやおでこへのキスはセーフ。 ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)

アウトになったその後から。

夕焼けを背にして家路につく。
隣にはサスケがいる。
今まで以上に近い距離で。
陽を受けた頬が赤いのは果たして夕陽のせいだけだろうか。ふとそんなことを思った。
少しうつむきがちに歩く、サスケの指に自分の指を絡めると、ぴくりと指先が震え、弾かれたようにサスケがおれを見た。
「にいさん」
戸惑いと、驚きと、照れ臭さと。
なんとも複雑にまじりあった動揺が瞳の奥で揺れる。
「少しだけ、な」 里に戻ってこんなことはできないから、今だけな、と言うとサスケはぶっきらぼうに小さく「おう」と言っておずおずと握り返してきた。
あたたかい。
こんなにも。
長らく蓋を閉めて抑えられた感情はようやく行き着く場所を見つけてゆっくりと流れ出す。
それがこの上ない幸福だ。

家に帰ると玄関まで母の作る夕餉のいい匂いが漂ってきていた。
引き戸を開けると母が台所から顔を出した。
「おかえりなさい。ちょっと頑張りすぎなんじゃないの?修行」
と言われた。 温泉まで行ってきたと答えたら、母は「どうして母さんも誘ってくれなかったの?」と拗ねたように言ったが、その表情はどこかうれしそうだった。
言えない。
温泉行った帰りに、兄弟以上の感情が芽生えたことにお互い気づきました、なんて。
言えない。

「ちょうどよかったわ。もうすぐ父さんも帰ってくるから手伝ってちょうだい」
先に手を洗ってくるのよ、と言いながら母はパタパタと台所に戻っていった。
「だ、そうだ」 と隣のサスケの頭にぽんと手を置くと、サスケは「わかってる」といっておれの手を払いのけた。
台所には小鉢や皿に盛られた天ぷらが並んでいた。
二人でそれらをちゃぶ台に運んでいく。
幼いころ、二人で母の手伝いをしたころに戻ったようで懐かしさに胸の奥がじんわりと温かくなった。
並び終えたところで玄関の引き戸を開く音がした。
父も予定通り、早く仕事を切り上げたようだ。
「父さん、おかえりなさい」
居住まいを正して父を迎えるサスケの姿に倣う。
おれと比較されがちなサスケは父に対しては殊更強く愛情を求めるところがある。
父を見つめる瞳は、無邪気にほめてもらうことを待つ子供のようで可愛い。
兄さん、ちょっと父さんにジェラシーだ。

家族で食卓を囲み、サスケの誕生日を祝った。
昔のように手放しで喜びを表現しなくなったものの、照れ臭そうに両親やおれからの祝福を受け止めていた。
そんなサスケの様子を見つめながら、ああ、自分の幸せはサスケの幸せとともにあるのだと、そんなことを考えていた。



サスケが幸せなら兄さんはしあわせなんですよね!

世話焼きな彼のセリフ_5、「馬鹿だな、お前だからだよ(お前じゃなきゃ、ここまでしない)」(リレー小説⑩:春壱)

「絶対にチューしてはいけない24」
 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
 縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)

春壱のお題ラストです!


音が止んだ。
聞こえなくなった。

湯口から注ぎ込むお湯のおとだとか、温泉に浸る人々の喧騒だとか、風に揺られる木々のざわめきだとか、小鳥の囀りだとか。

そう言った音という音が聞こえない。

聞こえるのは今、目の前にいるサスケと自分に息遣いだけ。
次に聞こえたのはごぽっと胸の中から湧き上がる感情。
おれがずっと蓋をしてきた感情。

明確な輪郭をもって、その感情の正体を知った日からそっと胸の奥底に沈めて蓋をした。
開けてはならない。
大切な感情だからこそ。

それが、サスケの一言で蓋が俄かに開こうとしている。

いけない。
自惚れてはいけない。
相手に同じ感情を返して欲しいと思ってはいけない。

じっとおれを見上げるサスケから体を離し、上気した頬に伝う汗をきゅっと拭ってやる。
「のぼせたんじゃないか?少し長く浸かりすぎたか?」
サスケの言ったことに対してひどくとんちんかんな答えをしているのはわかっている。案の定、「違う」と抗議の声を上げた。
「サスケ、声が…」
と言った瞬間、
「イタチ?イタチか?」
見つかってしまった。

それからひどく不機嫌なダンゾウに当たり散らされるように任務を言いつけられ、苦労しただのなんだのと、少々ねちっこい嫌味を聞かされた。
強引に有休をとったとサスケに言った手前、あまり彼らの言い分をサスケに聞かせたくなかったので、話半ばで浴場からサスケを連れだした。

脱衣場で袖を通しながらサスケは不機嫌とも、不満ともつかない複雑な表情をしていた。
「サスケ、悪かったな」
彼の1年に1度の大切な日に嫌な思いをさせてしまった。
「アンタのせいじゃないだろ」
そういうとサスケはまたむっつりと口を閉じた。

温泉を後にし、ふと思うところがあり、おれはサスケの手を取った。
サスケの体が一瞬びくりと跳ね、固まるのを感じたが、気づかないふりをした。

「行きたいところがあるんだが、いいか?」
サスケを連れだすために使った口実が、こんなところで役に立った。
「行きたいところ?ここじゃないのか?」
「少し歩く」
せっかく汗を流したばかりだが、いいかと聞くとサスケはコクリと頷いた。

町を抜け、来た道を戻る途中で街道から外れる。
鬱蒼と茂る草木を掻き分けるのも面倒だと、木から木へと飛び移る。
こんな辺鄙な場所に何があるんだと文句を言われるかと思ったが、サスケはおとなしくぴたりと後をついてきた。

薄暗い林を抜け、視界がぱっと明るくなる。
切り立った崖の上にぽかりと出来た空間。そこからは遠く海に沈む夕日が見える。
遮るもののなにもない、ただ森と、遠くに見える海と、そこにゆっくり沈んでいく太陽。それだけ。
「ここは…」
サスケが目の前に広がる景色に目を瞠る。
「おれのとっておきの場所だ」
「兄さんの?」
任務の帰りにたまたま見つけた場所だった。
何もかもが赤く照らされ、ゆっくりと夜に包み込まれていく瞬間の美しさに感動した。
いつか、サスケを連れてきてやりたいと思いながら、なかなかその機会を得られなかった。
「兄さん…今日、本当は任務だったんだろ?」
「本当は、というのは少し違うな。もともと休みだったが直前でひっくり返されかけたんだ」
「同じだろ」
やはり、先程のやり取りを気にしているようだ。
当然か。
おれに弱みを見せることや、おれと比較されること以上にサスケが敏感になるのは、おれへの他人の眼や言葉なのだから。
何かと意見が対立する父とおれのやり取りに身をすくませたり、他人のおれに対する妬みや嫉みに対しては怒りを露わにした。
おれに弱みを見せたくない、と本音すら隠してしまうくせに、おれのことになるとその心の内を驚くほどストレートに出すこの弟がただただ、愛しい。

こぽっと再び心の水底に沈めた想いが息づく。

「気にするな、サスケ。おれは何とも思っていない。今日はお前の誕生日だから、どうしても一緒にいたかった」
「だからって…兄さんがあんなこと言われる必要なんてないじゃないか!オレのせいで兄さんが悪く言われるのはいやだ。放っておいてよかったんだ」
これはおれが弁解するほどムキになるな、こいつ。

いけない。
自惚れてはいけない。
相手に同じ感情を返して欲しいと思ってはいけない。
でも…

「馬鹿だな。お前だからだよ。」
「え…」
「お前じゃなきゃ、ここまでしない」

そう言っておれはサスケを抱き寄せた。
暗部から隠れるためじゃない。
ただ、目の前の弟を抱きしめたいと思ったから抱き寄せた。


それが、決して開けてはいけないと蓋をし、胸の奥に沈めた感情だった。


お題配布元:「確かに恋だった」さま

時間がないので急展開に次ぐ急展開!
もうチューしちゃえYO!

世話焼きな彼のセリフ_4.「まだオレがついてないとダメだなお前は」(リレー小説⑧:春壱)

「絶対にチューしてはいけない24」
 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
 縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
パンツの行方ェ…


この状況、一体どうすればいいだろうか。
サスケのパンツを引っ張るオレと、それをどうにか止めようとするサスケ。
傍から見たらすごくバカバカしいぞ。

ひとまずゴムが伸びてしまってはいけないのでサスケのパンツから手を離す。
「その…なんだ。そういう反応はこっちが悪いことをしている気になるんだが…」
そう、まるで痴漢かなにかのように。
「いや、その…急で…びっくりして…」
と何やら口ごもり、それから
「に、兄さん、先に行っててくれ。その、オレ、トイレに行ってくるから」
そう言ってタオルを片手にすたたたと走っていってしまった。
一体どうしたというのか。難しい年頃だ。

ガラス戸を開けるともうもうと湯気が立ち込め、洗面器を置くカーンという小気味のいい音や、シャワーが床を叩く音が聞こえてくる。
子供がはしゃぐ声は女湯から聞こえてくるものだろう。
幼い頃、家族で温泉に行った時、大きな風呂にはしゃいでいたサスケの姿を思い出し、ふっと口元が緩んでしまった。

かけ湯を浴びて洗面台に歩いていく。
人が少ないので逆に何処に座ろうかと迷ってしまう。
サスケが入ってきた時にわかりやすいように、入り口の近くに腰を落ち着けた。
ほどなく、腰にしっかりとタオルを巻き付けたサスケも浴場に入ってきたので二人並んで体を洗った。
サスケはよほど汗が気持ち悪かったのか、いきなり豪快に頭から湯をかぶっていた。
ちょいちょい兄さんにお湯が飛んできてるんだが…(´・ω・`)

「サスケ」
「んー?」
とわしゃわしゃと髪を洗うサスケの腰にぴたりと掌をあてる。突然、腰を触られて驚いたのか、サスケの体がびくりと震えた。
「な、んだよ」
「傷はまだ痛むのか?」
そう言ったオレの言葉にサスケが目を見開いた。
「アンタ…気付いてたのかよ…」
サスケは腰に巻いたタオルをぎゅっと握る。
「ここ数日、歩き方がおかしかっただろ」
そういうと俯いて、きゅっと唇を引き結んだまままた髪を洗い始めた。

先程、下着を脱ぐのを渋ったのはこのせいなのだろう。
兄であるオレに対して余計な心配をかけまいとする気持ちと、オレに弱みを見せたくないという気持ちが、常にこの弟の中で渦巻いている。

「まだ痛むか?」
くり返し聞いてやる。
多少意地が悪くとも、時にはこうして彼のプライドを揺さぶることで、サスケの頑なな心の内を解す。
お前には力を抜いていい場所があると示してやる。
むしろ、オレの前ではそうしていいのだと気づいてほしい。
「痛みはもうない」
ぶっきらぼうにサスケが答える。
相変わらず視線をこちらに向けてはくれない。
きっとその純粋で頑なな胸の内でいろいろ毒づいたり、あれこれ思いを巡らせているんだろう。
弱みを見せていいんだ、と言わないと見せられない不器用さすら愛しい。

「まだオレがついてないとダメだなお前は」

口に出すと、またこの矜持の高い弟は子ども扱いしていると怒るだろうから、胸の中でそっと呟くだけにした。


サスケのパンツください。

朝起きると式さんからブログ更新のお知らせと共に「パンツ問題」とメッセージが届いていた。
「なななななんぞ?!」と思い開いてみてびっくりのキラーパス。
式さんはキラーパスの達人です。

シリアスになったりギャグに走ったり。温度差の激しいブレまくりリレー小説になって参りました…
シリアスなイタサス大好きなのですが、こういう書き散らし企画では、おふざけも入れてないとつんじゃうんです。

イタサスについて本気だして考え始めると深みにはまって抜けられなくなっちゃうので危険。
なのでこのリレー小説はちょっぴりのシリアスと半分以上ギャグテイスト、を春壱スタンスにして走り切りたいと思っています。

ではでは続きを式さんにパス!
サスケのパンツはいただいた!

世話焼きな彼のセリフ_3.「本当にちゃんと確認したのか?」(リレー小説⑥:春壱)

「絶対にチューしてはいけない24」
 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
 縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)
 1回おいて兄さんが再び壊れます。




少々強引だったが、修行を切り上げてサスケを連れだした。

あのままやっていたらムキになったサスケがチャクラ切れまで粘ってしまいそうだったから。

そんなことになったらせっかくの誕生日が祝えない。そんなのナンセンス!

「買いたいものがある」と言ったオレの方便はサスケにはお見通しのようで、道中、何を買いたいのかとしきりに尋ねられる。

どこに行くんだ、何しに行くんだとついて回ってきた幼い頃のようで、可愛い。


適当にはぐらかすオレの気持ちにもどうやら気付いたらしいサスケが、自分から欲しいものが出来た、と言ってきた。


「買いたいもの?」

「服。汗を拭いて着替えたい」


どうやら汗をかいた体でオレに触れることを気にしているらしい。な
んだか女子っぽいぞ、サスケ。
でもそんなところも可愛いぞサスケ。


「服か。わかった。でもオレは流行なんてわからないからあてにするなよ」

「しねぇよ」


そんなやり取りをしながらオレたちは町に入った。

娯楽施設や服、装飾、家具と言った様々な店が多く軒を連ねている町で、町の至る所で買い物に来て、お茶を飲みながらおしゃべりに花を咲かせている女の子や、遊具で遊ぶ子供の姿を見ることが出来る。

オレは町の入り口の案内書で配っているパンフレットを手に取って店を確認する。

「服を買う店は決めているのか?」

「別に。見つけたところに入ってみる」

「そうか」

オレも人のことは言えないがサスケも普段着には無頓着で、しょっちゅう母に呆れられる。
こだわりがない方が案外すんなり買うものが決まるという利点はあるが、「同じようなものばかり着ている」といわれてしまうと何とも言えない。

「サスケ、ああいうのはどうだ?」

ショーウィンドウにディスプレイされた白とピンクのレースやリボンをふんだんにあしらったふわふわスカートのワンピースを指さすと

「誰が着るか!ばか!」

と叱られた。
冗談なのに…(´・ω・`)


町の中心に近づいたところで、サスケはなにか目に留まったらしく、

「ここ、見ていいか?」

と店に入っていった。

店内には何人か男の子たちが鞄やTシャツをみて笑い合っている。

サスケもハンガーにかけられたTシャツを何枚か手に取っては棚に戻しを繰り返し、おもむろに掴んだTシャツとチノパンを掴むと、試着もせずにレジに持っていこうとしたので思わず引き留めた。

「おい、サスケ」

「なんだよ」

「お前、それサイズはみたか?」

「ああ。ほら」

とタグを見せてくる。

「そうじゃない。試着して本当にちゃんと確認したのか?Tシャツはともかくチノパンツやズボン、スカートの類は型紙の取り方でサイズが微妙に変わる。それにSMLだってメーカーが違えば基準が違う。実際に着てみるとウェスト周りや腿の周りの伸縮具合が…」

「あああ!!もう!大丈夫だって言ってるだろ!アンタは女子か!!」


また怒られてしまった…(´・ω・`)


試着は大事だぞ、サスケ。


「そうだ。サスケ」

「ん?」

「汗を拭きたいって言ってたな。この後、温泉でも行くか?」

先程目を通したパンフレットにこの町は湯治に利用する客も多いと書いてあった。

せっかくの休みだ。昼間からゆっくり湯船に浸かる贅沢だってしてもいいんじゃないだろうか。


お題配布元:「確かに恋だった」さま


兄さんがサスケに薦めたのはゴシックでロリータな服。
あの世界にあるんだろうか(笑)

ズボンやスカートのサイズでいつも泣きを見ているのは私です。

式さんからの変化球ちゃんと受け止められてますか?
そして温泉行っちゃいますか?
てなわけでパース!

このままいくとサスケ誕の日は寝ずに更新ですね(笑)

世話焼きな彼のセリフ_「2. 俺はお前の保護者じゃないんだけどな」(リレー小説④)

「絶対にチューしてはいけない24」 設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。 縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。 ほぼほぼ毎日更新・企画恒例リレー小説!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)


サスケの誕生日に、サスケの望むことをと思い、いつもなかなか付き合ってやれない修行か、もしくはたまには羽を伸ばして出かけてみるか?と提案したら、「修行」と返ってきた。
ある程度予想はしていたが、改めてそう言われるとあまりにもサスケらしくて笑ってしまった。 だが、サスケがそう望むなら、彼の気のすむようにさせてやりたい。
昔からこと家族にはその身の丈に合わないほど気を配るサスケのことだ。
普段言いたくても言えないこと、時と場所を弁えてその心の内を明かすことなくそっと鞘にしまったことが数多あるだろう。彼のその細やかな心配りに家族が助けられたこともまた事実。
明日くらいは、言いたいことを言って、やりたいことをさせてやりたい。
しかし、だ。「修行を」と言ってきたサスケの態度が少し気になった。
彼の本音に間違いはない。だが、迷っている。そんな気がした。
遠慮といったものの類ではなく、本来サスケの持つ性格か、性分か何かが、彼の想いをもやもやとさせているようだ。
生憎、オレにその心の内を知る術はないが、修行をしているうちに、少しでも溢してくれればいい。そう思いながらオレは眠りについた。

朝、居間へ行くと、すでにサスケは身支度を整え、朝食を取っていた。
「なんだ、随分と張り切ってるな」
というと
「そんなんじゃねぇよ」
と味噌汁を啜った。
そんなサスケの隣に座り、一緒に朝食を取る。
久しぶりに朝からサスケの修業を見るといったら、母に呆れられた。
「誕生日くらい、普段しないことしたらいいのに」 というのが母の言い分で、もちろんそれはオレもよくわかる。
だが、サスケが自分が頼んだことだと言ったら、また呆れられた。

家を出る時に、母が握り飯を包んで持たせてくれた。
「あなたがついてるから大丈夫だと思うけど、明日からまた任務なんだからあんまり無茶しないのよ。水分はこまめにとってね。わかってると思うけど、夜は父さんも早く帰ってきてサスケのお祝をするんだから遅くならないようにね」
と言い含められた。
引き戸を開けて外にでると、先に外に出ていたサスケがオレの手中の包みに気がついた。
「母さんが持たせてくれた」
「随分といろいろ言われてたな」
「そうだな。母さんも心配なんだろう」
いくつになっても心配。そういうものらしい。 しかし、
「オレはお前の保護者じゃないんだけどな」
いつまでも兄として見守ってやりたいと思う気持ちと、もう守られるだけの存在ではないサスケを一人の人間として対等であろうとする気持ちと。そして…
くしゃりとその感触を確かめるようにサスケの撫でると
「だから!髪の毛ぐしゃぐしゃにすんのやめろって!」
と案の定怒られた。
「悪かった。つい、な」
といつものように額を小突いたら、ますます拗ねてしまった。

修練場に着いてからは、以前に教えたとおりにやってみろと、術を発動させたが、サスケの言う通り、制御と威力が不安定で、実戦使わせるには危うい出来だった。 細やかなチャクラコントロールを必要とする術なので、昔から繊細なチャクラコントロールが苦手なサスケにはやりにくいのだろう。
だが、何度かコツを教えるうちに次第に形になってきた。くり返し練習すれば実戦で発動できるようになるだろう。しかし、
「サスケ、この辺にしないか?」
そういうとサスケはきょとんとした顔で「なんでだよ」と不満の声を上げた。
もう少し練習すれば安定するのは確かだが、朝からずっとチャクラを要する術を練習しているので、このまま続ければばててしまうだろう。
そうなればせっかくサスケを祝おうと料理を作ってくれている母の気持ちや、仕事を早く切り上げ、帰ってくると言っている父の気持ちはどうなる?というと、サスケはオレの提案を受け入れた。
母が出かけに持たせてくれた握り飯を食べながら、
「昼ご飯を食べたら、ちょっと隣町まで付き合ってくれないか?」
「え?別に…いいけど…何かあるのか」
「ああ、ちょっと買いたいものがあるんだ」
というと、サスケとイマイチ腑に落ちない、という様子で「ふうん」と言った。

自分から「お出かけしてみたい」と言ってみようか、どうしようか、と言いだせないサスケに兄さんは気付いたようです。 兄さんがサスケを連れだします。 そんな隣町までの道中を式さん、よろしくです!

世話焼きな彼のセリフ_「1.手伝ってやるからもう少し頑張れよ」(リレー小説②:春壱)

「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

 企画恒例リレー小説その②!(イタチ視点:春壱、サスケ視点:式)

*兄さんも盛大に壊れます。



嘘をついた。

今まで話をしたこともない女性たちが揃いも揃って「弟さん、723日は空いているかご存知ですか?」と聞いてくるので、周囲に聞こえるように言ってやった。

「朝から予定があるそうですよ」

にこ!


サスケ自身が予定を入れているかどうかは知らない。

だが、サスケがこの手の女たちの誘いを受けるとも思えないし、おそらくサスケ自身もあれこれ聞かれてうんざりしていることだろうから、多少の嘘方便は許してくれるだろう。

 

「イタチ、明日は空けておけ。お前に任務を…」

「断る」

サスケの誕生日が翌日に迫った日の昼過ぎ、ダンゾウに呼び出されたオレは開口一番、任務を言いつけようとしたダンゾウの言葉をぴしゃりと切った。

「…お前に任務を…」

「生憎、明日ははもう有休を入れている」

「それは知っている。だが…」

「オレは暗部だから、上の命令があればいつ、いかなる時も任務につかねばならない」

ダンゾウの言わんとすることなどお見通しなので先に言ってやった。

「だが、断る!」

「強情かっ!!」

ダンゾウがどんっと机を叩いたがオレは負けなかった。

自分の役割はちゃんと果たしている。だから権利は遠慮なく頂く。

 

明日、723日はサスケの誕生日。

オレの天使が生まれた日。そんな日にあくせく任務に出るなんてナンセンスだ。

最近、サスケが家の居間のカレンダーに差支えのない程度に任務の予定を書くようになった。
そのおかげで、723日がサスケも非番であることがわかった。

サスケになにも予定がないのなら、一緒にどこかへ出かけてもいい。

そんなことを思いながら家の引き戸を開けると、サスケがなにやらものすごい勢いで飛び出してきた。その姿が幼い頃、アカデミーから帰ってきたオレに飛びついて来たサスケと重なる。

「随分と懐かしい出迎え方だな」

というと、サスケは裸足のままオレについっと近づいてきた。

「オレ、明日…」

「ああ、誕生日だったな」

すると、サスケがぽかんとした表情のまま、「なんで…」とオレを見つめた。

「明日は非番だったな?何か予定でもあるのか?」

と尋ねるとサスケはぶんぶんと首を振った。

「なら、どこか出かけるか?それとも修行か…そういえば前に出来ないと言っていた術があったな。手伝ってやるからもう少し頑張ってみるか?」

「出かける…修行…」

とサスケは何やら考えをめぐらしているようだった。そんなサスケの髪をくしゃりと撫でて、

「オレはどちらでもいいから、考えておいてくれ」

「え、あ、ああ…」

とサスケはオレに乱された髪を撫でつけながら、まだどこかぼんやりとした様子で返事をした。

洗面所へと向かいながら、あの生真面目なサスケのことだ、誕生日であっても修行をしたいと言うかもしれないな、と思い思わずふふっと笑ってしまった。


てなわけでサスケは修行デート、どっち、と・る・の~♪

式さんにパスぅ!

過保護な彼のセリフ_5、「この先もお前から目が離せそうにない」

「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。

*今回兄さんのキャラが崩壊しています。苦手な方はご注意ください。




「あーあうあう、だぁ!」

掴まり立ちを覚えたサスケがあぶあぶと喃語を喋りながら飽きもせずちゃぶ台伝いに歩く練習をしている。

寝返りが打てるようになった時のように、ハイハイを覚えた頃のように、景色が一転したことが物珍しくて仕方がないがごとく、自分の体が今までしたことのない動きが出来るようになったことが楽しくて仕方ないとでもいうかのようにサスケは尻もちをついては立ち上がる、を繰り返していた。

時折手を離して歩こうとするサスケの背中に手を添えてやり、サスケの練習にイタチは付き合っていた。

「あぶ!」

どうだ!とつかまり立ちをしたサスケがちゃぶ台から手を離し、一人でちゃんと立ってるぞ!と主張する。

「うん、上手だね。サスケ」

「あう!」

お兄ちゃんに褒められたのが嬉しいのか、きゃあきゃあと声を上げて笑った。と、次の瞬間、バランスを崩す。

「サスケ!」

ぽすんっと小さな体がイタチの腕の中におさまる。

「あぶなかった…サスケ、どこもぶつけてないか?」

すりすりと頭を撫でると、サスケがきゅっと目を細めて擽ったそうに笑うので、思わずイタチもふふっと笑った。

 

 

「あー!クソっ!寝過ごした…!」

穏やかな朝の空気の中で、サスケが一人せわしなく歩き回っている。歩きながら装備を整え、今日の任務の行程らしいものをぶつぶつと呟いている。

口に出せる任務だからいいものの、そのクセは直した方がいいぞ、サスケ。

味噌汁を啜っているオレの隣をバタバタと通り抜けるときに、サスケは向かい側で新聞を読んでいる父に軽く会釈をし、オレの後ろ髪を触れるか触れないかの距離で弾いた。

時間がなくて、忙しないときでもこういう礼儀を忘れまいとするサスケの姿勢を知っているから父も「騒がしいぞ」というだけに留める。
髪を弾くのは、サスケなりのオレへのあいさつのつもりらしい。

オレは弾かれた後ろが身を撫でつけ、母から弁当を受け取るサスケを見やる。

早口に今日は遅くなる、とかなんとか言っているようだ。

可愛いな。

サスケ可愛い。ホント可愛い。

口に出したら「男が可愛いとか言われても全然嬉しくねぇんだよ!」と拗ねられるから言わないようにしているが、ホントはすごく言いたい。

サスケめっちゃ可愛い!オレの天使!って頭ぐりぐり撫でてほっぺたすりすりしながら言いたい。すごく言いたい。サスケに怒られてもいい。怒ってるサスケも可愛い。

オレが脳内で口に出せない気持ちを存分に放出していると、父が新聞をめくりながら「イタチ、お前は今日は早く帰れそうなのか?」と聞いてきたので、

「どうだろう。日帰りの予定ではあるけれど…わからない」

と結局何もわからない回答をした。

ぽりっと沢庵を食む。

サスケがそれじゃあと玄関に向かって走っていった。

たった一歩を歩くのも覚束なかった赤ん坊が、16年でこんなに軽やかな身のこなしで動き回れるようになるんだなぁと人の成長の早さを我が弟でしみじみと思ってみる。

そう言えば、サスケは昔から焦るとよく転んだり、躓いたりしていたことを思い出し、オレはまだご飯の残った茶碗を残し、サスケのいる玄関へ向かう。

玄関ではサスケがいつもより大きめの荷物を抱えたまま、靴をはいていた。

焦っているからその手つきはいささか荒い。

これはまずいな、と思った瞬間、サスケがバランスを崩した。

「サスケ!」

思わず後ろからサスケの腰に腕を回し、ぐいっと引き上げる。

転ぶことを踏まえた上で、受け身をとろうとしていたサスケは、一瞬何が起こったのかわからなかったようでしばらくぽかんとしていた。

「すまない、とっさのことで…どこかぶつけてないか?」

腕の中に捕えられた猫のように、すっぽりおさまっているサスケに尋ねると、「ああ…」とまだ呆けているような声が返ってきた。

ふと、赤ん坊の頃、つかまり立ちを始めたばかりのサスケを思い出した。

まだ体のバランスがうまくとれなくて、あっという間に転び、思わぬところで頭をぶつけたりしていたサスケ。そんなサスケから一瞬でも目が離せないと思っていた気持ちが懐かしさとともに甦った。

「まったく。この先もお前から目が離せそうにないな」

「は?」

「なんでもない。気をつけてな、サスケ」

サスケの腰を抱えたまま、その頬にキスをすると、腕の中のサスケがビクッと体を強張らせ、次の瞬間、顔を真っ赤にした。

これは怒鳴られるか?と思っていたオレに返された言葉は予想に反して優しく、

「お、おう。に、兄さんもな…!」

そう言ってオレの腕を振りほどくと、少々手荒に扉を開き、走っていった。

「これがデレというやつか」


お題配布元:「確かに恋だった」様


兄さんはあの冷静な表情の下で常にサスケ愛を叫んでいると思います。
私の性格上、こういう心のダムが決壊した、キャラ崩壊した兄さんの方が書きやすくてついついやってしまいました。
書き散らし企画なのでお許しを…!

これにて「過保護な彼のセリフ」シリーズは終了です。
次の5題は「世話焼きな彼のセリフ」です!
サスケの誕生日に向けてがんばるぞー!

過保護な彼のセリフ_4、「オレを困らせたいとしか思えないな」

絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。




「う、ん…」

胸元で声がして目が覚めた。

目を開けて一番に目に入ったのはつんつんとした黒い髪の毛。

それがサスケのものだと認識するのに時間がかかったのは自分の寝起きの悪さのせいだろう。

昨夜、遅くに帰ってきたらサスケがオレのベッドで寝ていた。
枕元には巻物がいくつか転がっていたので、読んでいるうちに眠ってしまったのだろう。

サスケは時々こうしてオレの部屋でオレの巻物を読んでいる。
以前はオレのいる時に部屋に来てはオレに断りを入れて部屋に持って行っていた。しかし、サスケも中忍になって、任務で帰りが遅くなったり、遠征に出たりと、互いに家で顔を合わす時間が少なくなった。なので、好きな時にここで読んでいいとサスケに言っておいた。
それからサスケはちょくちょくオレの部屋で巻物を読むようになった。

疲れていたのか、深く寝入っており、呼びかけても目を覚まさなかった。せっかく眠っているのを起こしては可哀想だと、巻物を棚に戻し、オレもその横で眠ったのだった。

枕元の時計を確認し、体を起こそうとする。…が、動けない。

器用なことにサスケの腕がオレの胴に巻き付いていた。

オレはお前の抱き枕じゃないぞ、と頬をぷにぷにと突いてみた。

しかし、ううんっと眉を顰めただけで目を覚ます気配がない。

参ったな。一応オレには今日も任務があるのだが…

縄抜けの要領でサスケの腕から抜けようとした時、サスケがいっそう強く抱き着き額を擦りつけ

「ん、にいさん、いっちゃやだ…」

その一言に思わず吹き出しそうになった。

おそらく小さい頃の夢でも見ているのだろう。

毎朝アカデミーに行くオレに「行かないで!」と泣いていたサスケ。

そんなサスケももう16になり、オレの後をついて回っていた頃の頼りない印象はない。最近は頼もしさすら感じる。

幼い頃のように「行かないで」と縋りつかれることなんてもうないと思っていた。

「オレを困らせたいとしか思えないな」

サスケがつらくないように抱き返す。幼い頃のようにすっぽりと収まることはないが、懐かしい感覚に頬が緩んだ。
同じシャンプーの匂いのするサスケの髪に口づけて、サスケを抱いたまま印を結んだ。


 

数時間後、ダンゾウ様の執務室に現れた兄さんの影分身。

「イタチ(本体)はどうした?」

「コレ(影分身)で十分だ」

「………」

任務ナメとんのか!


お題配布元:「確かに恋だった」様

ダンゾウ様からの任務よりサスケェ…!

過保護な彼のセリフ_3、「こういう時は俺に頼れと言っただろう!」


「絶対にチューしてはいけない24」
設定:21才暗部イタチ×16才中忍サスケ。同居実家暮らし。
縛り:ブラコンだけど、できてません。 ほっぺやおでこへのキスはセーフ。



戸棚の最上段の左端。

あと数センチ届かない場所。

爪先にぐっと力を入れて手を伸ばすが、引き戸にかりっと爪が掠るだけ。

いい加減背伸びをすることに疲れ、ぺたりと踵を床につけた。

踏み台を持ってこようか、と思案していたら、後ろからひょいと腕が伸びてさっきまで自分が開けようとしていた扉がからりと開いた。

「何をとるつもりだったんだ?」と聞かれ、巻物、と答えるとイタチはああ、あれか、と風呂敷にくるまれた巻物の箱を取り出した。

「こういう時はオレに頼れと言っただろう?」

そう言うとイタチはとんっとサスケの額を小突いた。

「あ…アンタに頼るほどの事じゃねぇよ!」

踏み台を持ってくればいいだけの話だ、と言って拗ねると、イタチは「そうか」と少し困ったように笑った。

 

どうせオレはちっせぇよ

兄さんがオレと同い年の時の身長にすら届いてねぇよ

でも、そんなことより

ありがとう、って言うのが先だった。


イタチの去って行った方を見ながら、サスケは小突かれた額をさすった。

 

 

■夕飯後のうちはさん家

「兄さん」
居間で涼んでいる兄さんの傍につっと座るサスケ。
「どうした?」
「さっきは…その、助かった。ありがとう」
「?何の話だ?」
「だから!巻物…とってくれただろ」
「ああ」
そんなことかと笑う兄さん。
「オレも兄さんくらい背があればいいのに…」
兄さんが16の時より背が小さい自分にもやもやするサスケ。
そんなサスケの頭をくしゃりと撫でて、
「お前はこのままで十分可愛いぞ、サスケ」
「お、男が可愛いとか言われても嬉しくねぇよ!」
「はは、そうか。許せ、サスケ」
でことん!

台所で一連のやり取りを聞いていたミコトママ
「そもそも16の男の子に可愛いはないでしょう…」

 

 



お題配布元:「確かに恋だった」様

お題では「こういう時は俺に頼れと言っただろう!」と叱っているような感じでしたが、今回はあえて言い聞かせるような方に改変させて頂きました。

この兄弟はコンプレックスにも萌えます。
5歳の年の差、身長差、忍びとしての力の差。
サスケは事あるごとに兄さんと比べられてコンプレックスを感じていますが、兄さんも実はサスケに対してコンプレックスを感じているんじゃないかなぁなんて考えたりします。
それはまた別の場所で形にしたいです。

        
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